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タグ:国民投票

 2月9日(土)13時〜
 TBSラジオ「久米宏 ラジオなんですけど」に、生出演します。
 https://www.tbsradio.jp/kume954/

 私の登場は、14時からの「今週のスポットライト」のコーナー。
 辺野古移設の賛否を問う沖縄県民投票、憲法改正国民投票について語ります。

 ぜひご清聴ください。

 

日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案要綱


一 公正な国民投票運動等の実施のための措置

1 政党等による国民投票運動等のための広告放送の制限

 政党等は、第106条第2項の届出をした日の翌日から国民投票の期日までの間においては、同条の規定による場合を除くほか、放送事業者の放送設備を使用して、国民投票運動等(国民投票運動又は憲法改正案に対する賛成若しくは反対の意見の表明をいう。以下同じ。)のための広告放送をすることができないこと。(第106条の2関係)

2 国民投票運動等に関する収支の透明化及び支出金額の制限

(1)国民投票運動等に関する収支の透明化

 ‘団蟾駝嬰衂識親庵賃里瞭禄亠擇喙支報告

 国民投票運動等に関する支出の金額が1,000万円を超える団体(以下「特定国民投票運動団体」という。)について、国民投票広報協議会への届出及び収支報告書の提出を義務付けるとともに、これらをインターネットの利用その他の適切な方法により公表する措置を講ずること。(第107条の2〜第107条の12等関係)

◆ヾ麌蹐坊犬詆充又は通知

 特定国民投票運動団体は、国民投票の期日までに寄附を受けようとするときは、当該寄附に係る金銭、物品等が国民投票運動等のために使用される可能性がある旨をインターネットの利用その他の適切な方法により表示し、又は当該寄附をしようとする者に対し通知しなければならないこと。(第107条の15関係)

(2)国民投票運動等に関する支出金額の制限

 国民投票運動等に関する支出の金額は、一の特定国民投票運動団体について、5億円を超えることができないこと。(第107条の14関係)

3 インターネット等を利用した国民投票運動等の適正化

(1)インターネット等を利用する方法により文書図画を頒布する者の表示義務

 ‘団蟾駝嬰衂識親庵賃里蓮▲ぅ鵐拭璽優奪氾を利用する方法により国民投票運動等のために使用する文書図画を頒布するときは、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に当該特定国民投票運動団体の名称及び主たる事務所の所在地、電子メールアドレス等その他国民投票広報協議会が定める事項が正しく表示されるようにしなければならないこと。(第103条の2第1項関係)

◆‘団蟾駝嬰衂識親庵賃琉奮阿亮圓蓮▲ぅ鵐拭璽優奪氾を利用する方法により国民投票運動等のために使用する文書図画を頒布するときは、その者の電子メールアドレス等が、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に正しく表示されるようにしなければならないこと。(第103条の2第2項関係)

(2)国民投票運動等に関するインターネット等の適正な利用

 々駝嬰衂識親暗に関しインターネット等を利用する者は、虚偽の事実を記載する等表現の自由を濫用して国民投票の公正を害することがないよう、インターネット等の適正な利用に努めなければならないこと。(第103条の3関係)

◆々駝嬰衂執報協議会は、国民投票運動等に関するインターネット等の適正な利用のための指針を作成するものとすること。(第14条第1項第7号関係)

4 国民投票の当日における国民投票運動の禁止

 何人も、国民投票の当日、国民投票運動をすることができないこと。(第100条の2関係)

二 憲法改正案の広報の充実強化及び投票環境の整備等

1 憲法改正案の広報に係る財政上の措置等

 憲法改正案の広報については、これが憲法改正案に関する国民の理解と関心を深めるとともに、正確な情報に基づく多様な意見を踏まえた国民の議論及び投票人の賛成又は反対の判断の基礎となるものであることに鑑み、国民が国民投票公報の配布、国民投票広報協議会による放送及び新聞広告、説明会の開催並びにウェブサイトの開設等の多様な手段を通じた憲法改正案に関する広報に接する機会を十分得られることとなるよう、必要な財政上の措置その他の措置が講ぜられなければならないこと。(第14条第4項関係)

2 投票環境の整備並びに投票の意義及び重要性の周知

 総務大臣、中央選挙管理会、都道府県の選挙管理委員会及び市町村の選挙管理委員会は、国民投票が憲法改正案について広く国民の意思を問うものであることに鑑み、投票人の投票しやすい環境の整備に努めるとともに、国民投票に際し、投票人の投票の意義及び重要性を投票人に周知させなければならないこと。(第19条第1項関係)

3 多様な意見に接する機会についての配慮

 国民投票の実施に当たっては、あまねく全国において、かつ、それぞれの地域における様々な場において、憲法改正案に対する賛成意見及び反対意見が公正かつ平等に紹介されること等を通じて、国民が憲法改正案に関する多様な意見に接する機会を得られることとなるよう配慮されるものとすること。(第9条の2関係)

