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タグ:憲法審査会

 1日朝刊6面「テレビCM規制巡り与野党対立 憲法改正国民投票」

 国民投票のCM規制を巡る論点でまず大切なのは、CMの量的な問題よりも「条件が平等であるかどうか」という点だ。不平等な扱いは、結果に対する信頼を損ねるからだ。

 国民投票法の改正を巡っては投票年齢引き下げを決めた2014年以降、各党間の真摯(しんし)な合意形成が行われたためしがない。もっとも、先の国会では国民民主が独自の改正案を提出した。この案では政党によるスポットCMの原則禁止や特定団体の運動費用の限度額設定、収支報告の義務化などが盛り込まれている。
(続き)
 https://mainichi.jp/articles/20190701/ddm/004/010/057000c

20190701_052151

2019(平成31)年3月20日

国民投票運動CMなどの取り扱いに関する考査ガイドラインの公表について

日本民間放送連盟


(放送事業者の責務)
 日本国憲法の改正手続に関する法律(国民投票法)は、国民投票運動を「憲法改正案に対し賛成又は反対の投票をし又はしないよう勧誘する行為」と定義し、国民一人ひとりが萎縮することなく国民投票運動を行い、自由闊達に意見を闘わせることが必要であるとの考えから、国民投票運動は原則自由とされている。
 ただし、放送においては、▽国民投票に関する放送については、放送法第4条第1項の規定の趣旨に留意するものとする(第104条)、▽何人も、国民投票期日前14日から投票日までの間においては、国民投票運動のための広告放送をし、又はさせることができない(第105条)――と規定されている。これは、言論に対しては言論で対処することを前提としつつも、放送メディアの影響力の大きさを踏まえたものと言える。
 憲法改正という国の骨格を定める重要な問題について、報道・広告を含めた放送全ての側面で、正確かつ多角的な情報を積極的に提供することは、放送事業者の当然の責務である。さらに、国民投票運動期間中に取り扱うCMについても、国民投票運動の自由を原則としつつ、放送メディアの影響力を自覚し、視聴者の利益に適うという放送基準の目的を達成するものでなければならないことは言うまでもない。

(ガイドラインの位置付け)
 民放各社で国民投票運動CMを取り扱うにあたっては、他のCMと同様、自社の番組基準(民放連 放送基準)に基づき、適切な考査を行うことは当然であるが、国民投票運動というこれまで経験したことのない事象に取り組むことになる。このため、「憲法改正国民投票運動の放送対応に関する基本姿勢」で示された考え方を、民放各社が具体的な考査判断に適用できるよう、特に留意すべき事項を現時点でまとめたものが、このガイドラインである。番組基準(民放連 放送基準)の運用は、民放各社が自主・自律的に運用することとしており、この考査ガイドラインも民放各社が自ら判断するための参考資料と位置付けるものである。なお、本ガイドラインは必要に応じて見直すことがある。

(原則)
 「憲法改正国民投票運動の放送対応に関する基本姿勢」は、国民投票運動CMはその内容から、より慎重な対応が求められるものであり、放送基準第89条「広告は、真実を伝え、視聴者に利益をもたらすものでなければならない」を前提に、▽広告は、たとえ事実であっても、他をひぼうし、または排斥、中傷してはならない(第101条)、▽番組およびスポットの提供については、公正な自由競争に反する独占的利用を認めない(第97条)――などについて、特に留意することを求めている。
 さらに、投票を直接勧誘しないものの、国民投票運動を惹起させるCMや憲法改正に関する意見を表明するCMなどについても、主権者一人ひとりが冷静な判断を行うための環境整備に配慮することを目的に、国民投票運動CMと同様、投票期日前14日から投票日までの間は取り扱わないことを推奨している。
 この「基本姿勢」を前提としつつ、これまで各社が培ってきた「意見広告」に関する考査上の留意点などを踏まえ、国民投票運動CMなどの考査に当たる必要がある。

(考査ガイドラインの適用範囲)
(1)この考査ガイドラインは、「国民投票運動CM」と「憲法改正に関する意見を表明するCMなど」に適用する。
(2)「国民投票運動CM」とは、憲法改正案に対し賛成・反対の投票をするよう(または投票しないよう)勧誘する内容のCMを指す。
(3)「憲法改正に関する意見を表明するCMなど」とは、憲法改正案に対する賛成・反対の意見の表明にとどまり、投票の勧誘を行わない内容のCMや、憲法改正には直接言及しないものの、CM全体からみて憲法改正について意見を表明していると放送事業者が判断するCMを指す。また、意見広告や政党スポットにおいても、CM全体からみて憲法改正について意見を表明していると放送事業者が判断するCMは「憲法改正に関する意見を表明するCMなど」に含むものとする。
(4)このガイドラインで「CM」と記載している場合、「国民投票運動CM」と「憲法改正に関する意見を表明するCMなど」を指すものとする。

(広告主)
(5)広告の出稿を受け付ける法人・団体については、これまでの活動実績や放送基準各条などを踏まえ、広告主としての適否を放送事業者が総合的に判断する。
(6)個人が出稿するCMは、個人的売名につながりやすく、また、放送にはなじまないことから取り扱わない。
(7)放送事業者は、広告主の意見・主張の内容やそれぞれの立場などにかかわらず、CM出稿の要望には真摯に応対しなければならない。
(8)放送事業者は、「国民投票運動CM」および「憲法改正に関する意見を表明するCMなど」を受け付ける用意があることを、CM出稿を希望する広告主に対して明示するよう努める。

(出演者)
(9)政党その他の政治活動を行う団体がCMを出稿する場合、選挙(事前)運動であるとの疑いを排するため、政党スポットと同様、所属議員の出演は原則、党首または団体の代表のみとする。
(10)児童・青少年が出演する場合、その年齢にふさわしくない行動や意見表明を行わせるCMは取り扱わない。

(CM内容)
(11)CM内容は、たとえ事実であっても他をひぼうし、または排斥・中傷するものであってはならない(放送基準第101条)。さらに、他への名誉毀損やプライバシーを侵すものであってはならない。
(12)視聴者の心情に過度に訴えかけることにより、冷静な判断を損なわせたり、事実と異なる印象を与えると放送事業者が判断するCMは取り扱わない。
(13)複数の意見や主張が混在して、視聴者にわかりにくい内容となっているCMは取り扱わない。
(14)企業広告や商品広告に付加して主張・意見を盛り込むCM(「ぶら下がり」など)は取り扱わない。
(15)CMには広告主名と連絡先(CMに対する意見の受け付け窓口)を視聴者が確認できる形で明示したものでなければ、取り扱わない。
(16)「国民投票運動CM」の場合はその旨をCM内に明示したものでなければ、取り扱わない。また、「憲法改正に関する意見を表明するCMなど」は「意見広告」である旨をCM内に明示したものでなければ、取り扱わない。

