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1 序説 ―18歳年齢法制改革の現在位置―

 衆参両院で全会一致を以て可決、成立した「公職選挙法等の一部を改正する法律」(平成27年6月19日法律第43号。以下「18歳選挙権法」と記す。)は、平成28年6月19日に施行される。途中、衆議院の解散が無ければ、次回(第24回)参議院議員通常選挙の公示日以後にその期日を公示又は告示される選挙、地方自治特別法等の住民投票より、18歳選挙権に関する規定が適用される。

 同じ参政権に属する、憲法改正国民投票の投票権年齢は、平成26年6月の国民投票法改正により、平成30年6月20日まで満20歳以上とされ、翌21日、満18歳以上に引き下げられる。即ち、改正後の規定のままでは、前述の公示日から平成30年6月20日までの間、国民投票権年齢と選挙権年齢に、2歳の較差が生ずることになる。両年齢に較差が生じないよう、18歳選挙権に合わせて、18歳国民投票権を前倒しして実現することとする与野党合意(平成26年4月)が存在するが、当立法措置が見通せない状況が続いている。参政権年齢の引下げに係る改革は、後述の被選挙権年齢の件を含め、若干の課題を残している。

 他方、18歳選挙権法附則11条は、成年年齢(民法4条)及び少年法適用対象年齢(少年法2条1項)の18歳への引下げ、その他の法律の年齢条項の見直しに係る国の立法責任を、改めて規定した。この規定は例外的に、同法の公布日(平成27年6月19日)からすでに施行されている。平成19年5月の国民投票法制定が端緒となった18歳年齢法制改革は、比喩的に言えば、従前の比較的平坦な道程から、「峠に向かう上り坂」に差し掛かったと言えよう。

 成年年齢、少年法適用対象年齢の引下げの立法措置が完了すれば、制度論としては峠を越えるが、現下の政治状況に鑑みれば、なお予断を許さない。18歳年齢法制改革の対象として、今後、国会及び政府において検討が進められ、改正される法律は、民法、少年法を含めて170本程度に及ぶと見込まれるが(本稿執筆時点)、依然として立法措置の道筋が立たないばかりか、改革の全体像及び立法工程が国民に対して明確に示されていない。とりわけ、成年年齢、少年法適用対象年齢の引下げに対しては、国会及び政府内部でいまだに消極的な意見が燻っている状況にある。検討動向を引き続き注視しつつ、国民的議論をさらに喚起していかなければならない。

2 18歳選挙権の法律論

(1) 立法政策に拠る選挙権年齢

 憲法は、選挙権者の資格に関し、「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。」(15条3項)、「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。」(44条本文)と規定する。憲法は、選挙権年齢に関する直接の規定を置かず、法律に委ねている。
 
 それでは、法律を以て、選挙権年齢を何歳以上と規定すべきか。憲法15条3項は「成年者」という概念を用いている。また、民法(明治29年4月27日法律第89号)4条は、「年齢20歳をもって、成年とする。」と規定している。そこで、選挙権が得られる成年者の意義と、民法上の成年者との関係をどのように解するかが、議論の出発点となる。

 まず、両者を同じ意義と解する立場は、選挙権年齢と成年年齢は一致することが基本と考えるが、憲法15条3項は、民法上の成年者に対して選挙権が保障されることを定めたにすぎないとも解釈出来ることから、選挙権者の範囲を拡大し、成年年齢よりも選挙権年齢を低く定めることも許容される。また、両者を異なる意義と解する立場は、選挙に係る成年概念を民法とは別に定め、選挙権年齢と成年年齢が相異することを想定しつつも、政策判断として両年齢が一致する可能性まで排除しているわけではない。

 したがって、成年者(憲法15条3項)の意義に関し、いずれの立場を採っても、選挙権年齢と成年年齢の一致、不一致双方の結論を導き得る。結局のところ、立法政策上、両年齢は一致すべきか否かという、妥当性判断に帰着する。今回、18歳選挙権法の制定により、成年年齢に先行して選挙権年齢が引き下げられたが、附則11条が、選挙権年齢の後追いで成年年齢引下げの立法措置を講ずることを規定しているのは、両年齢は一致すべきであるという、立法者の政策判断の表明に他ならない。これは公職選挙法(昭和25年4月15日法律第100号)の制定過程において、選挙人として要求される判断能力と、私法上の取引場面で要求される判断能力は一致すべきであるとする政府解釈が確立し、選挙権年齢が成年年齢に合わせて「満20年以上の者」(公職選挙法9条1項)と規定された沿革に従うものである。

(2) 18歳、19歳の者に対する、立法者の期待

 18歳選挙権法の制定により、我が国の選挙権年齢はようやく“世界標準”に到達した。全国で240万人とも言われる18歳、19歳の者が、有権者としての資格を得る。選挙の期日、投票所に足を運び、受け取った投票用紙に自書し、投票箱に「一票」を投じることが可能になる。社会全体に蔓延る、固定化された選挙観を転換する契機にもなり、確かにその意義は大きい。

 しかし、一般的には、制服の高校3年生が投票する姿が、過度に象徴的に受け止められ、18歳選挙権法のより本質的な意義が伝わっていないきらいがある。立法者の意図は、18歳、19歳の者に対して新たに選挙権を付与すること(有権者団の拡大)に尽きるものではない。18歳、19歳の者が日常生活ないし現実政治との関わりの中で、思考を巡らし、主体的な活動を実践することを通じ、政治的潜在能力を覚醒させ、政治的自律を獲得することに、党派を超えた期待が寄せられているのである。
 
 18歳選挙権法は、公職選挙法を含む9本の法律の改正を施し、選挙権年齢を始めとする34の年齢事項(条項数は39)に関し、20歳以上から18歳以上へと引下げを行った。特に重要な点は、18歳、19歳の者も、選挙が公示又は告示された後、選挙運動を行うことができることとした点である。街頭演説、個人演説会場等における場合のほか、SNSを活用した投票の勧誘行為が可能となる。政党など特定の選挙運動主体に対し、組織的、集団的に関与することも排除されない。
 