三 選挙運動期間と国民投票運動の一定の期間が重なることを回避するための措置

1 衆議院議員の任期満了による総選挙又は参議院議員の通常選挙との重複の回避

 国会が憲法改正を発議した日から起算して180日以内の期間が、衆議院議員の任期満了の日前42日から当該任期満了の日後44日に当たる日までの間(以下1において「衆議院議員任期満了総選挙関連期間」という。)又は参議院議員の任期満了の日前47日に当たる日から当該任期満了の日後44日に当たる日までの間(以下1において「参議院議員通常選挙関連期間」という。)にかかる場合においては、第2条第1項の規定にかかわらず、国民投票は、国会が憲法改正を発議した日から起算して60日以後240日以内の期間(衆議院議員任期満了総選挙関連期間及び参議院議員通常選挙関連期間を除く。)において、国会の議決した期日に行うこと。(第2条第2項関係)

2 衆議院の解散による衆議院議員の総選挙との重複の回避

(1)国民投票の期日の延期

 国会が憲法改正を発議した日から国民投票の期日前15日に当たる日までの間に衆議院が解散されたときは、国民投票の期日は、第2条第4項の規定により告示された期日後42日に当たる日に延期するものとすること。この場合においては、中央選挙管理会は、直ちにその旨を告示しなければならないこと。

(2)衆議院の解散による衆議院議員の総選挙を行うべき期間の特例

 国民投票の期日前14日に当たる日から国民投票の期日までの間に衆議院が解散されたときは、公職選挙法第31条第3項の規定にかかわらず、衆議院の解散による衆議院議員の総選挙は、解散の日から34日後40日以内に行うこと。(公職選挙法第31条第4項関係)

四 罰則

 所要の罰則を設けること。(第122条から第122条の7まで及び第125条の2関係)

五 施行期日等

1 施行期日

 この法律は、公布の日から起算して1月を経過した日から施行すること。(附則第1条関係)

2 適用区分

 改正後の規定は、この法律の施行の日以後にその期日を告示される国民投票について適用し、この法律の施行の日前にその期日を告示された国民投票については、なお従前の例によること。(附則第2条関係)

3 その他

 その他所要の規定を整備すること。 

 マガジン9連載 南部さんの国民投票法講座
 第4回 「国民投票広報協議会の役割とは?」
 http://maga9.jp/180418-3/

表紙
 『広告が憲法を殺す日 ――国民投票とプロパガンダCM』
 本間龍・南部義典
 2018.4.22 初版第1刷
 本体720円+税
 集英社新書
 https://amzn.to/2GxmeUl

 2018.2.28 毎日新聞夕刊
 特集ワイド「憲法改正国民投票、誰もが納得するルールは 「絶対得票率」が疑問を払拭」

 私のコメントが掲載されました。
 http://mainichi.jp/articles/20180228/dde/012/010/002000c

 ”最低投票率” 論争に、ようやく終止符が打てます。20180228_151530

 安倍首相も真っ青? 憲法改正「年内発議」が絶対ムリな理由

(niftyニュース)
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12176-99989/
(exciteニュース)https://www.excite.co.jp/News/politics_g/20180220/Shueishapn_20180220_99989.html

 2/24 南部さんに聞いてみよう! 「国民投票法」の いいトコ、ダメなトコ

 日時)2月24日(土)18:30〜20:30(開場18:15)
 会場)かながわ県民活動サポートセンター711ミーティングルーム(JR横浜駅徒歩5分)
 http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f5681/p16362.html
 主催)市民グループ みんなで決めよう「原発」国民投票
 参加費)500円

 申込み方法) 前日2月23日(金)までに、件名「トークライブ申込み」とし、「お名前」「連絡先(メールor電話番号)」「人数」を記載して、メールかFAXでお申込みをお願いします。
 fax 03-5539-4046  
 メール info@kokumintohyo.com
 http://kokumintohyo.com/archives/11597
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0001
 国民投票法が制定された2007年前後、いわゆる「最低投票率」を憲法改正の成立要件とすべきか、論争になったことがあります。忘れない程度に、この議論の問題点を指摘しておきます。

 有権者100名の国で、憲法改正国民投票が行われるとします。
 そして、投票総数の過半数の賛成があった場合、憲法改正が成立するものとします。

 国民投票の結果、賛成20票、反対19票、であったとします(以下のケースでも無効投票はないものと想定)。
 投票総数は39票、賛成票が過半数を占めるので(相対得票率は、20÷(20+19)×100=51.28...%)、憲法改正が成立します。早い話、賛成票が反対票より1票でも多ければ、成立します。

 ここで、100名の有権者のうち20名、つまり5分の1しか賛成の投票を行っていない中で、憲法改正が成立するのは不当ではないかとの疑義を挟む余地が生まれます。そこで、最低投票率を40%などと設定し、低い投票率の場合には、憲法改正を「不成立」とすべきという主張がなされるのです。

 しかし、賛成20票で憲法改正を成立させるべきではないという主張の背景にあるのは、賛成票の得票率(全有権者数を分母とする絶対得票率)の問題です。

 問題は「賛成票の得票率の低さ」なのであって、39%という投票率(賛成票の得票率と反対票の得票率の合計)は関係ありません。

 同じく投票率39%で賛成が過半数を占めるケースとして、「賛成20票、反対19票」から「賛成39票、反対0票」まで、様々考えられます。「賛成39票、反対0票」のケースでは、相対得票率100%、絶対得票率39%となっているわけですから、このとき、憲法改正を不成立にすべきというのは、ハードルを上げ過ぎであると言わざるを得ません。

