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 安倍首相も真っ青? 憲法改正「年内発議」が絶対ムリな理由

(niftyニュース)
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12176-99989/
(exciteニュース)https://www.excite.co.jp/News/politics_g/20180220/Shueishapn_20180220_99989.html

0001
 国民投票法が制定された2007年前後、いわゆる「最低投票率」を憲法改正の成立要件とすべきか、論争になったことがあります。忘れない程度に、この議論の問題点を指摘しておきます。

 有権者100名の国で、憲法改正国民投票が行われるとします。
 そして、投票総数の過半数の賛成があった場合、憲法改正が成立するものとします。

 国民投票の結果、賛成20票、反対19票、であったとします(以下のケースでも無効投票はないものと想定)。
 投票総数は39票、賛成票が過半数を占めるので(相対得票率は、20÷(20+19)×100=51.28...%)、憲法改正が成立します。早い話、賛成票が反対票より1票でも多ければ、成立します。

 ここで、100名の有権者のうち20名、つまり5分の1しか賛成の投票を行っていない中で、憲法改正が成立するのは不当ではないかとの疑義を挟む余地が生まれます。そこで、最低投票率を40%などと設定し、低い投票率の場合には、憲法改正を「不成立」とすべきという主張がなされるのです。

 しかし、賛成20票で憲法改正を成立させるべきではないという主張の背景にあるのは、賛成票の得票率(全有権者数を分母とする絶対得票率)の問題です。

 問題は「賛成票の得票率の低さ」なのであって、39%という投票率(賛成票の得票率と反対票の得票率の合計)は関係ありません。

 同じく投票率39%で賛成が過半数を占めるケースとして、「賛成20票、反対19票」から「賛成39票、反対0票」まで、様々考えられます。「賛成39票、反対0票」のケースでは、相対得票率100%、絶対得票率39%となっているわけですから、このとき、憲法改正を不成立にすべきというのは、ハードルを上げ過ぎであると言わざるを得ません。

 また、最低投票率要件を置くと、矛盾が生じます。

 仮に、最低投票率要件を40%とします。投票率がギリギリの39%であって、たとえ賛成の投票が過半数を占めていても、憲法改正は不成立となります。

 この点、投票率が41%の場合(最低投票率をクリアします)、賛成21票、反対20票というケースと、投票率39%(最低投票率をクリアしません)で賛成39票、反対0票というケースを比較してみます。前者における賛成の投票は相対得票率51.2%、絶対得票率21%、後者のそれは相対得票率100%、絶対得票率39%と、後者の方が明らかに優勢であるにもかかわらず、最低投票率を40%と定めるが故、憲法改正を「不成立」としてしまうのです。

 また、後者の例(賛成39票、反対0票)では、かろうじて憲法改正が「不成立」となりますが、賛成39票、反対1票だと、最低投票率要件をクリアし、憲法改正が成立してしまいます。反対1票の投票人は、「なぜ、投票所に足を運んだのか?」「国民投票なんか、行かなければよかったのに。」と、投票に行かなかった反対派から非難を浴びるような、皮肉な結果になってしまいます。かくして、最低投票率要件は、投票棄権(ボイコット)運動に、一定の意味を与えてしまいます。

 結論を言えば、低「得票率」の問題を、最低「投票率」要件の設定を以て克服することはできない、のです。

 あえて低得票率の問題を正面から解決しようとすれば、「過半数」という相対得票率要件しか定めていない憲法第96条第1項を改正し、絶対得票率要件を追加するといった方法が考えられるところです。例えば、「投票総数の過半数(相対得票率)及び有権者総数の100の40を超える数(絶対得票率)の賛成を必要とする。」と規定するのです。

 憲法第96条第1項が「相対得票率+絶対得票率」要件になれば、憲法改正の賛成派は、単に過半数を目指すだけでなく、有権者の4割超の投票を得ようとして勧誘運動が盛んになる一方、反対派は否決に追い込むべく、1票でも多く反対の投票を得ようとして勧誘運動が精力的に展開され、総体として投票率が上がるという効果が期待できます。

 憲法改正の成立要件をおおまかに整理すると、
 \簑估隻捨┻定の追加 > ∈把稘衂捨┻定の追加 > 8醜塰 柄蠡估隻捨┻定のみ) となります。

 ,蓮∩蠡估隻捨┻定+絶対得票率規定、
 △蓮∩蠡估隻捨┻定+最低投票率規定、
 は、相対得票率規定のみ、です。

 以上の論証は、憲法改正国民投票に限った話ではありません。ゆるキャラグランプリでも、B級グルメ大賞でも、およそ、大勢で多肢一択式の投票を行う場合に生じうる問題です。