 また、18歳選挙権法は、地方自治法の改正を施し、同法に基づく直接請求権(条例の制定・改廃、事務監査、地方議会の解散、地方議会議員・首長等の解職)も、18歳以上で行使可能とした。とりわけ条例制定直接請求は、時として住民投票という、有権者による直接の表決を可能とする制度と結び付きながら、公共施設の建設の是非等、地域に身近な政策案件に係る決定に関与する権利である。選挙人名簿に登録された18歳、19歳の者は、直接請求署名簿に署名することはもちろん、直接請求の代表者となって署名を収集すること、又はその受任者となること等、直接請求運動の主体となり得る。

 以上を踏まえ、18歳選挙権法の立法趣旨を再評価すべきである。
 
 政治活動の自由は、憲法21条1項を根拠に、すべての国民に対して保障されている。政治活動とは幅広い概念であり、国民投票運動、住民投票運動、選挙運動及び直接請求運動を当然、包含するものである。もっとも憲法理論上、未成年者であって、成熟した判断能力を持たないことを根拠とした人権制約(自己加害に対する制約)が許容されるところ、自己決定そのものを回復不可能なほど永続的に害する場合に該当しなければ、未成年者に対する人権制約は許されないことを改めて指摘しなければならない。論評は別稿に委ねるが、文部科学省通知「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について」(平成27年10月29日付)に基づく運用が、とくに生徒会、クラブ活動等の授業以外の場面、放課後や休日等における生徒の政治活動を不当に制約することとならないよう、十分注意する必要がある。

(3) 今後の課題

 18歳、19歳の者による選挙運動が可能となったものの、選挙運動の自由は無制約ではなく、一定の行為には罰則による規制が及ぶ。選挙運動と区別される政治活動も同様である。この点、少年法適用対象年齢は現行規定のまま(20歳未満の者)であり、「選挙犯罪」に係る18歳選挙権法との適用関係は、暫定的に、特例扱いをする旨が定められている。

 18歳選挙権法附則5条1項は、18歳、19歳の者が犯した連座制適用事件(公職選挙法247条、251条の2〜251条の4)に関して、家庭裁判所は、その罪質が選挙の公正の確保に重大な支障を及ぼすと認める場合、検察官送致の決定をしなければならない旨規定する。「その罪質が選挙の公正の確保に重大な支障を及ぼす」場合とは、具体的事例に即して個別に判断、評価するしかないが、検察官送致の要件の絞り込みという立法者意思が反映するかどうか、今後の運用を注視する必要がある。

 さらに、18歳選挙権法の立法趣旨を発展的に捉えつつ、検討課題として次の2点を提案したい。
 
 第一は、選挙権年齢の要件、選挙人名簿の被登録資格に係る、学年基準の採用である。18歳選挙権に関する規定が適用されれば、選挙期日の翌日までに18歳の誕生日を迎えた者に対して選挙権が付与されるが、当該期日の翌々日以降に誕生日を迎える者には選挙権が与えられない。満年齢主義に則る限りでは当然の扱いであるが、高校3年生の中で選挙権を有する者と有しない者とを二分する不都合が生じる。したがって、学年を基準に投票機会を拡充し、高校3年生の在学年度(当該年の4月1日から翌年の3月31日まで)に執行される選挙に関し、選挙権を一律平等に付与する制度を導入すべきである。ただし、市区町村における選挙人名簿調製システムの改修等、技術上の対応が不可欠となる。
 
 第二は、被選挙権年齢の引下げである。被選挙権年齢は、公職選挙法10条1項各号の規定により、衆議院議員25歳、参議院議員30歳、都道府県議会議員25歳、都道府県知事30歳、市区町村議会議員及び市区町村長25歳と、高い年齢基準が採用されている。18歳選挙権の実現により、選挙権との年齢較差がさらに拡大するが、二院制採用国の下院の選挙制度について見れば、選挙権年齢と被選挙権年齢との5歳以上の較差を許容する例は、かなり少数である。各種選挙ごとに、被選挙権年齢のあり方に対する評価、思惑が様々に絡むが、議員立法による法改正を念頭に、与野党間の合意形成を早期に進めるべきである。もっとも、候補者本人に関し、民法上の制限行為能力者としての疑義が生じないよう、次に触れる成年年齢より低く設定することはできないと解する。

3 18歳成年の法律論

(1) 成年、成人及び大人の概念区分

 民法4条は、「20歳」を以て「成年」と規定する。成年に達した者が「成年者」であり、達しない者が「未成年者」である。

 国語的、社会的意味では、「成人」の方が、「成年者」を含む、広い概念である。しかし、一般の法律用語としては、「成人」ではなく、「成年(者)」及び「未成年者」が通用している。本稿執筆時点では、「成年被後見人」などの用例を含め、民法を含む248本の法律で採用されている。「成人」は、児童福祉法、少年法、国民の祝日に関する法律、社会教育法、知的障害者福祉法及び社会保障制度改革推進法の6本で採用されているにすぎない。「成人」の定義規定を置いているのは、少年法のみである。

 民法上、「成人」を用いる条文は一つもないが、メディアでは、「成年年齢」を「成人年齢」と言い換えるのが通例である。番組、紙面で、「成人年齢の引下げ」と言い換えたテーマでその是非を論じ始めるものの、やがて「大人と子どもを画する年齢の引下げ」という、より抽象化された論点に展開する。その結果、議論の位相幅が広がり過ぎ、法律論を離れ、収拾がつかなくなる。

 「大人」は、「成人」よりも広い概念である。単語として使い易いが、国民の祝日に関する法律でしか使用例がない、事実上の概念にすぎない。「子ども」も、事実上の概念である。「大人」と「子ども」の中間概念を想定するかどうかでも、議論は変わりうる。成年年齢を何歳と定めるべきかという、肝心の法的立論が、結果的に等閑になってしまう。

 法律論の入口で、3つの概念を区別しなければ、成年年齢引下げに関する社会的合意を促すことは困難となる。成年年齢その他の法定年齢の引下げの結果として、「成人」及び「大人」概念に対する社会意識は変わるものであるが、18歳年齢法制改革は、その逆方向の議論を促すものではない。