 また、最低投票率要件を置くと、矛盾が生じます。

 仮に、最低投票率要件を40%とします。投票率がギリギリの39%であって、たとえ賛成の投票が過半数を占めていても、憲法改正は不成立となります。

 この点、投票率が41%の場合(最低投票率をクリアします)、賛成21票、反対20票というケースと、投票率39%(最低投票率をクリアしません)で賛成39票、反対0票というケースを比較してみます。前者における賛成の投票は相対得票率51.2%、絶対得票率21%、後者のそれは相対得票率100%、絶対得票率39%と、後者の方が明らかに優勢であるにもかかわらず、最低投票率を40%と定めるが故、憲法改正を「不成立」としてしまうのです。

 また、後者の例(賛成39票、反対0票)では、かろうじて憲法改正が「不成立」となりますが、賛成39票、反対1票だと、最低投票率要件をクリアし、憲法改正が成立してしまいます。反対1票の投票人は、「なぜ、投票所に足を運んだのか?」「国民投票なんか、行かなければよかったのに。」と、投票に行かなかった反対派から非難を浴びるような、皮肉な結果になってしまいます。かくして、最低投票率要件は、投票棄権(ボイコット)運動に、一定の意味を与えてしまいます。

 結論を言えば、低「得票率」の問題を、最低「投票率」要件の設定を以て克服することはできない、のです。

 あえて低得票率の問題を正面から解決しようとすれば、「過半数」という相対得票率要件しか定めていない憲法第96条第1項を改正し、絶対得票率要件を追加するといった方法が考えられるところです。例えば、「投票総数の過半数(相対得票率)及び有権者総数の100の40を超える数(絶対得票率)の賛成を必要とする。」と規定するのです。

 憲法第96条第1項が「相対得票率+絶対得票率」要件になれば、憲法改正の賛成派は、単に過半数を目指すだけでなく、有権者の4割超の投票を得ようとして勧誘運動が盛んになる一方、反対派は否決に追い込むべく、1票でも多く反対の投票を得ようとして勧誘運動が精力的に展開され、総体として投票率が上がるという効果が期待できます。

 憲法改正の成立要件をおおまかに整理すると、
 \簑估隻捨┻定の追加 > ∈把稘衂捨┻定の追加 > 8醜塰 柄蠡估隻捨┻定のみ) となります。

 ,蓮∩蠡估隻捨┻定+絶対得票率規定、
 △蓮∩蠡估隻捨┻定+最低投票率規定、
 は、相対得票率規定のみ、です。

 以上の論証は、憲法改正国民投票に限った話ではありません。ゆるキャラグランプリでも、B級グルメ大賞でも、およそ、大勢で多肢一択式の投票を行う場合に生じうる問題です。

 私が、最低投票率要件よりも成立要件が厳格な絶対得票率要件を持ち出すのは、何も、憲法改正を成立させたくない意図を持っているからではありません。

 むしろ、意地が悪いのは、絶対得票率ではなく、最低投票率という用語に拘る、無知な言説です。絶対得票率要件ではなく、最低投票率要件の方が妥当という「論理」は、数学的にはまったく成り立たないことを、有権者レベルで常識にする必要があります。

 かつては、低得票率下の憲法改正成立に対する疑念を解消する法制上の手段として、∈把稘衂捨┻定の追加が、唯一の解決であると、誤解されていました。繰り返しますが、本件は、簡単な数学(算数レベル)が理解できるかどうかの問題です。

 憲法改正をなるべく成立させないようにしようという邪な考えを捨てつつ、私は、\簑估隻捨┻定の追加、を支持します。∈把稘衂捨┻定の追加、を支持しません。

 あえて△鮖抻するというのであれば、その旨の論理的な説明が必要です(・・・私は、論理的な説明、反論を一度も聞いたことがありません)。

【憲法】
(憲法改正の発議、国民投票及び公布)
第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 (略)

【国民投票法】
第3章 国民投票の効果
第126条 国民投票において、憲法改正案に対する賛成の投票の数が第98条第2項に規定する投票総数の2分の1を超えた場合は、当該憲法改正について日本国憲法第96条第1項の国民の承認があったものとする。
2 (略)

 前回の記事の補足です。

 憲法改正の成立要件を一般的に、厳しいものから、緩いものへと、順に並べると、

 \簑估隻捨┻定の追加 > ∈把稘衂捨┻定の追加 > 8醜塰 柄蠡估隻捨┻定のみ)

 となります。

 分かりますか?