 私が、最低投票率要件よりも成立要件が厳格な絶対得票率要件を持ち出すのは、何も、憲法改正を成立させたくない意図を持っているからではありません。

 むしろ、意地が悪いのは、絶対得票率ではなく、最低投票率という用語に拘る、無知な言説です。絶対得票率要件ではなく、最低投票率要件の方が妥当という「論理」は、数学的にはまったく成り立たないことを、有権者レベルで常識にする必要があります。

 かつては、低得票率下の憲法改正成立に対する疑念を解消する法制上の手段として、∈把稘衂捨┻定の追加が、唯一の解決であると、誤解されていました。繰り返しますが、本件は、簡単な数学(算数レベル)が理解できるかどうかの問題です。

 憲法改正をなるべく成立させないようにしようという邪な考えを捨てつつ、私は、\簑估隻捨┻定の追加、を支持します。∈把稘衂捨┻定の追加、を支持しません。

 あえて△鮖抻するというのであれば、その旨の論理的な説明が必要です(・・・私は、論理的な説明、反論を一度も聞いたことがありません)。

【憲法】
(憲法改正の発議、国民投票及び公布)
第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 (略)

【国民投票法】
第3章 国民投票の効果
第126条 国民投票において、憲法改正案に対する賛成の投票の数が第98条第2項に規定する投票総数の2分の1を超えた場合は、当該憲法改正について日本国憲法第96条第1項の国民の承認があったものとする。
2 (略)

 立憲民主党代表 枝野 幸男 殿
 希望の党代表 玉木 雄一郎 殿

 今日、立憲主義を踏みにじり、国民から負託された国会議論をも軽視する安倍政権に徹底的に対峙し、強引な国会運営とは全面的に対決することが不可欠と考えます。そのためには、可能な限り、民進党、立憲民主党、希望の党の三党間での統一会派結成をめざし、連携していくことが必要です。以下の基本方針を共有し、国会論戦、国会対応に共同して取り組む会派を衆参両院で結成することを呼びかけます。

○「生活者」「納税者」「消費者」「働く者」の立場に立ち、多様性を認め合う共生社会をめざす。
○積極的に政策議論を進め、安倍政権では置き去りにされてきた地方分権や国民生活に光をあてる議員立法の成立をめざす。
○現憲法の平和理念を尊重し、一昨年の安保法制の違憲部分を削り、「専守防衛に徹し、近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に」との原則に基づき、国の安全を確たるものにする議論を進める。
○政治の信頼を取り戻し、行政監視によって税金の無駄遣いをなくすため、森友・加計学園問題をはじめとした疑惑の徹底追及を行う。
○長時間労働の規制やパワーハラスメントの防止を進める一方で、残業代ゼロ・長時間労働を助長する政府の働き方改革関連法案については、働く者の観点から十分な審議を尽くす。

 2017年12月26日
 民進党代表 大塚 耕平

 前回の記事の補足です。

 憲法改正の成立要件を一般的に、厳しいものから、緩いものへと、順に並べると、

 \簑估隻捨┻定の追加 > ∈把稘衂捨┻定の追加 > 8醜塰 柄蠡估隻捨┻定のみ)

 となります。

 分かりますか?

 ,蓮∩蠡估隻捨┻定+絶対得票率規定、
 △蓮∩蠡估隻捨┻定+最低投票率規定、
 は、相対得票率規定のみ、
 という内容です。

 いろいろな数値をあてはめてみれば明らかですが、\簑估隻捨40%、∈把稘衂捨40%で比べてみても(同じ40%であっても)、ハードルの高低がまったく異なります。

 この三者関係を、頭の中でしっかりとイメージしてください。

 かつては、低得票率下の憲法改正成立に対する疑念を解消する法制上の手段として、∈把稘衂捨┻定の追加が、唯一の解決であると、誤解されていました。

 しかし、成立要件として追加した瞬間、数学上の矛盾が生じることは、前回指摘したとおりです。

 憲法改正をなるべく成立させないようにしようという邪な考えを捨てつつ、私は、\簑估隻捨┻定の追加、を支持します。∈把稘衂捨┻定の追加、を支持しません。

 逆に、,任呂覆、あえて△鮖抻するというのであれば、その旨の論理的な説明が必要です。(しかし私は、論理的な説明、反論を一度も聞いたことがありません・・・)

(憲法改正の発議、国民投票及び公布)
第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 (略)

第3章 国民投票の効果
第126条 国民投票において、憲法改正案に対する賛成の投票の数が第98条第2項に規定する投票総数の2分の1を超えた場合は、当該憲法改正について日本国憲法第96条第1項の国民の承認があったものとする。
2 (略)
0001