(2) 成年年齢の法的意義と選挙権年齢との相克

 成年とは、法的概念である。その意義は、次の2点である。

 第一に、個人が単独で契約を行うことが出来る年齢である。未成年者が契約を行う場合には、原則、親権者等の法定代理人の同意を得なければならない(民法5条1項)。未成年者が制限行為能力者と言われる所以である。法定代理人の同意を得ないで行った契約は、未成年者本人又はその法定代理人が、取り消すことが出来る(同法5条2項、120条1項)。成年年齢を18歳に引き下げた場合には、18歳、19歳の者が親の同意なく自由に売買等を行うことが出来るようになる一方、悪徳業者から不当高額な商品を購入した場合であっても、親権者がその売買契約を取り消すことが出来なくなるため、消費者被害が拡大するおそれが高くなる。

 第二に、個人が、親権者の親権に服さなくなる年齢である。親権の内容は、子の監護、教育、居所指定、懲戒、職業許可及び財産管理と多岐にわたる(同法820条〜824条)。成年年齢引下げは、親権を離れ、若年者の自立を促す効果がある一方、自立が元々困難な者にとっては、18歳を迎えた後、親権者の保護を受けられなくなるおそれが生じる。

 成年年齢は、これらの法的意義を有するところ、18歳選挙権に関する規定が適用となった後、選挙権年齢と成年年齢の不一致がもたらす不都合が、早晩、顕在化するおそれがある。例えば、18歳、19歳の者が、選挙運動のボランティアを申し込む際に、民法上の未成年者として評価されるままに「親の同意」を要求されることがありうる。申込者は、一面では選挙運動が可能な主体であるが、他面では行為能力が不完全な者であるとされ、法的評価の相克を抱え込むことになる。親の同意が得られず、ボランティアを断わられることは、一般的な法感覚に反するであろう。

(3) 成年年齢引下げの前提条件

 前記の不都合を回避するためにも、成年年齢引下げの立法措置を可及的早期に行うべきことは言うまでもない。もっとも、選挙権の行使と私法上の契約行為とは、要求される判断能力が同程度でも、意思決定に法的責任が伴うか否かという、重大な相違点があることに留意する必要がある。

 憲法15条4項は「選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。」と、選挙人の無答責を定める。政治的な思想・意見の形成は、思想の自由(憲法19条)の範囲で絶対的に保障され、個別の選挙運動は政治活動の自由として保障される。この場合、法的責任、義務は発生しない。しかし、民法が規律する私法分野では、個人の意思表示により、原則として法律行為が有効に成立し、契約上の責任が発生する。売買契約上の買主であれば当然、代金支払債務が発生する。判断が軽率であれば、先の例(悪徳業者からの不当高額な商品の購入)のようなことが当然、起こり得る。

 法的責任の発生に鑑み、成年年齢引下げの際には、政策上の配慮が不可欠となる。この点、法制審議会答申(平成21年10月28日)は「民法が定める成年年齢を18歳に引き下げるのが適当である」としながら、「現時点で引下げを行うと、消費者被害の拡大など様々な問題が生じるおそれがあるため、引下げの法整備を行うには、若年者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大のおそれ等の問題点に資する施策が実現されることが必要である」と結論付けている。後段の、若年者の自立促進策と消費者被害防止策の実現はともに、成年年齢引下げの前提条件と考えられている。条件成就の判断は、国会の責任である。成年年齢を18歳とする法律をいつ整備するか、周知期間をどの程度置くか、その期間における経過措置を定めるか否か等、18歳選挙権法の施行状況をも考慮しつつ、遅滞なく、責任ある決定を行うべきである。

(4) 成年年齢引下げに連動する法律

 国内法全体を俯瞰すると、多くの法律が、民法上の成年年齢に連動する年齢条項を有している。条文中、「成年(者)」ないし「未成年(者)」の用語を含むことで、成年年齢引下げに係る民法改正が施されれば、当該法律自体の改正を要せず、年齢が自動的に引き下がることになる。よく示される例であるが、競馬法28条は「未成年者は、勝馬投票券を購入し、又は譲り受けてはならない。」と規定するところ、「未成年者」は民法上の定義で完結するため、成年年齢の引下げと同時に、競馬法の改正を行う必要はない。

 政府の整理によれば、民法に連動する法律は155本に及ぶ(平成26年4月1日現在)。士業資格の欠格事由を規定するもの、訴訟法上の能力に関係するもの、競馬等のギャンブル行為に関係するものなどがある。さらに、18歳選挙権法附則8条及び9条が、成年概念と新たに連動させることとした、民生委員の被推薦資格(民生委員法6条1項)、人権擁護委員の候補者資格(人権擁護委員法6条3項)が対象となる。

4 少年法その他の法律の年齢条項の見直し

 以上、法律論及びその前提となる議論を踏まえ、選挙権年齢及び成年年齢の引下げの意義等について述べた。紙幅の関係で詳述できないが、政府の確定方針によると(本稿執筆時点)、少年法適用対象年齢の引下げと同時に、少年院法、更生保護法、売春防止法等、7本の法律改正を要する。

 さらに、成年年齢の引下げに関連して(連動ではない)、”當棉渊料に係る寡婦加算要件(恩給法等の一部を改正する法律(昭和51年6月3日法律第51号)附則14条1項1号)、帰化許可要件等(国籍法3条1項等)、2板躡枷十蠅性別の取扱いの変更の審判をする要件(性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項1号)、ね効期間を5年とする一般旅券の発給要件(旅券法5条2号)、チツ后Φヾ慊硬養成施設の講師の年齢要件(船舶職員及び小型船舶操縦者法17条の2)、水先人養成施設の講師の年齢要件(水先法15条1項2号イ)、Э童∩喙困凌拡重の請求に係る年齢要件(児童福祉法33条の7)、母子福祉資金貸付の対象者である児童の年齢要件(母子及び父子並びに寡婦福祉法6条3項、13条1項)が、見直しの対象となる。

 他方、未成年者飲酒禁止法、未成年者喫煙禁止法、道路交通法、児童虐待の防止等に関する法律、子ども・子育て支援法、国民年金法、教育職員免許法等の年齢条項は、見直しの対象外とする方針が確定している。スポーツ振興投票の実施等に関する法律については、なお検討中である。

