民法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
 2018.6.12 
 参議院法務委員会

 http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/196/f065_061201.pdf

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格別の配慮をすべきである。

一.成年年齢引き下げに伴う消費者被害の拡大を防止するための法整備として、早急に以下の事項につき検討を行い、本法成立後2年以内に必要な措置を講ずること。
(1)知識、経験、判断力の不足など、消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用して事業者が消費者を勧誘し、契約を締結させた場合における消費者の取消権(いわゆるつけ込み型不当勧誘取消権)を創設すること。
(2)消費者契約法第3条第1項第2号の事業者の情報提供における考慮要素については、考慮要素と提供すべき情報の内容との関係性を明らかにした上で、年齢、生活の状況及び財産の状況についても要素とすること。
(3)特定商取引法の対象となる連鎖販売取引及び訪問販売について、消費者委員会の提言を踏まえ、若年成人の判断力の不足に乗じて契約を締結させる行為を行政処分の対象とすること。または、同行為が現行の規定でも行政処分の対象となる場合は、これを明確にするために必要な改正を行うこと。
(4)前各号に掲げるものの外、若年者の消費者被害を防止し、必要な救済を行うための法整備を行うこと。

ニ.特定商取引法、割賦販売法、貸金業法その他の業法における若年成人の被害防止を含む消費者保護のための規制につき、所管官庁による違反事業者に対する処分等の執行の強化を図ること。

三.成年年齢の引き下げに伴い、若年者のマルチ商法等の消費者被害が拡大するおそれがあることから、それらの被害の実態に即した対策について検討を行い、必要な措置を講ずること。

四.自立した消費者を育成するための教育のあり方を質・量ともに充実させるという観点から、以下の事項について留意すること。
(1)若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラムに掲げた施策を、関係省庁で緊密に連携して着実に実施し、全国の高等学校、大学等における実践的な消費者教育の実施を図ること。
(2)外部講師や行政機関等と連携を進めたり、消費者教育を家庭科、社会科を始めとする教科等において実施したりするなど、小学校、中学校、高等学校における教育を充実すること。
(3)18歳、19歳の若年者に対する大学、専門学校、職場、地域における消費者教育を充実すること。
(4)教員養成課程での消費者教育の強化など、教員養成課程の改革を進めること。
(5)行政機関が学校教育以外でも、積極的に消費者教育に取り組む体制を整備すること。

五.18歳、19歳の若年者の自立を支援する観点から、本法施行までに、以下の事項に留意した必要な措置を講ずること。
(1)成年年齢と養育費負担終期は連動せず、未成熟である限り、養育費分担義務があることを確認するとともに、ひとり親家庭の養育費確保に向けて、養育費の取り決め等について周知徹底するなど、必要な措置を講ずること。
(2)現在の社会経済情勢に見合った養育費算定基準について、裁判所における調査研究に協力すること。
(3)18歳、19歳の若年者においても、個々の成熟度合いや置かれた環境に違いがあることを踏まえ、これらの若年者の成長・発達を支援するために、特に児童福祉法上の自立支援が後退することがないように、必要な措置を講ずること。

六.18歳、19歳の若年者に理解されやすい形で周知徹底を図ること。

七.消費者被害防止のための啓発活動を実施する若年団体等の活動への支援を行い、成年年齢引き下げに伴う若年消費者被害防止の社会的周知のための国民キャンペーン実施を検討すること。

八.成年年齢引き下げに向けた環境整備に向けた施策が実効性のあるものとなるよう、成年年齢引き下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議のメンバー等において、弁護士、教育関係者、消費生活相談員等を含む、第三者の意見を十分に聴取すること。

九.若年者の消費者被害への相談体制の強化拡充、情報提供、消費者教育の充実を実現するため、地方消費者行政について十分な予算措置を講ずること。

一〇.施行日までに上記に掲げた措置が実施されているか、その措置が効果を上げているか、その効果が国民に浸透しているかについて、効果測定や調査を実施した上で検討し、その状況について随時、公表すること。

 右、決議する。