(その他)
(17)放送事業者の意見と混同されないようにするため、CMの放送時間帯はニュースの中・直前・直後を避ける。また、特定の広告主のCMが一部の時間帯に集中して放送されることがないよう、特に留意する必要がある。
(18)出版物やイベントの告知であっても、その内容などから国民投票に影響を与えると放送事業者が判断するCMについては、「国民投票運動CM」「憲法改正に関する意見を表明するCMなど」に準じて取り扱う。
(19)上記の留意点を踏まえ適切な対応を行うために、十分な時間を取り、絵コンテ段階から考査を行う。
以 上


 https://www.j-ba.or.jp/category/topics/jba102826

 知識・情報&オピニオン imidas
 自民党”改憲シフト”のリアリズム ―安倍三選…それでも憲法改正論議は進まない―

 安倍晋三氏が自由民主党総裁選に連続3選を果たし、安倍氏がこだわる「悲願の改憲」への動きが加速するのではないかと言われている。2017年に改憲論議について寄稿していただいた南部義典さんに、最近の憲法改正国民投票への動きについて分析をお願いした。(→)

 https://imidas.jp/jijikaitai/c-40-115-18-11-g703

 
 

日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案要綱


一 公正な国民投票運動等の実施のための措置

1 政党等による国民投票運動等のための広告放送の制限

 政党等は、第106条第2項の届出をした日の翌日から国民投票の期日までの間においては、同条の規定による場合を除くほか、放送事業者の放送設備を使用して、国民投票運動等(国民投票運動又は憲法改正案に対する賛成若しくは反対の意見の表明をいう。以下同じ。)のための広告放送をすることができないこと。(第106条の2関係)

2 国民投票運動等に関する収支の透明化及び支出金額の制限

(1)国民投票運動等に関する収支の透明化

 ‘団蟾駝嬰衂識親庵賃里瞭禄亠擇喙支報告

 国民投票運動等に関する支出の金額が1,000万円を超える団体(以下「特定国民投票運動団体」という。)について、国民投票広報協議会への届出及び収支報告書の提出を義務付けるとともに、これらをインターネットの利用その他の適切な方法により公表する措置を講ずること。(第107条の2〜第107条の12等関係)

◆ヾ麌蹐坊犬詆充又は通知

 特定国民投票運動団体は、国民投票の期日までに寄附を受けようとするときは、当該寄附に係る金銭、物品等が国民投票運動等のために使用される可能性がある旨をインターネットの利用その他の適切な方法により表示し、又は当該寄附をしようとする者に対し通知しなければならないこと。(第107条の15関係)

(2)国民投票運動等に関する支出金額の制限

 国民投票運動等に関する支出の金額は、一の特定国民投票運動団体について、5億円を超えることができないこと。(第107条の14関係)

3 インターネット等を利用した国民投票運動等の適正化

(1)インターネット等を利用する方法により文書図画を頒布する者の表示義務

 ‘団蟾駝嬰衂識親庵賃里蓮▲ぅ鵐拭璽優奪氾を利用する方法により国民投票運動等のために使用する文書図画を頒布するときは、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に当該特定国民投票運動団体の名称及び主たる事務所の所在地、電子メールアドレス等その他国民投票広報協議会が定める事項が正しく表示されるようにしなければならないこと。(第103条の2第1項関係)

◆‘団蟾駝嬰衂識親庵賃琉奮阿亮圓蓮▲ぅ鵐拭璽優奪氾を利用する方法により国民投票運動等のために使用する文書図画を頒布するときは、その者の電子メールアドレス等が、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に正しく表示されるようにしなければならないこと。(第103条の2第2項関係)

(2)国民投票運動等に関するインターネット等の適正な利用

 々駝嬰衂識親暗に関しインターネット等を利用する者は、虚偽の事実を記載する等表現の自由を濫用して国民投票の公正を害することがないよう、インターネット等の適正な利用に努めなければならないこと。(第103条の3関係)

◆々駝嬰衂執報協議会は、国民投票運動等に関するインターネット等の適正な利用のための指針を作成するものとすること。(第14条第1項第7号関係)

4 国民投票の当日における国民投票運動の禁止

 何人も、国民投票の当日、国民投票運動をすることができないこと。(第100条の2関係)

二 憲法改正案の広報の充実強化及び投票環境の整備等

1 憲法改正案の広報に係る財政上の措置等

 憲法改正案の広報については、これが憲法改正案に関する国民の理解と関心を深めるとともに、正確な情報に基づく多様な意見を踏まえた国民の議論及び投票人の賛成又は反対の判断の基礎となるものであることに鑑み、国民が国民投票公報の配布、国民投票広報協議会による放送及び新聞広告、説明会の開催並びにウェブサイトの開設等の多様な手段を通じた憲法改正案に関する広報に接する機会を十分得られることとなるよう、必要な財政上の措置その他の措置が講ぜられなければならないこと。(第14条第4項関係)

2 投票環境の整備並びに投票の意義及び重要性の周知

 総務大臣、中央選挙管理会、都道府県の選挙管理委員会及び市町村の選挙管理委員会は、国民投票が憲法改正案について広く国民の意思を問うものであることに鑑み、投票人の投票しやすい環境の整備に努めるとともに、国民投票に際し、投票人の投票の意義及び重要性を投票人に周知させなければならないこと。(第19条第1項関係)

3 多様な意見に接する機会についての配慮

 国民投票の実施に当たっては、あまねく全国において、かつ、それぞれの地域における様々な場において、憲法改正案に対する賛成意見及び反対意見が公正かつ平等に紹介されること等を通じて、国民が憲法改正案に関する多様な意見に接する機会を得られることとなるよう配慮されるものとすること。(第9条の2関係)

三 選挙運動期間と国民投票運動の一定の期間が重なることを回避するための措置

1 衆議院議員の任期満了による総選挙又は参議院議員の通常選挙との重複の回避

 国会が憲法改正を発議した日から起算して180日以内の期間が、衆議院議員の任期満了の日前42日から当該任期満了の日後44日に当たる日までの間(以下1において「衆議院議員任期満了総選挙関連期間」という。)又は参議院議員の任期満了の日前47日に当たる日から当該任期満了の日後44日に当たる日までの間(以下1において「参議院議員通常選挙関連期間」という。)にかかる場合においては、第2条第1項の規定にかかわらず、国民投票は、国会が憲法改正を発議した日から起算して60日以後240日以内の期間(衆議院議員任期満了総選挙関連期間及び参議院議員通常選挙関連期間を除く。)において、国会の議決した期日に行うこと。(第2条第2項関係)