 ,蓮∩蠡估隻捨┻定+絶対得票率規定、
 △蓮∩蠡估隻捨┻定+最低投票率規定、
 は、相対得票率規定のみ、
 という内容です。

 いろいろな数値をあてはめてみれば明らかですが、\簑估隻捨40%、∈把稘衂捨40%で比べてみても(同じ40%であっても)、ハードルの高低がまったく異なります。

 この三者関係を、頭の中でしっかりとイメージしてください。

 かつては、低得票率下の憲法改正成立に対する疑念を解消する法制上の手段として、∈把稘衂捨┻定の追加が、唯一の解決であると、誤解されていました。

 しかし、成立要件として追加した瞬間、数学上の矛盾が生じることは、前回指摘したとおりです。

 憲法改正をなるべく成立させないようにしようという邪な考えを捨てつつ、私は、\簑估隻捨┻定の追加、を支持します。∈把稘衂捨┻定の追加、を支持しません。

 逆に、,任呂覆、あえて△鮖抻するというのであれば、その旨の論理的な説明が必要です。(しかし私は、論理的な説明、反論を一度も聞いたことがありません・・・)

(憲法改正の発議、国民投票及び公布)
第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 (略)

第3章 国民投票の効果
第126条 国民投票において、憲法改正案に対する賛成の投票の数が第98条第2項に規定する投票総数の2分の1を超えた場合は、当該憲法改正について日本国憲法第96条第1項の国民の承認があったものとする。
2 (略)
0001

 国民投票法が制定された2007年前後、いわゆる「最低投票率」を憲法改正の成立要件とすべきか、論争になったことがあります。忘れない程度に、この議論の問題点を指摘しておきます。

 有権者100名の国で、憲法改正国民投票が行われるとします。
 そして、投票総数の過半数の賛成があった場合、憲法改正が成立するものとします。

 国民投票の結果、賛成20票、反対19票、であったとします(以下のケースでも無効投票はないものと想定)。
 投票総数は39票、賛成票が過半数を占めるので(相対得票率は、20÷(20+19)×100=51.28...%)、憲法改正が成立します。

 ここで、100名の有権者のうち20名、つまり5分の1しか賛成の投票を行っていない中で、憲法改正が成立するのは不当ではないかとの疑義を挟む余地が生まれます。そこで、最低投票率を40%などと設定し、低い投票率の場合には、憲法改正を不成立とすべきという主張がなされるのです。

 しかし、賛成20票で憲法改正を成立させるべきではないという主張の背景にあるのは、得票率(全有権者数を母数とする絶対得票率)の問題です。

 問題は「得票率の低さ」なのであって、39%という投票率は関係ありません。
 同じく投票率39%で賛成が過半数を占めるケースとして、「賛成20票、反対19票」から「賛成39票、反対0票」まで、様々考えられます。「賛成39票、反対0票」のケースでは、相対得票率100%、絶対得票率39%となっているわけですから、このとき、憲法改正を不成立にすべきというのは、ハードルを上げ過ぎであると言わざるを得ません。

 また、最低投票率要件を置くと、矛盾が生じます。

 仮に、最低投票率要件を40%とします。投票率がギリギリの39%であって、たとえ賛成の投票が過半数を占めていても、憲法改正が不成立となります。

 この点、投票率が41%の場合(最低投票率をクリアします)、賛成21票、反対20票というケースと、投票率39%(最低投票率をクリアしません)で賛成39票、反対0票というケースを比較してみます。前者における賛成の投票は相対得票率51.2%、絶対得票率21%、後者のそれは相対得票率100%、絶対得票率39%と、後者の方が明らかに優勢であるにもかかわらず、最低投票率を40%と定めるが故、憲法改正を「不成立」としてしまうのです。

 結論を言えば、低「得票率」の問題を、最低「投票率」要件の設定を以て克服することはできない、のです。
 最低投票率要件を設定すると、投票棄権(ボイコット)運動を誘発するという批判は、二の次です。

 あえて低得票率の問題を正面から解決しようとすれば、「過半数」という相対得票率要件しか定めていない憲法第96条第1項を改正し、絶対得票率要件を追加するといった方法が考えられるところです。例えば、「投票総数の過半数(相対得票率)及び有権者総数の百分の四十を超える数(絶対得票率)の賛成を必要とする。」と規定するのです。

 憲法第96条第1項が「相対得票率+絶対得票率」要件になれば、憲法改正の賛成派は、単に過半数を目指すだけでなく、有権者の4割超の投票を得ようとして勧誘運動が盛んになる一方、反対派は否決に追い込むべく、一票でも多く反対の投票を得ようとして勧誘運動が精力的に展開され、総体として投票率が上がるという効果が期待できます。

 以上の論証は、憲法改正国民投票に限った話ではありません。ゆるキャラグランプリでも、B級グルメ大賞でも、およそ、大勢で多肢一択式の投票を行う場合に生じうる問題です。

 私が、最低投票率要件よりも成立要件が厳格な絶対得票率要件を持ち出すのは、何も、憲法改正を成立させたくない意図を持っているからではありません。

 むしろ、意地が悪いのは、絶対得票率ではなく、最低投票率という用語に拘る、無知な言説です。絶対得票率要件ではなく、最低投票率要件の方が妥当という「論理」は、数学的にはまったく成り立たないことを、有権者レベルで常識にする必要があります。

