あるテーマについて一つの案がユニット形式で発議されて、その案について賛成か反対かを問う国民投票ではなくて、もっと複数の案の中から選択できるようにすべきとの主張があります。
 例えば、Aというテーマについての憲法改正案としてa1案、a2案、a3案、a4案が同時に発議をされ、自分の意見にもっとも近いものを選択するというような案です。これを「択一型国民投票」と名付けましょう。

 択一型国民投票には、私は懐疑的な意見を持っています。
 まず、憲法96条1項が「過半数の承認」を改正の一要件としていることとの関係です。択一型国民投票では、どうしても相対的多数が問題となってしまいます。
 また、恣意的な解釈を否定する発議のやり方として、先に憲法解釈(実質的意味の憲法に相当する部分)を決めて、憲法典に何を書き込むかを決定し、条文改正案を発議する方法が理想だとすると、改正案の考え方自体に幅があって、いくつもの案が示されること自体が矛盾した話です。
 「マガジン9条は、賛否それぞれ3つあって、合計6つの項目から選べたから良かった」という意見もあるようですが、あれはそもそもアンケートですし、実際の国民投票では、9条を変えない理由について問われることは論理的にありえません。この場合、そもそも「改正」(96条1項)の発議はなされませんから。
 したがって、Yes-No Question方式が妥当(これしか採り得ない)と考えます。

 その場合、
 〃法改正案は、明瞭・簡素であること
 広報冊子は、限定された解釈の幅の中で、国民に分かりやすい内容であることは言うまでもありません。

 96条の規定の仕方では、形式的意味の憲法(=憲法典の前文、条文)を変えるか変えないのか、というある種の限界を意識せざるを得ません。アンケートでも、パブリックコメントでもありません。