2 衆議院の解散による衆議院議員の総選挙との重複の回避

(1)国民投票の期日の延期

 国会が憲法改正を発議した日から国民投票の期日前15日に当たる日までの間に衆議院が解散されたときは、国民投票の期日は、第2条第4項の規定により告示された期日後42日に当たる日に延期するものとすること。この場合においては、中央選挙管理会は、直ちにその旨を告示しなければならないこと。

(2)衆議院の解散による衆議院議員の総選挙を行うべき期間の特例

 国民投票の期日前14日に当たる日から国民投票の期日までの間に衆議院が解散されたときは、公職選挙法第31条第3項の規定にかかわらず、衆議院の解散による衆議院議員の総選挙は、解散の日から34日後40日以内に行うこと。(公職選挙法第31条第4項関係)

四 罰則

 所要の罰則を設けること。(第122条から第122条の7まで及び第125条の2関係)

五 施行期日等

1 施行期日

 この法律は、公布の日から起算して1月を経過した日から施行すること。(附則第1条関係)

2 適用区分

 改正後の規定は、この法律の施行の日以後にその期日を告示される国民投票について適用し、この法律の施行の日前にその期日を告示された国民投票については、なお従前の例によること。(附則第2条関係)

3 その他

 その他所要の規定を整備すること。 

 日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案概要

 2018年5月17日 自民・公明両党提案@衆議院憲法審査会幹事会
 2018年5月22日 自民党総務会了承


一 投票環境向上のための公職選挙法改正並びの改正

1 投票人名簿等の縦覧制度の廃止及び閲覧制度の創設(第29条の2、第29条の3関係)
 投票人名簿及び在外投票人名簿の内容確認手段について、個人情報保護の観点から、従来の縦覧制度を廃止し、閲覧できる場合を明確化、限定した新たな閲覧制度を創設すること。
・投票人名簿等の抄本の閲覧をできる事由を法律上明記すること。
・閲覧を拒むに足りる相当な理由があると認められるときは、閲覧を拒むことができるものとすること。
・不正閲覧対策に関する措置(罰則や過料を含む。)を法律上規定すること。

2 「在外選挙人名簿」の登録の移転の制度(出国時申請)の創設に伴う国民投票の「在外投票人名簿」への登録についての規定の整備(第35条関係)

 出国時に市町村の窓口で在外選挙人名簿への登録を申請できる制度(出国時申請)が新たに創設されたが、これを利用して、国民投票の投票日の50日前の登録基準日直前に出国した場合に、国民投票の在外投票人名簿に反映されない場合があり得るので、この「谷間」を埋めるための法整備を行うこと。

3 共通投票所制度の創設(第52条の2関係)

 投票の当日、市町村内のいずれの投票区に属する投票人も投票することができる共通投票所を設けることができる制度を創設すること。

4 期日前投票関係

 ヾ日前投票事由の追加(第60条第1項関係)
 期日前投票事由に「天災又は悪天候により投票所に到達することが困難であること」を追加すること。

◆ヾ日前投票所の投票時間の弾力的設定(第60条第6項関係)
 開始時刻(8:30)の2時間以内の繰上げ及び終了時刻(20:00)の2時間以内の繰下げを可能とすること。

5 洋上投票の対象の拡大(第61条第7項関係)

 外洋を航行中の船員について、ファクシミリ装置を用いて投票することができるようにする洋上投票制度について、(惶甲崟卅ヅの船員及び⊆遜を行うため航海する学生・生徒も対象とすること。

6 繰延投票の期日の告示の期限の見直し(第71条第1項関係)

 天災等で投票を行うことができないとき又は更に投票を行う必要があるときに行う繰延投票の期日の告示について、少なくとも5日前に行うこととされていたものを少なくとも2日前までに行えば足りることとすること。

7 投票所に入場可能な子どもの範囲の拡大(第72条第2項関係)

 投票所に入ることができる子供の範囲を、「幼児」から「児童、生徒その他の18歳未満の者」に拡大すること。

8 郵便等投票の対象の拡大(第61条第2項関係)
 郵便等投票の対象について要介護5の者から拡大すること。

二 施行期日等

1 施行期日(附則第1条関係)

 この法律は、公布の日から起算して3月を経過した日から施行すること。ただし、一の8(郵便等投票の対象の拡大)及び2(2)は公布の日から起算して1年を経過した日から施行すること。

2 適用区分(附則第2条関係)

(1)一の1から7までは、この法律の施行の日以後に登録基準日がある国民投票について適用し、この法律の施行の日前に登録基準日がある国民投票については、なお従前の例によること。

(2)一の8は、一の8の施行の日以後に登録基準日がある国民投票について適用し、一の8の施行の日前に登録基準日がある国民投票については、なお従前の例による。

3 その他
 その他所要の規定を整備すること。 

憲法改正に関する議論の状況について


平成30年3月24日
自由民主党
憲法改正推進本部

1 これまでの議論の経過

(1)自由民主党における憲法論議

 日本国憲法は,昨年5月3日に施行70周年を迎えた。この間,国民主権,基本的人権の尊重,平和主義など憲法の基本原理は定着し,国民の福祉,国家の発展に大きな役割を果たしてきた。一方,70年の歴史の中でわが国内外の環境は大きく変化しており,憲法の規定の一部には今日の状況に対応するため改正すべき項目や追加すべき項目も考えられる。
 自由民主党は結党以来,現行憲法の自主的改正を目指し,「憲法改正大綱草案」(昭和47年),「日本国憲法総括中間報告」(昭和57年),近年では「新憲法草案」(平成17年),「日本国憲法改正草案」(平成24年)などの試案を世に問うてきた。これらは,党内の自由闊達な議論を集約したものである。
 平成28年の初めから,憲法改正推進本部は具体的な改正項目を検討するため,総論的なテーマを掲げた有識者ヒアリング(平成28年2月〜5月),各論的なテーマを掲げた有識者ヒアリング(平成28年11月〜29年6月)を行い,知見の集積及び議論の整理を行ってきた。
 こうした知見や議論を踏まえ,わが国を取り巻く安全保障環境の緊迫化,阪神・淡路大震災や東日本大震災などで経験した緊急事態への対応,過疎と過密による人口偏在がもたらす選挙制度の変容,家庭の経済事情のいかんに関わらずより高い教育を受けることのできる環境の整備の必要性など,わが国が直面する国内外の情勢等に鑑み,まさに今,国民に問うにふさわしいと判断されたテーマとして,^汰簡歉磴亡悗錣襦崋衛隊」,統治機構のあり方に関する「緊急事態」,0貮爾粒唳垢斑楼茲量碓嬌娠任問われる「合区解消・地方公共団体」,す餡班看の計たる「教育充実」の4つを取り上げ,優先的な検討項目とした。
 平成29年6月からこの4項目について憲法改正推進本部会議を約20回開催し,精力的に議論を進めてきた。