 繰り返しますが、本件は、簡単な数学(算数レベル)が理解できるかどうかの問題です。
0001

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 本書125-127頁を参照。

 朝日新聞(31日、朝刊・社会面)
 国民投票CM「資金力の差で不公平に」法改正求める声 に、
 私のコメントが掲載されました。

 南部義典・元慶大大学院講師(国民投票法制)は、現行法では投票日前14日間も、賛否を呼びかける内容以外のCMは流せると指摘。「私は改憲に賛成」などと意見表明するだけなら規制対象にならないという。「本質と関係ないイメージ戦略や資金力が結果を左右する。公正な国民投票のためには『ゼロの平等』が必要」とCM全面禁止を主張する。

 憲法70年 点検・国民投票制/4止 CM・広告費、青天井 運動の自由、改憲派に有利?
 https://mainichi.jp/articles/20170506/ddm/002/010/033000c
20170504_D90_040(9010M)
 TRAIN SUITE 四季島(営業運転の一番列車)
 2017.5
 JR高崎線 本庄−岡部
 Nikon D90
 Ai AF Nikkor 28mm f2.8
 1/2500
 F4
 ISO250
 PLフィルター

 2016年8月8日

 天皇陛下の「お言葉」について

 民進党代表
 岡田 克也

○本日、天皇陛下からお気持ちの表明があった。改めて、天皇陛下が憲法に定められた象徴としての役割を全身全霊をもって果たされてきたことに大きな感銘を受けた。

○私たちは天皇陛下のお気持ちにしっかりと応えていく必要がある。まずは政府において、本日表明されたお気持ちを受け止めて、しっかりとした議論を進めていただきたい。

○同時に国権の最高機関である国会としても静かに議論を進め、立法府の責任を果たしていく必要がある。具体的な進め方に関しては両院議長を中心に検討すべきである。民進党としても、党内に議論する場を設け、こうした議論に適切に対応していく。

 以上

 (マガジン9)立憲政治の道しるべ 2016.7.6
 第98回「“イギリスの選択”から考える。国民投票運動のコストに、規制は必要か?」
 http://www.magazine9.jp/article/rikken/29041/
 http://blogos.com/article/182352/

20160703_D90_015(団体臨・浜702|回9736M)
 

18歳選挙権の法制化の動向と課題
2014年12月6日
南部 義典

1 国民投票法改正で新たな局面に

 明治期以降、わが国も近代合理主義、平等主義の潮流を受け、人の年齢を基準にして権利義務に関する法制度を構築することが、立憲政治の課題と位置付けられている。これは、立法政策上の線引き問題と単純に捉えられがちであるが、合理的な判断、同意が可能な個人の自律性を探究し、一定の年齢基準に基づく規範を形成する過程には、今後も様々な評価、利害が交錯することになる。

 現在、大人(成人)と子どもを区別する基準を直接定めた法律は存在しない。例えば、祝日法2条は、成人の日の意義を「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。」と定めているが、成人年齢の定義はない。もっとも、政治・社会において基幹的機能を有する4つの法定年齢、即ち、々駝嬰衂叱年齢(国民投票法)、∩挙権年齢(公職選挙法及び地方自治法)、少年法適用対象年齢(少年法)、だ年年齢(民法)は、いずれも満20年(20歳)を基準とし、社会通念上は、これらを根拠に、20歳を以て大人と扱われるべきと考えられてきている。

 他方、18歳を以て大人と扱う国際標準に従い、4つの法定年齢の基準を18歳に引き下げる立法措置が漸次、段階的ではあるが、実現しつつある。憲法上の要請ではないが、4つの法定年齢は立法政策上、乗用車のタイヤのサイズのように一致させるのが望ましいというのが政治・行政部門の共通認識であり、将来的には18歳基準で統一されることになる。

 この意味での年齢法制改革は、改正国民投票法の施行(2014年6月20日)で新たな局面を迎えた。国民投票権年齢は一旦20歳以上に確定したが、施行後4年を経過した日(2018年6月21日)に、自動的に18歳以上に引き下げられる。また、施行後速やかに、公職選挙法等が定める選挙権年齢、民法が定める成年年齢も18歳以上に引き下げることとする国の立法責任も明確に定められた。さらに、与野党8党(自由民主党、公明党、民主党、日本維新の会、みんなの党、結いの党、生活の党及び新党改革)は、選挙権年齢を18歳以上に引き下げるための公職選挙法等の改正(18歳選挙権法の整備)を、施行後2年以内(2016年6月20日まで)に行うことでも合意している。この合意によると、18歳選挙権法が想定どおりに整備され、一定の周知・準備期間の経過後に施行された場合、この施行日が2018年6月20日以前であったとしても、国民投票権年齢も同時に、前倒しで18歳以上に引き下げられることになる。目下、国民投票権年齢及び選挙権年齢の引下げは、少年法適用対象年齢及び成年年齢の引下げに先行する見通しである。

 18歳選挙権法の整備は、国民投票法の全面施行日(2010年5月18日)までに完遂しているはずであった。法整備は著しく遅れ、この間の権利侵害はもはや回復不可能であるが、わが国の年齢法制を一日も早く国際標準に適合させるためにも、18歳選挙権の法制化を着実に進めることが肝要である。