 序説で述べた、170本程度に及ぶ対象法律の見直しは、いよいよ本格的な合意形成の段階に入る。しかし、形式的な法律論、立法論を振りかざすだけでは、18歳年齢法制改革は真の意味で完遂しない。知識中心ではない、実践的な市民教育が定着してこそ、改革は成功に導かれる。成人論の再定位を含め、市民教育が果たすべき役割は、量的に増大し、質的に深化している。市民本位の、学際的な議論の展開が望まれる。(了)

(マガジン9)立憲政治の道しるべ 2015/09/30更新
第78回「あと20〜30年は、安倍内閣の独断をはね返す“後戻り”期間となる」
http://www.magazine9.jp/article/rikken/23067/
http://blogos.com/outline/136725/



18歳選挙権の法制化の動向と課題
2014年12月6日
南部 義典

1 国民投票法改正で新たな局面に

 明治期以降、わが国も近代合理主義、平等主義の潮流を受け、人の年齢を基準にして権利義務に関する法制度を構築することが、立憲政治の課題と位置付けられている。これは、立法政策上の線引き問題と単純に捉えられがちであるが、合理的な判断、同意が可能な個人の自律性を探究し、一定の年齢基準に基づく規範を形成する過程には、今後も様々な評価、利害が交錯することになる。

 現在、大人(成人)と子どもを区別する基準を直接定めた法律は存在しない。例えば、祝日法2条は、成人の日の意義を「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。」と定めているが、成人年齢の定義はない。もっとも、政治・社会において基幹的機能を有する4つの法定年齢、即ち、々駝嬰衂叱年齢(国民投票法)、∩挙権年齢(公職選挙法及び地方自治法)、少年法適用対象年齢(少年法)、だ年年齢(民法)は、いずれも満20年(20歳)を基準とし、社会通念上は、これらを根拠に、20歳を以て大人と扱われるべきと考えられてきている。

 他方、18歳を以て大人と扱う国際標準に従い、4つの法定年齢の基準を18歳に引き下げる立法措置が漸次、段階的ではあるが、実現しつつある。憲法上の要請ではないが、4つの法定年齢は立法政策上、乗用車のタイヤのサイズのように一致させるのが望ましいというのが政治・行政部門の共通認識であり、将来的には18歳基準で統一されることになる。

 この意味での年齢法制改革は、改正国民投票法の施行(2014年6月20日)で新たな局面を迎えた。国民投票権年齢は一旦20歳以上に確定したが、施行後4年を経過した日(2018年6月21日)に、自動的に18歳以上に引き下げられる。また、施行後速やかに、公職選挙法等が定める選挙権年齢、民法が定める成年年齢も18歳以上に引き下げることとする国の立法責任も明確に定められた。さらに、与野党8党(自由民主党、公明党、民主党、日本維新の会、みんなの党、結いの党、生活の党及び新党改革)は、選挙権年齢を18歳以上に引き下げるための公職選挙法等の改正(18歳選挙権法の整備)を、施行後2年以内(2016年6月20日まで)に行うことでも合意している。この合意によると、18歳選挙権法が想定どおりに整備され、一定の周知・準備期間の経過後に施行された場合、この施行日が2018年6月20日以前であったとしても、国民投票権年齢も同時に、前倒しで18歳以上に引き下げられることになる。目下、国民投票権年齢及び選挙権年齢の引下げは、少年法適用対象年齢及び成年年齢の引下げに先行する見通しである。

 18歳選挙権法の整備は、国民投票法の全面施行日(2010年5月18日)までに完遂しているはずであった。法整備は著しく遅れ、この間の権利侵害はもはや回復不可能であるが、わが国の年齢法制を一日も早く国際標準に適合させるためにも、18歳選挙権の法制化を着実に進めることが肝要である。

2 18歳選挙権法案の提出
 
 改正国民投票法の成立後、国会では遅滞なく、18歳選挙権の法制化に向けた協議が始まっている。与野党8党(前記)による「選挙権年齢に関するプロジェクトチーム」(以下、「選挙権年齢PT」と記す。)が2014年6月19日に発足し、次に召集される国会(第187回国会(臨時会))で、18歳選挙権法案の提出を目指す方針が確認された。

 第187回国会の召集後、選挙権年齢PTでは18歳選挙権の法制化に係る主要論点、即ち、’齢引下げの対象となる条項の範囲、∩挙犯罪に係る少年法の適用関係、施行期日の設定のあり方(周知・準備期間の幅、地方選挙との関係)、し法・政治教育のあり方、について検討が行われた。第2回会合以降は、参加する政党に異動が生じたものの(自由民主党、公明党、民主党、維新の党、みんなの党、次世代の党、生活の党及び新党改革が参加)、4回の実質的な協議を経て、各党の合意が整い、18歳選挙権法案が衆議院に提出された(2014年11月19日)。しかし、同21日、衆議院の解散によって廃案となった。

 18歳選挙権法案は、第188回国会(特別会)の後、第189回国会(常会)において、再提出する必要がある。この点、再提出は早くても2015年5月中旬になると見込まれる。仮に、法案が同年6月中旬に成立し、規定どおり、公布から1年後に施行されるとすると、18歳選挙権が実現するのは2016年6月中旬頃になる。

 2016年7月には、第24回参議院議員通常選挙が予定されている。18歳選挙権法の施行をこれに間に合わせることが、第47回衆議院議員総選挙(2014年12月14日執行)の後、各党に課せられた至上命題であることは論を俟たない。

3 18歳選挙権法による年齢条項の見直し

(1)18歳以上に引き下げられる年齢

 わが国の年齢法制の体系上、多くの年齢条項が選挙権年齢と連動している。18歳選挙権法による見直しの対象は、公職選挙法を含む9つの法律の、34の年齢条項に及ぶ。以下、主要な改正点について触れる。

 まず、公職選挙法における、未成年者の選挙運動の禁止、未成年者を使った選挙運動の禁止の各規定は、18歳未満の者の選挙運動の禁止、18歳未満の者を使った選挙運動の禁止として、それぞれ改正される。18歳以上の者は、たとえ高校生でも、街頭演説、個人演説会場等における投票の勧誘のほか、SNS等を活用した投票の勧誘が可能となる。18歳、19歳の者は、選挙運動の客体に貶められることなく、主体的、能動的に参画することが可能となる。