(2)憲法改正推進本部における議論の状況

 憲法改正は,わが国が初めて取り組む歴史的な事業である。その国の民主主義や立憲主義を高めるものであり,知見に加え謙虚さと深慮が求められる。憲法改正に当たっては,改正の条文についての表面的な議論にとどまるのではなく, 屬覆爾修硫正が必要なのか」(改正の必要性)を,その具体的な立法事実に即して検討した上で,それを踏まえ,◆峅正の方向性」や「条文イメージ」について議論を行わなければならない。
 このような基本姿勢の下,憲法改正推進本部においては,これら4項目について,精力的な議論を積み重ね,昨年12月20日,それまでに集積された知見や議論を整理し,中間報告として,「憲法改正に関する論点取りまとめ」を発表した。
 憲法改正推進本部では,今年に入り,これら4項目について一定の方向性を得た。なお,「条文イメージ(たたき台素案)」は,今後,各党や有識者等の意見を踏まえ,具体的条文案の完成を目指す。現時点における議論の状況と方向性は,以下の通りである。

2 各テーマにおける議論の状況と方向性

(1)自衛隊の明記について

【現行憲法下における自衛隊の位置付け】

 9条2項は,「戦力の不保持」と「交戦権の否認」を規定し,「徹底した平和主義」を志向するものであり,日本国憲法の大きな特徴の一つであると言われてきた。
 この条項の下,憲法制定当初は国連による国際平和の実現やわが国の安全の確保が想定されていたが,冷戦による国連の機能不全という現実に直面したわが国は,この「徹底した平和主義」の下での現実的な対応として,)姫劼諒野では,「専守防衛」の枠内で自衛隊を創設し,国と国民の安全を守るための諸法制を着実に整備するとともに,国際貢献の分野においても,憲法の枠内で武力行使を伴わない支援活動に自衛隊を活用することにより,特に近年積極的に責任を果たしてきた。

【憲法改正の必要性】

 このような自衛隊の諸活動は,現在,多くの国民の支持を得ている。他方,自衛隊については,々膩と言う憲法学者は少なく,中学校の大半の教科書(7社中6社)が違憲論に触れており,9餡颪傍沈覆鮖つ政党の中には自衛隊を違憲と主張するものもある。そのため,憲法改正により自衛隊を憲法に位置付け,「自衛隊違憲論」は解消すべきである。
 自衛隊を憲法に位置付けるに当たっては,現行の9条1項・2項及びその解釈を維持した上で,「自衛隊」を明記するとともに,「自衛の措置(自衛権)」についても言及すべきとの観点から,次のような「条文イメージ(たたき台素案)」を基本とすべきとの意見が大勢を占めた。

第9条の2 前条の規定は,我が国の平和と独立を守り,国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず,そのための実力組織として,法律の定めるところにより,内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
◆ー衛隊の行動は,法律の定めるところにより,国会の承認その他の統制に服する。
(※第9条全体を維持した上で,その次に追加)


【9条1項・2項維持論に関するその他の意見】

 なお,上記の「条文イメージ(たたき台素案)」に対しては,|偲に「自衛権の発動」について言及すべきとの意見や,◆嵒要な措置をとることを目的として」などのより簡素な表現を工夫すべきとの意見があったほか,そもそも,これまでの政府解釈のキーワードである「必要最小限度の実力組織」の表現を盛り込むべきとの意見もあった。

【9条2項削除論】

 9条2項を削除・改正した上で,陸海空自衛隊を保持し,自衛権行使の範囲については,安全保障基本法で制約することとし,憲法上の制約は設けない。これにより,「戦力」や「交戦権」などの9条を巡る積年の懸案を解消すべきとの意見もあった。また,シビリアンコントロールに関する規定も置く。

(2)緊急事態対応について

【緊急事態対応が立法化された背景】

 諸外国の憲法の緊急事態条項は,各国の歴史や隣国との関係などに応じて発展してきた。例えば,ドイツ憲法では,ナチスの反省や東西ドイツの分断を背景にした詳細な緊急事態条項が設けられている。また,フランス憲法では,ナチスの侵略経験を踏まえ「大統領の緊急措置権」などの簡潔な緊急事態条項のみを憲法に規定するものの,具体の対応は「緊急状態法」を制定して,内乱・テロに対応している。
 日本国憲法では,制定時には「国家緊急権」の実定化を提案したものの,民主主義を徹底する観点から,緊急時の「参議院の緊急集会」の制度のみを設け,具体的な緊急事態対応は,個別の法律により対応してきた。具体的には,自然災害については,伊勢湾台風の発生を契機に,災害対策基本法を制定し「災害緊急事態」の章を設けるとともに,阪神・淡路大震災,東日本大震災など,大災害に対応して改正を行い,緊急事態に対応した災害対策法制を整備してきたところである。また,いわゆる「有事」における国民の生命と財産の保護についても,武力攻撃事態対処法を踏まえた「国民保護法」が制定され,緊急事態に対応する枠組みが整備された。

【憲法改正の必要性】

 わが国では有史以来,巨大地震や津波が発生しており,南海トラフ地震や首都直下型地震などについても,想定される最大規模の地震や津波等へ迅速対処することが求められている。
 このため,憲法に「緊急事態対応」の規定を設けることにより,「国民の生命と財産の保護」の観点から,ゞ杁淹態においても国会の機能を可能な限り維持すること,国会の機能が確保できない場合に行政権限を一時的に強化し迅速に対処する仕組みを設けることが,適当であると考える。具体的には,〜挙実施が困難な場合における国会議員の任期延長等,個別法に基づく緊急政令の制定の規定を設けることができる旨規定しておくことが,立憲主義の精神にもかなうと考えられる。
 以上を踏まえれば,「緊急事態対応」についての「条文イメージ(たたき台素案)」として,次のようなものが考えられるのではないか。

第73条の2 大地震その他の異常かつ大規模な災害により,国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは,内閣は,法律で定めるところにより,国民の生命,身体及び財産を保護するため,政令を制定することができる。
内閣は,前項の政令を制定したときは,法律で定めるところにより,速やかに国会の承認を求めなければならない。(※内閣の事務を定める第73条の次に追加)
第64条の2 大地震その他の異常かつ大規模な災害により,衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の適正な実施が困難であると認めるときは,国会は,法律で定めるところにより,各議院の出席議員の3分の2以上の多数で,その任期の特例を定めることができる。(※国会の章の末尾に特例規定として追加)