2 18歳選挙権法案の提出
 
 改正国民投票法の成立後、国会では遅滞なく、18歳選挙権の法制化に向けた協議が始まっている。与野党8党(前記)による「選挙権年齢に関するプロジェクトチーム」(以下、「選挙権年齢PT」と記す。)が2014年6月19日に発足し、次に召集される国会(第187回国会(臨時会))で、18歳選挙権法案の提出を目指す方針が確認された。

 第187回国会の召集後、選挙権年齢PTでは18歳選挙権の法制化に係る主要論点、即ち、’齢引下げの対象となる条項の範囲、∩挙犯罪に係る少年法の適用関係、施行期日の設定のあり方(周知・準備期間の幅、地方選挙との関係)、し法・政治教育のあり方、について検討が行われた。第2回会合以降は、参加する政党に異動が生じたものの(自由民主党、公明党、民主党、維新の党、みんなの党、次世代の党、生活の党及び新党改革が参加)、4回の実質的な協議を経て、各党の合意が整い、18歳選挙権法案が衆議院に提出された(2014年11月19日)。しかし、同21日、衆議院の解散によって廃案となった。

 18歳選挙権法案は、第188回国会(特別会)の後、第189回国会(常会)において、再提出する必要がある。この点、再提出は早くても2015年5月中旬になると見込まれる。仮に、法案が同年6月中旬に成立し、規定どおり、公布から1年後に施行されるとすると、18歳選挙権が実現するのは2016年6月中旬頃になる。

 2016年7月には、第24回参議院議員通常選挙が予定されている。18歳選挙権法の施行をこれに間に合わせることが、第47回衆議院議員総選挙(2014年12月14日執行)の後、各党に課せられた至上命題であることは論を俟たない。

3 18歳選挙権法による年齢条項の見直し

(1)18歳以上に引き下げられる年齢

 わが国の年齢法制の体系上、多くの年齢条項が選挙権年齢と連動している。18歳選挙権法による見直しの対象は、公職選挙法を含む9つの法律の、34の年齢条項に及ぶ。以下、主要な改正点について触れる。

 まず、公職選挙法における、未成年者の選挙運動の禁止、未成年者を使った選挙運動の禁止の各規定は、18歳未満の者の選挙運動の禁止、18歳未満の者を使った選挙運動の禁止として、それぞれ改正される。18歳以上の者は、たとえ高校生でも、街頭演説、個人演説会場等における投票の勧誘のほか、SNS等を活用した投票の勧誘が可能となる。18歳、19歳の者は、選挙運動の客体に貶められることなく、主体的、能動的に参画することが可能となる。

 また、地方自治法に基づく直接請求権、即ち、条例の制定・改廃、事務監査、地方議会の解散、地方議会議員・地方公共団体の長等の解職に係る各直接請求の資格が18歳以上の者に認められることになる。請求に際して、自ら署名簿に署名・押印し、請求者となることはもちろん、自ら請求代表者となること、請求代表者の委任を受けて有権者の署名を収集することも可能となる。

 さらに、最高裁判所裁判官国民審査の審査権年齢も、18歳以上に引き下げられる。国民審査は衆議院議員総選挙の際に行われるため、審査権年齢の引下げは当然の措置であるが、国民審査の対象となる裁判官の情報の提供のあり方等、今後検討を要する。

(2)20歳以上のままとなる年齢

 本来、18歳選挙権法に連動して18歳以上に引き下げられるべき年齢条項のうち、あえて連動を外して、現行どおり(20歳以上)とされるものが存在する。仝〇/該紺の選任資格、∈枷衆の選任資格、人権擁護委員の候補者資格、及びぬ雲鍵儖の被推薦資格、の4つである。

 このうち、ゝ擇哭△料任資格は、当分の間、20歳以上に据え置くこととされる。もっとも、このような二重基準を期限なく放置することにならないよう、適時の立法対応が不可欠である。 

 また、5擇哭い琉兢年齢は、選挙権年齢との連動を外し、民法が定める成年年齢と新たに連動させ、将来、成年年齢と同時に引き下げるものとされる。両委員の職務の性質、内容に鑑み、妥当な措置と解される。

4 選挙犯罪に係る少年法の適用関係

 選挙権年齢を18歳以上に引き下げる場合、少年法適用対象年齢は現行の20歳未満のままでよいのかどうか、18歳、19歳の者による選挙犯罪の取扱いをめぐって、少年法の適用関係の問題が顕在化する。具体的には、18歳、19歳の者が、組織的多数人買収罪などの選挙犯罪にコミットした場合、少年法の適用を受け、原則として保護処分の対象とし、刑事処分の対象としないことでよいか、つまり、選挙法制上は一人前の資格を有する者として扱われる以上、成人の刑事事件として刑罰による制裁によるべきではないか、という問題である。

 前記のような法的齟齬を解決するには、まず、18歳選挙権法の整備に合わせて、少年法も同時に改正し、同法の適用対象年齢を18歳未満に引き下げること(18歳少年法の整備)が妥当であると考えられる。