 また、地方自治法に基づく直接請求権、即ち、条例の制定・改廃、事務監査、地方議会の解散、地方議会議員・地方公共団体の長等の解職に係る各直接請求の資格が18歳以上の者に認められることになる。請求に際して、自ら署名簿に署名・押印し、請求者となることはもちろん、自ら請求代表者となること、請求代表者の委任を受けて有権者の署名を収集することも可能となる。

 さらに、最高裁判所裁判官国民審査の審査権年齢も、18歳以上に引き下げられる。国民審査は衆議院議員総選挙の際に行われるため、審査権年齢の引下げは当然の措置であるが、国民審査の対象となる裁判官の情報の提供のあり方等、今後検討を要する。

(2)20歳以上のままとなる年齢

 本来、18歳選挙権法に連動して18歳以上に引き下げられるべき年齢条項のうち、あえて連動を外して、現行どおり(20歳以上)とされるものが存在する。仝〇/該紺の選任資格、∈枷衆の選任資格、人権擁護委員の候補者資格、及びぬ雲鍵儖の被推薦資格、の4つである。

 このうち、ゝ擇哭△料任資格は、当分の間、20歳以上に据え置くこととされる。もっとも、このような二重基準を期限なく放置することにならないよう、適時の立法対応が不可欠である。 

 また、5擇哭い琉兢年齢は、選挙権年齢との連動を外し、民法が定める成年年齢と新たに連動させ、将来、成年年齢と同時に引き下げるものとされる。両委員の職務の性質、内容に鑑み、妥当な措置と解される。

4 選挙犯罪に係る少年法の適用関係

 選挙権年齢を18歳以上に引き下げる場合、少年法適用対象年齢は現行の20歳未満のままでよいのかどうか、18歳、19歳の者による選挙犯罪の取扱いをめぐって、少年法の適用関係の問題が顕在化する。具体的には、18歳、19歳の者が、組織的多数人買収罪などの選挙犯罪にコミットした場合、少年法の適用を受け、原則として保護処分の対象とし、刑事処分の対象としないことでよいか、つまり、選挙法制上は一人前の資格を有する者として扱われる以上、成人の刑事事件として刑罰による制裁によるべきではないか、という問題である。

 前記のような法的齟齬を解決するには、まず、18歳選挙権法の整備に合わせて、少年法も同時に改正し、同法の適用対象年齢を18歳未満に引き下げること(18歳少年法の整備)が妥当であると考えられる。

 しかし、18歳選挙権の法制化にあたり、少年法のみならず、関係法律(各種少年院の収容年齢を定める少年院法など)の改正論点も含め、議論の蓄積が十分ではない。これは、改正国民投票法が、国民投票権年齢を20歳以上に確定させたことで、少年法適用対象年齢との法的齟齬が生じず、国民投票犯罪に係る少年法の適用関係の問題が生じなかったことによる。18歳少年法を同時に整備するには、なお一層の時間を費やさなければならなくなる。

 そこで、18歳選挙権法の立案に際しては、少年法適用対象年齢の引下げを前提とせず、選挙犯罪に係る少年法の適用関係を整理する理論構成が求められることになる。

 選挙権年齢PTでは当初、選挙犯罪に限って少年法の適用を除外するという案(適用除外案)への賛同が広がった。18歳選挙権法に少年法の適用除外条項を設けることにより、18歳、19歳の者による選挙犯罪を一律に、刑事処分の対象とする内容である。しかし、〜挙犯罪にも罪質の程度が様々ある中、一律に少年法の適用を除外するのは少年の保護・更生という同法の立法理念を損なう、交通犯罪(危険運転致死傷罪等)においても、少年法の適用除外という法律構成は採られておらず、なぜ選挙犯罪だけを適用除外とするのか根拠が乏しい、などの反対論が示された。

 協議を重ねた結果、適用除外案への賛否両論に対する折衷的立場として、限定的に刑事処分の対象とする案(限定的逆送案)に拠ることとなった。即ち、⑴選挙犯罪のうち、連座制に係る罪の事件について、その罪質が選挙の公正の確保に重大な支障を及ぼすと家庭裁判所が認める場合には、検察官送致(逆送)の決定を行い、また、⑵連座制に係る罪の事件を除いては、家庭裁判所が検察官送致を決定する場合、選挙の公正の確保を考慮して行うこととする内容である。⑴⑵いずれも、選挙犯罪に係る少年法の特例として、18歳選挙権法案の附則に明記された。

 いずれにせよ、18歳選挙権法の整備の後、国民投票権年齢も18歳以上に引き下げられる段階で、国民投票犯罪に係る少年法の適用関係が問題となる。国民投票犯罪には連座制の適用はなく、限定的逆送案と同じ法律構成は採用できない。少年法適用対象年齢の引下げに関しては、それまでに成案を得ておく必要がある。

5 成年年齢の引下げ
 
 民法が定める成年年齢の引下げ(18歳成年法の整備)は、18歳選挙権法の整備が完了した次の段階で行われる見通しとなっている。4つの法定年齢のうち、成年年齢が「大人(成人)と子どもを画する基準」として社会的に最も通用しており、これを引き下げることが、今回の年齢法制改革の本丸と言える。

 個人に要求される判断能力の程度は、政治参加と私法上の契約のいずれの場面においても差異はなく、選挙権年齢と成年年齢は一致すべきであるというのが伝統的な政府見解である。両年齢の不一致がもたらす不都合、例えば、18歳選挙権法により選挙運動が可能となった18歳、19歳の者が、選挙運動のボランティアを申し込む際に、民法上の未成年者として扱われるままに「保護者の同意」を要求されるのは、市民感覚的にも疑問が生じるところである。

 もっとも、政治参加と私法上の契約とは、自己の判断に基づく意思決定に法的な責任が伴うか否かで相異する。憲法15条4項は「選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。」と、選挙人の無答責を定める。選挙人が冗談で特定の候補者・政党に投票しても、責任は一切生じない。しかし、民法が規律する私法の分野では、意思表示が冗談交じりであっても、契約上のリスクの判断理解が不十分であっても、原則、有効な法律行為として成立し、債務履行責任を負うことになる。