【その他の意見】

 なお,緊急事態の対象を「大地震その他の異常かつ大規模な災害」に限定せず,「外部からの武力攻撃」や「大規模テロ・内乱」も対象にすべきとの意見があった。

(3)合区解消・地方公共団体について

【人口の偏在の進行と民意の反映等をめぐる状況】

 近年,人口の減少と一極集中が進み,人口偏在ともいうべき状況が見られる一方で,最高裁は,両議院の選挙区及び定数配分について,投票価値の平等を重視してより厳格な人口比例を求めるようになっており,その結果,地方から選出される議員の減少,行政区画と選挙区のずれの拡大が著しくなっている。参議院選挙区においては県をまたがる合区の発生,衆議院においては大都市・地方を問わず市区町村の分断などにより選挙区の細分化・複雑化などの問題も生じている。これらは,民意の反映や政治へのアクセスの面での地域間格差,地域住民の不平等感や不満などをもたらすことにもつながってきている。
 人口の減少と一極集中に歯止めがかからない中で,今後とも人口比例による一票の較差是正が図られることになれば,人口の少ない県に配分される定数の削減,更なる合区などが行われることになりかねず,人口減少が急速に進む地方の声が更に反映されにくくなることや選挙への参加意欲の低下なども懸念されている。
 この点,参議院の合区をめぐっては,全国知事会をはじめ地方六団体がその早急な解消等を求める決議を行っているほか,多数の県議会(平成30年3月15日現在で34県議会)でも同様の意見書が採択されているところである。

【憲法改正の必要性】

 すなわち,今後の日本社会を展望しつつ,これからの代表民主制や両議院の選挙区の在り方を考えた場合に,果たして人口比例のみを尺度として判断してよいのか否かが問われている。地方・都市部を問わず,選挙において「地域」が持つ意味に改めて目を向け,憲法において「地域の民意の適切な反映と投票価値の平等との調和」を図ることが必要である。特に,4県2合区の導入にまで至った参議院の在り方ということでは,政治的・社会的に重要な意義を持つ都道府県の住民の意思を集約的に反映することが重要であり,合区を解消し,都道府県単位の選挙制度を維持することができるよう,憲法改正による対応が不可避である。
 また,それと同時に,選挙区の基盤となる基礎的な地方公共団体(市町村)と広域の地方公共団体(都道府県)について,現代における分権型社会の在り方も念頭に置きつつ,憲法に明記し,市町村と都道府県の基盤の安定化や地方自治の強化を図っていくことも必要である。
 以上を踏まえて,「合区解消・地方公共団体」については,憲法47条と92条を次のような「条文イメージ(たたき台素案)」により改正することで(下線部が改正部分),合意が得られているところである。

第47条 両議院の議員の選挙について,選挙区を設けるときは,人口を基本とし,行政区画,地域的な一体性,地勢等を総合的に勘案して,選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるものとする。参議院議員の全部又は一部の選挙について,広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には,改選ごとに各選挙区において少なくとも一人を選挙すべきものとすることができる。
 前項に定めるもののほか,選挙区,投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は,法律でこれを定める。
第92条 地方公共団体は,基礎的な地方公共団体及びこれを包括する広域の地方公共団体とすることを基本とし,その種類並びに組織及び運営に関する事項は,地方自治の本旨に基づいて,法律でこれを定める。


(4)教育充実について

【現行憲法の成果と教育をめぐる環境の変化】

 教育は,国民一人一人にとっての人格の形成や幸福の追求を基礎づけ,国の未来を切り拓くうえで欠くことができないものであり,現行憲法の下で実施された小中学校9年間の義務教育やその無償化などの教育制度は,戦後の大きな原動力となった。
 憲法の理念を教育において具体化するのが教育基本法であるが,昭和22年に制定された旧教育基本法については戦後半世紀を経た社会状況の変化を踏まえて平成18年に改正され,教育の目的・目標などが整理されたところである。

【憲法改正の必要性】

 他方,憲法制定から70年が経過する中で,現在のわが国が直面する少子高齢化などの課題を克服しつつ,情報化,グローバル化など急速な社会変化などに対応するためには人づくりが重要であり,「国家百年の計」である「教育の重要性」について,国の理念として,国民の共通理解を図ることが必要である。
 また,憲法の人権条項には,一般的に個人の権利を保障する旨の規定や,この背後にある理念,これを実現するための国の責務や関与の規定が見られるが,26条においては,国の責務や関与については「義務教育の無償化」があるのみで,理念に関する記述は見当たらない。
 さらに,近時,教育の格差の拡大が指摘される中で,誰もが家庭の経済事情に左右されることなく,質の高い教育を受ける機会を享受することができる社会をつくる必要性が高まっている状況も踏まえ平成29年12月に幼児教育の無償化や真に必要な子供の高等教育の無償化を盛り込んだ「新しい経済政策パッケージ」が閣議決定されたところである。
 このため,憲法において,改正教育基本法の規定も参照しつつ「教育の重要性」を国の理念として位置付けることとするとともに,国民が経済的理由にかかわらず教育を受ける機会を享受できるよう国が教育環境の整備に努めるべき旨を規定することで意見の一致を見た。
 以上を踏まえて,「教育充実」についての「条文イメージ(たたき台素案)」については,次のようなものとすることで(下線部分が改正部分),合意が得られているところである。

第26条  Ν◆文醜圓里泙沺
 国は,教育が国民一人一人の人格の完成を目指し,その幸福の追求に欠くことのできないものであり,かつ,国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担うものであることに鑑み,各個人の経済的理由にかかわらず教育を受ける機会を確保することを含め,教育環境の整備に努めなければならない。


 また,憲法89条について,現在の文言では,私学助成が禁止されていると読めることから,憲法26条の改正と併せて,現行規定の表現を現状に即した表現に改正することについても,合意が得られているところである。

第89条 公金その他の公の財産は,宗教上の組織若しくは団体の使用,便益若しくは維持のため,又は公の監督が及ばない慈善,教育若しくは博愛の事業に対し,これを支出し,又はその利用に供してはならない。


3 憲法改正の発議に向けて

 憲法改正は,国民の幅広い支持が必要であることに鑑み,4テーマを含め,各党各会派から具体的な意見・提案があれば真剣に検討するなど,建設的な議論を行っていく。
 現在議論中の「条文イメージ(たたき台素案)」は,完成された条文ではなく,この案をもとに衆参の憲法審査会で党の考え方を示し,憲法審査会で活発な議論が行われるよう努める。
 「条文イメージ(たたき台素案)」をたたき台とし,衆参憲法審査会や各党・有識者の意見や議論を踏まえ,「憲法改正原案」を策定し国会に提出する。そのため,衆参憲法審査会では,これまでの丁寧な運営方針を継承し幅広い合意形成を図るとともに,国民各層への幅広い理解に努める。