 しかし、18歳選挙権の法制化にあたり、少年法のみならず、関係法律(各種少年院の収容年齢を定める少年院法など)の改正論点も含め、議論の蓄積が十分ではない。これは、改正国民投票法が、国民投票権年齢を20歳以上に確定させたことで、少年法適用対象年齢との法的齟齬が生じず、国民投票犯罪に係る少年法の適用関係の問題が生じなかったことによる。18歳少年法を同時に整備するには、なお一層の時間を費やさなければならなくなる。

 そこで、18歳選挙権法の立案に際しては、少年法適用対象年齢の引下げを前提とせず、選挙犯罪に係る少年法の適用関係を整理する理論構成が求められることになる。

 選挙権年齢PTでは当初、選挙犯罪に限って少年法の適用を除外するという案(適用除外案)への賛同が広がった。18歳選挙権法に少年法の適用除外条項を設けることにより、18歳、19歳の者による選挙犯罪を一律に、刑事処分の対象とする内容である。しかし、〜挙犯罪にも罪質の程度が様々ある中、一律に少年法の適用を除外するのは少年の保護・更生という同法の立法理念を損なう、交通犯罪(危険運転致死傷罪等)においても、少年法の適用除外という法律構成は採られておらず、なぜ選挙犯罪だけを適用除外とするのか根拠が乏しい、などの反対論が示された。

 協議を重ねた結果、適用除外案への賛否両論に対する折衷的立場として、限定的に刑事処分の対象とする案(限定的逆送案)に拠ることとなった。即ち、⑴選挙犯罪のうち、連座制に係る罪の事件について、その罪質が選挙の公正の確保に重大な支障を及ぼすと家庭裁判所が認める場合には、検察官送致(逆送)の決定を行い、また、⑵連座制に係る罪の事件を除いては、家庭裁判所が検察官送致を決定する場合、選挙の公正の確保を考慮して行うこととする内容である。⑴⑵いずれも、選挙犯罪に係る少年法の特例として、18歳選挙権法案の附則に明記された。

 いずれにせよ、18歳選挙権法の整備の後、国民投票権年齢も18歳以上に引き下げられる段階で、国民投票犯罪に係る少年法の適用関係が問題となる。国民投票犯罪には連座制の適用はなく、限定的逆送案と同じ法律構成は採用できない。少年法適用対象年齢の引下げに関しては、それまでに成案を得ておく必要がある。

5 成年年齢の引下げ
 
 民法が定める成年年齢の引下げ(18歳成年法の整備)は、18歳選挙権法の整備が完了した次の段階で行われる見通しとなっている。4つの法定年齢のうち、成年年齢が「大人(成人)と子どもを画する基準」として社会的に最も通用しており、これを引き下げることが、今回の年齢法制改革の本丸と言える。

 個人に要求される判断能力の程度は、政治参加と私法上の契約のいずれの場面においても差異はなく、選挙権年齢と成年年齢は一致すべきであるというのが伝統的な政府見解である。両年齢の不一致がもたらす不都合、例えば、18歳選挙権法により選挙運動が可能となった18歳、19歳の者が、選挙運動のボランティアを申し込む際に、民法上の未成年者として扱われるままに「保護者の同意」を要求されるのは、市民感覚的にも疑問が生じるところである。

 もっとも、政治参加と私法上の契約とは、自己の判断に基づく意思決定に法的な責任が伴うか否かで相異する。憲法15条4項は「選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。」と、選挙人の無答責を定める。選挙人が冗談で特定の候補者・政党に投票しても、責任は一切生じない。しかし、民法が規律する私法の分野では、意思表示が冗談交じりであっても、契約上のリスクの判断理解が不十分であっても、原則、有効な法律行為として成立し、債務履行責任を負うことになる。

 私法上の責任が生じること等、実体社会に与える様々な影響を勘案し、18歳成年法を整備・施行するタイミングが問題となる。この点、政府見解は、若年者の自立を促すような施策や、消費者被害を可及的に防止しうる施策が講じられていることが前提条件になるとする。この前提条件の成就の判断は、消費者教育推進基本方針(2013年6月28日閣議決定)に基づく消費者保護施策群の進捗状況等に鑑み、国会が慎重に行うべきであると考える。

6 憲法・政治教育の充実に関する施策方針

 18歳選挙権法の整備に並行し、若年層に対する憲法・政治教育の充実を図ることが今後、一層重要となる。これは、法整備に並行する施策であって、前提条件ではない。中央教育審議会において学習指導要領の見直し検討が始まったが(2014年11月20日、文科相より諮問)、その結論(答申)を待つまでもなく、18歳選挙権法案を国会で審議する過程で、政府の施策方針を詳しく明らかにする必要がある。
 
 併せて、これに関連し、実践的な憲法・政治教育を推進する上で障壁となっている教育基本法14条2項の解釈・運用を、政治主導で見直す必要があると考える。同項は「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」と、教育の政治的中立性(多数の者に対して強い影響力を持ち得る教育に、一党一派に偏した政治的主義・主張が持ち込まれてはならないこと)を謳っている。実際には、同項の解釈・運用により、教育現場は萎縮し、実践的な憲法・政治教育は敬遠される傾向が強い。また、公立学校の教育公務員に対しては、法令上、政治的行為の制限が掛かっており、テーマが具体的な政治性を帯びるほど、教育現場では扱い難いと受け止められている。