 私法上の責任が生じること等、実体社会に与える様々な影響を勘案し、18歳成年法を整備・施行するタイミングが問題となる。この点、政府見解は、若年者の自立を促すような施策や、消費者被害を可及的に防止しうる施策が講じられていることが前提条件になるとする。この前提条件の成就の判断は、消費者教育推進基本方針(2013年6月28日閣議決定)に基づく消費者保護施策群の進捗状況等に鑑み、国会が慎重に行うべきであると考える。

6 憲法・政治教育の充実に関する施策方針

 18歳選挙権法の整備に並行し、若年層に対する憲法・政治教育の充実を図ることが今後、一層重要となる。これは、法整備に並行する施策であって、前提条件ではない。中央教育審議会において学習指導要領の見直し検討が始まったが(2014年11月20日、文科相より諮問)、その結論(答申)を待つまでもなく、18歳選挙権法案を国会で審議する過程で、政府の施策方針を詳しく明らかにする必要がある。
 
 併せて、これに関連し、実践的な憲法・政治教育を推進する上で障壁となっている教育基本法14条2項の解釈・運用を、政治主導で見直す必要があると考える。同項は「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」と、教育の政治的中立性(多数の者に対して強い影響力を持ち得る教育に、一党一派に偏した政治的主義・主張が持ち込まれてはならないこと)を謳っている。実際には、同項の解釈・運用により、教育現場は萎縮し、実践的な憲法・政治教育は敬遠される傾向が強い。また、公立学校の教育公務員に対しては、法令上、政治的行為の制限が掛かっており、テーマが具体的な政治性を帯びるほど、教育現場では扱い難いと受け止められている。

 硬直した行政解釈・運用のレベルを越えるために、国会において憲法・政治教育の推進に向けた新規立法(理念法)を整備することも検討に値する。ただし、党派性を生まないよう、全会一致に近い合意に基づいて立法する必要がある。

7 結語
 
 18歳選挙権法の整備を契機に、今後、年齢法制改革がさらに前進することが期待される。

 もっとも、諸立法に関して、国民(とくに若年者層)に対する情報提供と説明が不十分であり、社会的関心は必ずしも高くない。大局的意味での立法目的が伝わらなければ、若年者の政治的、市民的自律を呼び覚ますことはできず、一時の問題提起に終始するおそれがある。

 政治・行政において、当面の具体的な立法工程を確定させ、スケジュール感を国民と共有することが急務である。そして、国民の側こそ、その工程を厳しく監視し、立法を督促していかなければならない。

 以 上

 〈研究会報告〉2014年度教育イノベーション・プログラム 講義型および参加型によるESD・市民教育の試み

 毎日新聞 2014年7月3日(木) 夕刊3面
 特集ワイド 集団的自衛権行使容認 閣議決定文の「ごまかし」 憲法専門家らがキーワードで読み解く
 http://mainichi.jp/shimen/news/m20140703dde012010003000c.html
 私のコメントが紹介されました。

 憲法を改正するかどうかの投票のルールを決めた国民投票法が、国会で改正されました。投票できるのは、これから4年間は「20歳以上」の人ですが、4年後からは「18歳以上」に引き下げられます。どうしてそうなったのでしょうか。3月まで慶応大学講師をつとめ、『Q&A解説・憲法改正国民投票法』の著者の南部義典(なん・ぶ・よし・のり)さんに聞きました。

 憲法を改正するには、国会が3分の2以上の賛成で提案して、国民投票にかけなければなりません。しかし、国民がどのように投票するかは、憲法では決まっていません。そのため、2007年、国民投票法が国会でつくられました。

 国民投票法では、18歳以上が投票できることになりました。国会議員や知事、市長などの選挙で投票できる選挙権は20歳以上です。大人とみとめられるのも、民法という法律で20歳と決められています。国民投票だけ18歳以上にしたのは、なぜでしょうか。

 南部さんは「憲法を改正するのは、人の一生のうちに何度もあることではありません。そのため、できるだけ若い人たちの意見も聞こうということになったのです。また、世界の多くの国々では、国民投票や選挙、大人の年齢は18歳以上です。国民投票をきっかけに、選挙権と大人の年齢も18歳に引き下げようとしたのです」といいます。

 国民投票法は、3年後の施行(法律を実行すること)までに、選挙権と大人の年齢を18歳以上にそろえるよう国に宿題を出しました。2010年、国民投票法が施行されました。ところが、いまでも選挙権と大人の年齢は20歳以上のままです。どうしたのでしょうか。

 「国会議員や役所が宿題をさぼったのです。そのため、国民投票と選挙、大人の年齢がちがうという予想外のことがおきました。国民投票に参加できるのは、18歳以上なのか20歳以上なのかが、はっきりしなくなったのです。これでは国民投票はできません」

 国民投票ができなければ、憲法改正はできません。そこで憲法改正に熱心な自由民主党(自民党)が中心になって、国民投票の年齢をはっきりさせようとしたのです。

 今回の改正で、これから4年間は20歳以上、そのあとは18歳以上が投票することになりました。18歳以上の投票は、なぜ4年間待つことになったのでしょうか。

 「自民党の中から『18歳で国民投票に参加させるのは早すぎる』という意見が出てきたからです。同じ与党(政府をささえる政党)の公明党は18歳を主張しました。そのため、両方の意見の間を取ったのです」

 宿題だった選挙権と大人の年齢は、18歳に早くそろえることになりました。選挙権については、ほとんどの政党が2年以内に18歳以上にすることを約束しました。大人の年齢を18歳にすることについては、期限がついていません。

 「古い宿題のかわりに新しい宿題が出されたわけです。こんどこそ、国会議員や役所はさぼらないでほしいですね」

 今回の改正で、公務員も憲法改正について意見をいったり、ほかの人に賛成か反対かの投票をするようすすめたりすることができるようになりました。こうしたことを決めたのはなぜですか。

 「公務員はだれに対しても、中立でなければなりません。選挙では、だれかを当選させようと運動をしてはいけません。しかし、憲法を改正するかどうかは大事なことですので、公務員も自分の意見をいったり、運動をしたりできるようにしたのです」