 2017.5.17
 マガジン9連載 立憲政治の道しるべ
 第118回「“2020年憲法改正施行宣言”って、一体どういうつもり?」
 http://maga9.jp/rikken170517/
20170506_D7100_066
 パレオエクスプレス(9002レ)
 2017.5
 秩父鉄道 波久礼駅
 Nikon D7100
 Ai Nikkor ED 500mm F4P
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国民投票法入門20161118

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 2016.11.16
 マガジン9連載 立憲政治の道しるべ
 第107回「トランプ・ショックで、日本の憲法改正に期待する愚かさ ―ケント・ギルバート氏への反論―」
 http://www.magazine9.jp/article/rikken/31124/
 http://blogos.com/outline/198257/

 

 私のコメントが、各紙に掲載されました。

 ▼毎日新聞 
   「改憲へ安倍自民執念 日本会議が地ならし 南部義典・元慶応大講師(憲法)の話」
   http://mainichi.jp/articles/20161103/ddm/010/010/028000c
   「改憲へ安倍自民執念 日本会議が地ならし(その1)」
   http://mainichi.jp/articles/20161103/ddm/010/010/025000c
   「改憲へ安倍自民執念 日本会議が地ならし(その2止)」
   http://mainichi.jp/articles/20161103/ddm/010/010/018000c
 ▼共同通信
   「改憲手続き、最短で2年 初の国民投票、19年にも」
   (掲載紙)
   北海道新聞
   東奥日報
   下野新聞
   千葉日報
   山梨日日新聞
   神奈川新聞
   信濃毎日新聞
   北國新聞
   富山新聞
   福井新聞
   岐阜新聞
   山陰中央新報
   四国新聞
   愛媛新聞
   西日本新聞
   佐賀新聞
   長崎新聞
   宮崎日日新聞
   沖縄タイムス
   琉球新報 (以上20紙)

 (マガジン9・連載)立憲政治の道しるべ 2016.2.24
 第89回「“トンデモ発言” 議員に対する懲罰、辞職勧告は可能か?」
 http://www.magazine9.jp/article/rikken/26132/
 http://blogos.com/article/162722/

 20160214_P5000_058
 

 憲法を改正するかどうかの投票のルールを決めた国民投票法が、国会で改正されました。投票できるのは、これから4年間は「20歳以上」の人ですが、4年後からは「18歳以上」に引き下げられます。どうしてそうなったのでしょうか。3月まで慶応大学講師をつとめ、『Q&A解説・憲法改正国民投票法』の著者の南部義典(なん・ぶ・よし・のり)さんに聞きました。

 憲法を改正するには、国会が3分の2以上の賛成で提案して、国民投票にかけなければなりません。しかし、国民がどのように投票するかは、憲法では決まっていません。そのため、2007年、国民投票法が国会でつくられました。

 国民投票法では、18歳以上が投票できることになりました。国会議員や知事、市長などの選挙で投票できる選挙権は20歳以上です。大人とみとめられるのも、民法という法律で20歳と決められています。国民投票だけ18歳以上にしたのは、なぜでしょうか。

 南部さんは「憲法を改正するのは、人の一生のうちに何度もあることではありません。そのため、できるだけ若い人たちの意見も聞こうということになったのです。また、世界の多くの国々では、国民投票や選挙、大人の年齢は18歳以上です。国民投票をきっかけに、選挙権と大人の年齢も18歳に引き下げようとしたのです」といいます。

 国民投票法は、3年後の施行(法律を実行すること)までに、選挙権と大人の年齢を18歳以上にそろえるよう国に宿題を出しました。2010年、国民投票法が施行されました。ところが、いまでも選挙権と大人の年齢は20歳以上のままです。どうしたのでしょうか。

 「国会議員や役所が宿題をさぼったのです。そのため、国民投票と選挙、大人の年齢がちがうという予想外のことがおきました。国民投票に参加できるのは、18歳以上なのか20歳以上なのかが、はっきりしなくなったのです。これでは国民投票はできません」

 国民投票ができなければ、憲法改正はできません。そこで憲法改正に熱心な自由民主党(自民党)が中心になって、国民投票の年齢をはっきりさせようとしたのです。

 今回の改正で、これから4年間は20歳以上、そのあとは18歳以上が投票することになりました。18歳以上の投票は、なぜ4年間待つことになったのでしょうか。

 「自民党の中から『18歳で国民投票に参加させるのは早すぎる』という意見が出てきたからです。同じ与党(政府をささえる政党)の公明党は18歳を主張しました。そのため、両方の意見の間を取ったのです」

 宿題だった選挙権と大人の年齢は、18歳に早くそろえることになりました。選挙権については、ほとんどの政党が2年以内に18歳以上にすることを約束しました。大人の年齢を18歳にすることについては、期限がついていません。

 「古い宿題のかわりに新しい宿題が出されたわけです。こんどこそ、国会議員や役所はさぼらないでほしいですね」

 今回の改正で、公務員も憲法改正について意見をいったり、ほかの人に賛成か反対かの投票をするようすすめたりすることができるようになりました。こうしたことを決めたのはなぜですか。

 「公務員はだれに対しても、中立でなければなりません。選挙では、だれかを当選させようと運動をしてはいけません。しかし、憲法を改正するかどうかは大事なことですので、公務員も自分の意見をいったり、運動をしたりできるようにしたのです」

 国民投票のルールがかなりととのいました。これで憲法改正は進むのでしょうか。

 「憲法改正については政党の間で、いろいろな意見があります。国会が憲法改正案をつくり、国民投票にかけるには、時間がかかると思います」

 いまの小学生もいずれ国民投票に参加することになるかもしれません。

 南部さんは「憲法は個人の権利や自由を守るためのものです。憲法を変えることを国会が提案してきたときには、個人の権利や自由をもっと広げることになるのかどうかを考えて、賛成か反対かを決めてほしいですね」といいます。

 朝日小学生新聞(2014/6/17)

 衆議院憲法審査会・参考人質疑における配付資料が、公開されました。
 あわせて、憲法審査会ニュースもご覧下さい。

▼平成26年5月8日(木) 南部義典参考人配付資料
 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/186.htm

▼衆議院憲法審査会ニュース第31号(憲法調査会からの通算157号)
 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/news-shinsa031.pdf/$File/news-shinsa031.pdf