 硬直した行政解釈・運用のレベルを越えるために、国会において憲法・政治教育の推進に向けた新規立法(理念法)を整備することも検討に値する。ただし、党派性を生まないよう、全会一致に近い合意に基づいて立法する必要がある。

7 結語
 
 18歳選挙権法の整備を契機に、今後、年齢法制改革がさらに前進することが期待される。

 もっとも、諸立法に関して、国民(とくに若年者層)に対する情報提供と説明が不十分であり、社会的関心は必ずしも高くない。大局的意味での立法目的が伝わらなければ、若年者の政治的、市民的自律を呼び覚ますことはできず、一時の問題提起に終始するおそれがある。

 政治・行政において、当面の具体的な立法工程を確定させ、スケジュール感を国民と共有することが急務である。そして、国民の側こそ、その工程を厳しく監視し、立法を督促していかなければならない。

 以 上

 〈研究会報告〉2014年度教育イノベーション・プログラム 講義型および参加型によるESD・市民教育の試み

 憲法を改正するかどうかの投票のルールを決めた国民投票法が、国会で改正されました。投票できるのは、これから4年間は「20歳以上」の人ですが、4年後からは「18歳以上」に引き下げられます。どうしてそうなったのでしょうか。3月まで慶応大学講師をつとめ、『Q&A解説・憲法改正国民投票法』の著者の南部義典(なん・ぶ・よし・のり)さんに聞きました。

 憲法を改正するには、国会が3分の2以上の賛成で提案して、国民投票にかけなければなりません。しかし、国民がどのように投票するかは、憲法では決まっていません。そのため、2007年、国民投票法が国会でつくられました。

 国民投票法では、18歳以上が投票できることになりました。国会議員や知事、市長などの選挙で投票できる選挙権は20歳以上です。大人とみとめられるのも、民法という法律で20歳と決められています。国民投票だけ18歳以上にしたのは、なぜでしょうか。

 南部さんは「憲法を改正するのは、人の一生のうちに何度もあることではありません。そのため、できるだけ若い人たちの意見も聞こうということになったのです。また、世界の多くの国々では、国民投票や選挙、大人の年齢は18歳以上です。国民投票をきっかけに、選挙権と大人の年齢も18歳に引き下げようとしたのです」といいます。

 国民投票法は、3年後の施行(法律を実行すること)までに、選挙権と大人の年齢を18歳以上にそろえるよう国に宿題を出しました。2010年、国民投票法が施行されました。ところが、いまでも選挙権と大人の年齢は20歳以上のままです。どうしたのでしょうか。

 「国会議員や役所が宿題をさぼったのです。そのため、国民投票と選挙、大人の年齢がちがうという予想外のことがおきました。国民投票に参加できるのは、18歳以上なのか20歳以上なのかが、はっきりしなくなったのです。これでは国民投票はできません」

 国民投票ができなければ、憲法改正はできません。そこで憲法改正に熱心な自由民主党(自民党)が中心になって、国民投票の年齢をはっきりさせようとしたのです。

 今回の改正で、これから4年間は20歳以上、そのあとは18歳以上が投票することになりました。18歳以上の投票は、なぜ4年間待つことになったのでしょうか。

 「自民党の中から『18歳で国民投票に参加させるのは早すぎる』という意見が出てきたからです。同じ与党(政府をささえる政党)の公明党は18歳を主張しました。そのため、両方の意見の間を取ったのです」

 宿題だった選挙権と大人の年齢は、18歳に早くそろえることになりました。選挙権については、ほとんどの政党が2年以内に18歳以上にすることを約束しました。大人の年齢を18歳にすることについては、期限がついていません。

 「古い宿題のかわりに新しい宿題が出されたわけです。こんどこそ、国会議員や役所はさぼらないでほしいですね」

 今回の改正で、公務員も憲法改正について意見をいったり、ほかの人に賛成か反対かの投票をするようすすめたりすることができるようになりました。こうしたことを決めたのはなぜですか。

 「公務員はだれに対しても、中立でなければなりません。選挙では、だれかを当選させようと運動をしてはいけません。しかし、憲法を改正するかどうかは大事なことですので、公務員も自分の意見をいったり、運動をしたりできるようにしたのです」

 国民投票のルールがかなりととのいました。これで憲法改正は進むのでしょうか。

 「憲法改正については政党の間で、いろいろな意見があります。国会が憲法改正案をつくり、国民投票にかけるには、時間がかかると思います」

 いまの小学生もいずれ国民投票に参加することになるかもしれません。

 南部さんは「憲法は個人の権利や自由を守るためのものです。憲法を変えることを国会が提案してきたときには、個人の権利や自由をもっと広げることになるのかどうかを考えて、賛成か反対かを決めてほしいですね」といいます。

 朝日小学生新聞(2014/6/17)

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