 国民投票のルールがかなりととのいました。これで憲法改正は進むのでしょうか。

 「憲法改正については政党の間で、いろいろな意見があります。国会が憲法改正案をつくり、国民投票にかけるには、時間がかかると思います」

 いまの小学生もいずれ国民投票に参加することになるかもしれません。

 南部さんは「憲法は個人の権利や自由を守るためのものです。憲法を変えることを国会が提案してきたときには、個人の権利や自由をもっと広げることになるのかどうかを考えて、賛成か反対かを決めてほしいですね」といいます。

 朝日小学生新聞(2014/6/17)

 11日午後、国分寺・市民憲法教室にて、講演を行ってきました。
 テーマは、「1年を見通した政治の動きを検証する」。

 日本国憲法の制定意義、目的を確認したあと、
 1.政府における憲法解釈変更(集団的自衛権の行使容認)
 2.特定秘密保護法の施行準備
 3.参議院の選挙制度改革
 4.国民投票法改正と憲法改正論議
 に関する政治の動きについて、お話させていただきました。

20140511P1130417_009 4.については、国民投票法の改正法が施行される2014年6月以降の動きから
 目を離すことができません。
 とくに選挙権年齢等を18歳に引き下げる法整備がどのように進んでいくのか、
 政治任せではなく、社会的な関心がさらに広がり、議論が深まっていくことを願ってやみません。

 国分寺・市民憲法教室は、今期で21年目に入りました。
 今回も多くのご参加のなか、熱心なご質問を頂戴しました。
 千葉、埼玉、神奈川からお越しいただいた方もいらっしゃいます。
 憲法論議を実践していく場面で、私の話が少しでもお役に立てれば光栄です。
 
 市民憲法教室:対話重ねて学ぶ…国分寺で20年(毎日新聞 2014年05月01日 12時56分)
 http://mainichi.jp/select/news/20140501k0000e040245000c.html
 
 2014年度・講座のご案内
 http://kkbnjkenpou.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

 参議院憲法審査会規程の議決が近づきました。
 両院がねじれてからは、この動きは止められないと
 読んでいましたが、ようやく目途が立ったことになります。
 違法状態からの脱却に、一歩近づきました。

 衆院規程の議決(2009年6月)は、自民・公明の多数による
 可決であったのに対し、
 参院規程のは、与党と野党第一党の合意が整っていることで、
 強引なやり方は何とか回避できそうです。

 もっとも、民主党の対応(責任)が問われます。
 衆院規程には「反対」の討論・表決をし、
 参院規程には「賛成」の討論・表決をすることになれば、
 一貫性がないことになります。
 
 場当たり的に考え、対応しているのではないかという、
 批判、懸念が生まれてくるでしょう。
 衆参両院でブリッジした、全党的な意思統一がないと
 混乱が生じえます。

 幹事・委員の選任は、来年以降になるでしょう。
 まして、参院から先にスタートするというのでは、
 まさに自殺行為です。。。

 中山太郎・元衆議院憲法調査特別委員長が、
 自民党を離党する意思を固めた、とのニュースが入りました。

 満85歳ですが、新党での立候補を視野に入れているとのこと。
 政治に対する情念、政治家としての強固な信念を感じます。

 いっそ、立憲新党の本格的な立ち上げに期待します。
 中立・公正な憲法論議を何よりも重んじ、憲政の発展を志向する、
 <<中山太郎新党>>を立ち上げるのです。

 「第三極」とは違って、国政上の「扇の要」として、
 党派を超えた、御意見番たる活躍に、改めて期待します。

 そんな中、船田元・元衆議院憲法調査特別委員会理事は、
 「政治休戦」を呼びかけようとされました。
 
 「憲法のための政治休戦」緊急アジェンダ(案)

 損得抜きの、理性的な働きかけに呼応できない、
 立法府の現状を憂うばかりです。。。

 

 自民党の様子はまったく分かりませんが、
 果たして意味ある対立なのでしょうか…?!
 

 自民党憲法改正推進本部(保利耕輔本部長)は13日、党独自の憲法改正原案について、今国会の会期内提出に向け作業を進める方針を確認した。(→つづき

 JC奈良ブロック協議会主催「憲法タウンミーティング」の講演で、
 奈良県橿原市を訪問しました。

 名古屋から近いようで遠い、遠いようで近い・・・
 名阪特急で、三重と奈良の県境がよく分からないまま、
 ちょっとした遠征になりました。

 そういえば、大学4年のとき、平安遷都1200年でした。
 平城建都1300年はずっと先だなと思っていたのですが、
 あっという間に年月が過ぎ去ったようです。

 さて、講演の中身ですが、
 「この人は、護憲派なんだろうか、改憲派なんだろうか・・・」
 「一体、どっちなんだろう?」
 と多くの方に感じていただけたとすれば、 
 講演目的の半分は達成したと思います。

 憲法審査会が休眠し、その眠気が国民全体を覆うようになり、
 旧来的な護憲派、改憲派が、旧守的、原理主義的な態度に
 回帰してしまっているのが現状といえましょう。

 護憲/改憲の枠を取っ払い、与野党の枠を超え、
 国会と国民が対話を進めていく以外に、
 日本の constitution の発展はないと思います。

 憲法のどの条文(原理)を変えるべきではないのか、
 各党が共通認識を持てるようにすることも、
 憲法審査会の重要な役割なのです。

 議論の土俵づくりの重要性は、説得的に伝わったはずです。

 さて、講演目的の残りの半分ですが、
 「3分の2ルール」の話を強調しておきました。

 質疑応答の部分でも触れましたが、
 自民党が単独で憲法改正原案を衆院に発議すれば、
 無意味なものとして一蹴されるだけならまだしも、
 他党との間の信頼関係が破談し、
 憲法論議をさらに100年先に戻すことになりかねません。
 