 衆議院憲法審査会・参考人質疑 発言メモ
 2014年5月8日
 南部 義典

▼1.前回の対政府質疑における政府参考人答弁の問題                 

 前回の対政府質疑(2014/4/24)におきまして、政府参考人の看過できない答弁を承知しております。
 法務省の当日配付資料で、少年法の適用対象年齢を引き下げる必要はないとの見解が示されておりましたが、早速、「この見解はいつまとめられたのか、内閣官房、総務省に然るべき通知をしたのか」との質疑がございました。
 これに対し、法務省の政府参考人は、「昨年9月の段階で、法務省として現時点において、18歳又は19歳の者に対する保護処分の必要性が失われたとまで評価すべき事情はなく、少年法の改正は不要であるとの判断に至ったところでございます。この状況につきましては、内閣官房及び関係省庁にもその当時にお伝えしてございます」と答弁しました。
 私は、この答弁に驚きました。各府省庁別の対象法令検討状況(2014年4月1日現在|『衆憲資89号』45頁)で明らかなように、少年法はB1というカテゴリー、つまり、現在、法制上の措置について検討中であるもの、に該当すると理解していたからです。
 その後の質疑で、私は疑念を深めました。内閣官房の政府参考人は、「議論の焦点は、公職選挙法、民法及び少年法の取り扱いに絞られてきたと認識をしております。しかしながら、これまで内閣官房、総務省及び法務省を中心に検討、調整を進めてまいりましたが、残念ながら、この点につきましては、いまなお政府部内では成案を得るに至っていないところでございます」と答弁しました。
  「結論は出た」という法務省と、「出ていない」という内閣官房の政府参考人答弁が、同日の対政府質疑の中で、180度食い違っております。法務省の政府参考人の答弁が真実であれば、少年法はB1からAのカテゴリー、つまり「法制上の措置の要否、改正方針が確定したもの」として、内閣官房で整理し直し、正確な情報をもとに、本審査会で質疑を行う必要が生じます。
 改正法の施行後、各党PTを中心に年齢条項の見直しの検討が始まりますが、言うまでもなく、政府との十分な連携を要します。政府内の見解不一致が現時点で露呈するようでは、PTの運営、法整備に向けた合意形成に対する不安を禁じえません。
 先生方におかれましては、前記の政府参考人答弁に係る事実の調査、確認を徹底していただきますよう、お願い申し上げます。

▼2.民法成年年齢の引下げに向けた、強力な政治主導を

(2-1.捻じ伏せられる、立法者意思)
 民法成年年齢の引下げに関して、法務省が制定法の立法者意思を別誘導し、あたかも選挙権年齢とは方向性の異なった議論が可能であるかのような論理を後付けに挟み込むなど、政権の枠組みにかかわらず、直接・間接の遅延行為が続けられております。
 思えば7年前の今日(2007/5/08)、与党併合修正案の対案として“参院民主党案”が提出されました。この案は、衆院段階の民主党原案・修正案と同様、制定法附則3条2項にいう経過措置規定を置
かず、公布から全面施行までの3年間で、公選法、民法その他の法令が定める年齢条項の見直しを確実に成し遂げようとする立法者意思が、強く反映していました。法案提出者の千葉(景子)参院議員は趣旨説明(2007/5/09)の中で、「投票権者を18歳とする点についても、与党(併合修正)案では公職選挙法等の改正がなされない限り実施を幾らでも先送りできる、まやかしの規定にすぎません」と述べ、経過措置規定を置く与党併合修正案を当時、厳しく批判したところです。
 両案審査の後、与党併合修正案が可決・成立し、公布されたものの(2007/5/18)、その後両院で“憲法審査会規程”が制定されず、審査会が始動しないことをよそ目に、法制審議会・民法成年年齢部会が活動を始めました(2008/3/11)。法務大臣の諮問文(2008/2/13)にある「成年年齢を引き下げるべきか否か」という文言がすでに、制定法附則3条1項の趣旨を逸脱していたことは、すでに先生方の共通認識が醸成されているものと思います。
 この文言は、諮問の前、すでに問題視されていました。部会の設置を決めた法制審議会第155回会議(2008/2/13)の議事録によりますと、ある委員が「この諮問の文章も可否ということでどっちでもいいみたいなふうに読めるように書かれておりますが、立法府の意思として、国民投票法案に係るいろいろな議論もあったと思うのですけれども、その立法府の意思はどの辺にあるのか、その確認等はきちっとできて、なされた上でどっちでもいいということなのか。(中略)その立法府の意思とそごを来すような受け止め方になっていないのかということを、やはりもう少し吟味をしていただく必要があるのではないか」と発言しています。
 民法成年年齢部会の最終報告を総会が採択し、法務大臣に答申(民法の成年年齢の引下げについての意見|2009/10/28)がなされる手前で、政権が交代しました。先の参院民主党案提出者の千葉参院議員が法務大臣に就任され、国民投票法の全面施行日(2010/5/18)までに、民法改正が何とかギリギリ間に合うのではないかとも思いましたが、その後、政権再交代となり、現内閣に至るまで、膠着状態が打開され、具体的な立法措置が講ぜられようとする気配がありません。
 その根本原因は何か。先生方の鋭い洞察を以て、ご理解いただけることと思います。

(2-2.民法改正=18歳成年年齢法の提案)
 政権の枠組みがいつ、どのように変わろうとも、法制上の措置が遅々として進まないことは、国会の権威を傷付け、立憲政治を動揺させることに他なりません。
 改正法附則3項は、制定法附則3条1項と同様、「民法」が頭出しになっています。法制定時の立法者意思が、7年の歳月を経て8党間で広く再確認され、政治主導の機運が高まっているのではないかと、希望を抱きながら改正案を拝読した次第です。
 そこで、法制審議会答申を逆手にとりつつ、次のような立法提案を申し上げます。
 答申自体、成年年齢の引下げを「是」とする結論であることから、民法等の改正法案を提出し、まず、成立させてしまうのです。
 しかし、施行期日については、若干の工夫が必要です。つまり、改正法の附則1項で、この改正法の施行期日を「別に定める法律」で定める日とすることとし、附則2項で「前項の施行期日を定めるにあたっては、若年者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大のおそれ等の問題点の解決に資する施策の効果等の若年者を中心とする国民への浸透の程度やそれについての国民の意識を踏まえて、行うこととする」と規定するのです。消費者教育推進計画の最終年度(平成29年度)が、改正法施行の一つのタイミングとなるでしょう。
 これは、環境が整備されてからの成年年齢引下げ(リンク論)という法務省の言い分をそのまま条文化するもので、いかなる反対、抵抗をも許しません。もし反対、抵抗するようなら、そもそもの本音は、“成年年齢の引下げそれ自体にある”ことを自白することになります。施行期日につき、再度、国会の議決を経る点も重要です。強い政治主導を、ぜひともお願い申し上げます。
 
▼3.次回国政選挙は、18歳選挙権の保障の下で                                 

(3-1.公選法改正を可及的速やかに)
 国民投票権年齢、選挙権年齢、民法成年年齢、少年法適用対象年齢の四つは、いわば車のタイヤのサイズのように一致して扱われるべきで、これこそ制定法附則3条の原意であると理解しております。同条の源流にある民主党原案の附則3条は、「国は、若い世代に、国政への参加の機会を保障するとともに、社会の一員としての責任感を醸成し、積極的な社会参加を促進するため」、公布後速やかに、年齢条項の検討措置を講ずることを国に命じていました。公選法改正はもちろん、民法改正、少年法改正を意識した書きぶりですが、改めて読み返しても何の遜色もなく、この立法理念は各党PTに継承されていくものと確信しております。
 今や、個別に立法事実の調査研究に深入りする場合ではなく、公選法、民法、少年法について公布から施行までの期間(周知・準備期間)をどう設定するか、という政策判断、政治決断のフェーズにあると思います。スタート(各改正法の公布)は段階的であり、ゴールの時期(各改正法の施行)もそれぞれ異なります。各党PTで、具体的なロードマップの策定に着手されることを要望します。
 まず、参政権グループに属する選挙権年齢の引下げを、可及的速やかに実現する必要があります。
 確認書〈項目1〉では、「改正法施行後2年以内に18歳に引き下げることを目指し」とありますが、国民の誤解を招かないよう、現段階では改正公選法の成立・公布までが目標設定されており、施行までではないことを周知することが必要です。
 改正法附則3項に「国民投票の投票権を有する者の年齢と選挙権を有する者との年齢との均衡等を勘案し」とありますが、「均衡」には消極、積極の両方向があります。決して、現状維持に嵌らず、参政権年齢が食い違うことにならないよう、スピード感を以て対応することが必要です。また、「等」には民法成年年齢とのバランスが含まれることを、確認させていただきます。
 猶予はわずかですが、次回の国政選挙は必ず、18歳選挙権が保障された下で行うことに対して、すべての法案提出者の答弁が担保されることに期待します。

(3-2.少年法の一部適用除外)
 確認書〈項目1〉の後段部分では、改正法施行後4年を待たずに、国民投票権年齢と選挙権年齢が揃って18歳となることが想定されています。少なくともこの時点で、年齢満18年以上満20年未満の者の参政権の享有と刑事制裁を受ける地位とのバランス論が顕在化します。
 改正公選法と改正少年法の施行期日の前後関係がどうなるか、いまは断定できません。仮に、改正少年法の施行期日が後になる場合、国民投票犯罪、選挙犯罪にコミットした18歳、19歳の者を成人の刑事手続で取り扱うには、少年法の該当規定を適用除外する措置(国民投票法、公選法の一部改正)が必要となります。
 メディア情報によると、この案は一時期、与党で検討されたようです。法務省も了解しているのではないでしょうか。先日の質疑で同省の政府参考人は、この案ではなく、「保護処分を受けた少年に対する公民権の停止と連座制の適用」という、公選法上の特則を設ける案に触れました。
 いずれの法整備が適当か、少年法適用対象年齢の引下げを真摯に検討するのであれば、適用除外措置を設ける案の検討を加速するべきと考えます。

▼4.公務員による国民投票運動等に関する「ガイドライン」の整備              

 新設される100条の2は、公務員による“純粋”な賛否の勧誘行為、意見表明に関し、公務員法上の政治的行為の制限規定の適用を除外するスキームです。特例となる一部適用除外の理論構成としては厳格な部類に属します。
 この点、行為主体にとっては、憲法改正案の字面だけを頼りに勧誘行為に徹することは稀であり、どこまでが純粋なのか、同条の基準を以てしても字義どおり画一的に判断することが困難なこともあるでしょう。
 そこで、地位利用型、非利用型を問わず、公務員による国民投票運動等が許容される範囲につき、法規解釈、各種事例への適用関係を分かりやすく整理したガイドラインが不可欠です。昨年、インターネット選挙運動等に関する各党協議会が政府側と協議作成した“Q&A”が、優れた先行事例です。 
 ガイドラインの整備にあたっては、(1)制定法9条が公選法7条を準用し、取締機関に対する公正の確保を求めていること、(2)制定法100条が「適用上の注意」に係る解釈規定として置かれていること、(3)確認書〈項目4〉において、公務員に萎縮的効果を与えないよう政府に配慮を求めるとしていること、の趣旨を踏まえる必要があります。

▼5.公務員による組織的な勧誘運動等の規制の検討                     

 改正法附則4項は、公務員による組織的な勧誘運動等の規制に係る検討条項です。
 この点、制定法附則11条の検討・措置は、あくまで公務員が国民投票に際して行う賛否の勧誘行為や意見表明が“制限されることとならないよう”、というのが出発点です。この意味で、組織的な勧誘運動等の規制は、同条の趣旨と逆向きに、国民投票運動への公務員の関与を強く規制するもので、そもそも、宿題の“範囲外”といえます。
 また、この論点は、公務員法制全般の中で検討される性質のものですが、何を以て組織的な運動と判断するか、その基準が明確でなく、恣意的な運用と萎縮効果をもたらす弊害は小さくないことを念頭に置かなければなりません。
 したがって、この論点は、些か不意打ち的な印象も否めず、法制上、慎重な取扱いを要望します。

▼6.国民投票の対象拡大                                 
 
 改正法附則5項の憲法改正問題国民投票は、制定法附則12条が想定した、憲法96条の周辺部分に位置する予備的国民投票の制度理念を踏襲し、検討が進められることを希望します。
 そして、8年前、民主党原案が初めて立法提起したものですが、確認書〈項目5〉に従い、国政問題国民投票制度のあり方も今後、定期的に議論されることになります。任意、諮問的な性格のものとして投票結果の法的拘束力は否定されるものの、実施手続を定める法律案の審査過程、投票期日までの国会の役割付けに一定の工夫の余地があります。表決結果を、その後の間接民主制のプロセスにどのように反映させ、骨太な民主政治を確立するべきか、制度設計に関する新たな政治的知恵が求められます。

▼7.結びに                                       

 私たちが誇るべきは、憲法の変えやすさでも変えにくさでもなく、
 憲法を変えるかどうかについて、どれだけフェアなルールを持っているかです。
 中山太郎『実録 憲法改正国民投票への道』(中央公論新社、2008年)5頁
                          
 中山太郎先生の、この肯綮に中る言葉を心に刻みつつ、国民投票法制のさらなる展開に向けて、各会派の先生方による真摯な合意形成が続くことを願ってやみません。フェアなルールづくりに、ゴールはありません。
 以上、私の基調発言とさせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(了)

 国民投票法の施行まであと1年となりました。憲法審査会のスタートに向けて、ようやく政治的な土壌が固まりました。

 国づくりは憲法体系のチェックから。憲法議論は常にあるもの。。。
 突然休止したり、急アクセルで始める性質のものでないのに、随分とおかしな風潮が広がりました(笑)。

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