 憲法史、憲法論議に汚点を残すことでしょう。

 また、民主党の問題点も、明確に指摘しておきました。

 いわば、壁にボールを当てても、当てる位置によって
 はねかえり方がまったく異なるというように、
 あまりにもバラバラ過ぎて、国民には理解できないでしょう。

 各議員が「素」の状態で、勝手な「見解」を述べています。
 とても無責任なことです。

 衆議院憲法調査会が健全に運営されていた当時の政治理性を
 取り戻し、国会は憲法論議の「原点」に立ち還るべきです。
 
 来年は、10代・20代の若い世代が昂揚感を覚えるような
 憲法記念日であってほしいものです。。。

65dbb9d2.jpg 8日午後、JC関東地区東京ブロック協議会主催で、「今!憲法を語るとき〜これまでの憲法とこれからの憲法を考える」と題した、船田元自民党憲法審議会会長代理の講演会が開催されました。

 講演では、憲法審査会の意義と役割、現行憲法で変えるべきところ、変えるべきでないところなどに触れながら、市民の議論を喚起する必要性を訴えました。予め準備されたレジュメに従って、時間通りに終わらせるところが船田先生らしいと思いました。

 参加者からは、憲法改正は裁判員制度以上に国民の拒否反応を巻き起こすのではないか?それにはどう対処すればいいか?などの質問が出されました。

 日本JC「We Believe」2008,vol.1をぜひご一読下さい。

 今こそ憲法を語ろう―1月19日、京都で開かれた「憲法タウンミーティング」における辻元清美(社民)、葉梨康弘(自民)各代議士の発言が載っています。

 憲法論議に対する二人のスタンスはさほど変わりません。辻元さんは自由な憲法論議の必要性を説き、葉梨さんはここでも自民党草案を批判しています。改憲/護憲という対立の枠組みが次第に崩れていることを実感します。これでいいと思います。

 日本JC憲法改正運動実践委員会のウェブサイト
 http://www08.jaycee.or.jp/2008/constitution/

 超党派の国会議員らでつくる「新憲法制定議員同盟」は4日の総会で、自民・民主両党の幹事長らを役員に加えることを了承し、与野党の対立で見送られている衆参両院の憲法審査会の発足に向け、活動を活発化させたいとしています。(→つづき

 3月に入りました。

 政府予算案が衆院を通過したことで、平年であればベルトコンベア式に、いろいろな法律案の審査が始まっていくわけですが、両院がねじれているために、そうは行きません。第167回国会以降、その運営は手探りによるところが大です。

 予算案や法律案の審査、審議をどう進めるか、どう反対するかという国会対策のレベルの議論の中で、憲法審査会が相変わらず犠牲になっています。改正国会法の施行から7か月経過しています。憲法審査会規程を議決するに合理的な期間を悠に超え、国会の不作為は明らかに違法であるといえます。

 憲法審査会立上げの議論に触らないでおくという「空気」は、国会じゅうに蔓延しています。何の脈絡もなく憲法審査会の話を持ち出すと、KYだということになるので、誰が主犯であるというわけでもなく、全党的に、意識的に避けられているというのが現実ではないでしょうか。

 国会における憲法論議の放棄、不作為がこれ以上続くことに、大変な危機感を覚えます。
 また、憲法審査会が立ち上がらないこと自体が、憲法を護ることにとってよいことだとの勘違いが増えてくることも心配です。

 成人年齢に関する内閣官房の検討会は当分羽休めですが、法制審議会は11日から実質的な議論をスタートさせます。
 政治的に高い立場から政府の検討状況をチェックするのが憲法審査会の役割です。もはや一刻の猶予もありません。

 拙著を読んで下さった方から、内容に関して質問を受けることがあります。
 いつもは、出版社宛に文書で質問を送っていただくのですが、急ぎでどうしても電話で回答願いたいという方から先日問い合わせがあり、私から電話した次第です。

 憲法、法律などまったく目を通したことがないというその方は、懸命に拙著の隅々まで目を通していただいたのですが、どうしても、内容関連事項ごとに憲法改正原案を発議するという意味、そして個別投票との関係が分からなかったとのことでした。

 拙著の記述は、立法者意思そのまま、つまり個別の憲法政策ごとに民意を問うという要請、相互に矛盾のない憲法体系を構築するという要請のバランスで決せられますとの解説にとどまっていますが、憲法改正原案がどういう形式、方式でつくられ、国会で議論が始まるのかという手続の原初は、やはり一般の方々からはイメージされにくいようです。

 そこで、私は最近、こんな例えをすることにしています。(憲法改正原案を粗末に扱っているようで、あまりいい例えではないのですが。。。)

 それは、ごみ出しのルールです。
 日常、決められた日に、燃えるごみ、資源ごみ、缶・ビンなど、予め袋に分別してごみを出すのが一般です。無分別にひとつにまとめてごみ出しをするのではなく、また、焼却直前にごみを分別するのでもなく、あくまでも出すときから分別を徹底するという、ごく一般的なごみ出しルールに近似していると考えました。

 さらに言えば、ごみを一つひとつ、個別に袋に入れるわけではありません。「燃える」とか、「資源」とか、分別の基準ごとに袋が分けられ、それぞれまとまっています。そして投票用紙は、ごみ袋を単位として与えられると考えるのです。ルールに違反したごみ出しは、近隣の迷惑であるとともに、持って帰って下さいねという話になります。

 到底、出版物の中では失当な表現となりますが、この例を持ち出して解説の趣旨を申し上げ、納得していただきました(笑)。
 
 どこでどんな方が拙著を手に取って下さっているか分かりません。見えない読者の疑問点をつくづく感じる今日この頃です。

 本日、自民党憲法審議会が開かれました。第169回国会では初となります。

□朝日新聞 「18歳成人」自民憲法審も議論開始 
□MSN産経ニュース 自民党憲法審議会、活動を再開 論議活性化が課題
□時事通信 「18歳成人」議論に着手=国民投票法、2年後施行へ準備−自民憲法審

 建国記念の日の11日、これを祝う式典や反対する集会が各地で開かれました。このうち、東京・渋谷区で開かれた式典では「憲法改正の議論を活発化する」とする決議を、また、東京・中央区で開かれた集会では「憲法改悪を阻止する」という決議をそれぞれ採択しました。(→つづき

 自民党は、衆参両院に設置される「憲法審査会」が野党側の反対で発足できない状態が続いている中、憲法改正を行うための国民投票の実施に向けて内容を詰めておく必要がある課題について、党内に専門の作業部会を設け、独自に検討を進めることになりました。(→つづき

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