 国民投票法が制定された2007年前後、いわゆる「最低投票率」を憲法改正の成立要件とすべきか、論争になったことがあります。忘れない程度に、この議論の問題点を指摘しておきます。

 有権者100名の国で、憲法改正国民投票が行われるとします。
 そして、投票総数の過半数の賛成があった場合、憲法改正が成立するものとします。

 国民投票の結果、賛成20票、反対19票、であったとします(以下のケースでも無効投票はないものと想定)。
 投票総数は39票、賛成票が過半数を占めるので(相対得票率は、20÷(20+19)×100=51.28...%)、憲法改正が成立します。

 ここで、100名の有権者のうち20名、つまり5分の1しか賛成の投票を行っていない中で、憲法改正が成立するのは不当ではないかとの疑義を挟む余地が生まれます。そこで、最低投票率を40%などと設定し、低い投票率の場合には、憲法改正を不成立とすべきという主張がなされるのです。

 しかし、賛成20票で憲法改正を成立させるべきではないという主張の背景にあるのは、得票率(全有権者数を母数とする絶対得票率)の問題です。

 問題は「得票率の低さ」なのであって、39%という投票率は関係ありません。
 同じく投票率39%で賛成が過半数を占めるケースとして、「賛成20票、反対19票」から「賛成39票、反対0票」まで、様々考えられます。「賛成39票、反対0票」のケースでは、相対得票率100%、絶対得票率39%となっているわけですから、このとき、憲法改正を不成立にすべきというのは、ハードルを上げ過ぎであると言わざるを得ません。

 また、最低投票率要件を置くと、矛盾が生じます。

 仮に、最低投票率要件を40%とします。投票率がギリギリの39%であって、たとえ賛成の投票が過半数を占めていても、憲法改正が不成立となります。

 この点、投票率が41%の場合(最低投票率をクリアします)、賛成21票、反対20票というケースと、投票率39%(最低投票率をクリアしません)で賛成39票、反対0票というケースを比較してみます。前者における賛成の投票は相対得票率51.2%、絶対得票率21%、後者のそれは相対得票率100%、絶対得票率39%と、後者の方が明らかに優勢であるにもかかわらず、最低投票率を40%と定めるが故、憲法改正を「不成立」としてしまうのです。

 結論を言えば、低「得票率」の問題を、最低「投票率」要件の設定を以て克服することはできない、のです。
 最低投票率要件を設定すると、投票棄権(ボイコット)運動を誘発するという批判は、二の次です。

 あえて低得票率の問題を正面から解決しようとすれば、「過半数」という相対得票率要件しか定めていない憲法第96条第1項を改正し、絶対得票率要件を追加するといった方法が考えられるところです。例えば、「投票総数の過半数(相対得票率)及び有権者総数の百分の四十を超える数(絶対得票率)の賛成を必要とする。」と規定するのです。

 憲法第96条第1項が「相対得票率+絶対得票率」要件になれば、憲法改正の賛成派は、単に過半数を目指すだけでなく、有権者の4割超の投票を得ようとして勧誘運動が盛んになる一方、反対派は否決に追い込むべく、一票でも多く反対の投票を得ようとして勧誘運動が精力的に展開され、総体として投票率が上がるという効果が期待できます。

 以上の論証は、憲法改正国民投票に限った話ではありません。ゆるキャラグランプリでも、B級グルメ大賞でも、およそ、大勢で多肢一択式の投票を行う場合に生じうる問題です。

 私が、最低投票率要件よりも成立要件が厳格な絶対得票率要件を持ち出すのは、何も、憲法改正を成立させたくない意図を持っているからではありません。

 むしろ、意地が悪いのは、絶対得票率ではなく、最低投票率という用語に拘る、無知な言説です。絶対得票率要件ではなく、最低投票率要件の方が妥当という「論理」は、数学的にはまったく成り立たないことを、有権者レベルで常識にする必要があります。

 繰り返しますが、本件は、簡単な数学(算数レベル)が理解できるかどうかの問題です。
0001

20170120_W530_003
 本書125-127頁を参照。

憲法改正国民投票の執行費用が、一回あたり「850億円」であると、あたかも固定費のように論じられることがありますが、これは明らかな誤りです。

確かに、法案の起草段階で、制度化の準備のために要する費用も含め、一定の見積りの上、執行経費の概算を示したことはありますが(これが850億円という数値です)、これはあくまで立法当時の試算にすぎません。

第一に、「850億円」のうち、すでに執行済みの経費があります。

平成20年度から22年度にかけて、全国の市区町村では、憲法改正国民投票を行う際に必要となる「投票人名簿」を調製するシステムを構築するために、約60億円の予算(国費)が交付金の形で投じられました(投票人名簿システム構築交付金)。この事業は、すでに完了しています。

第二に、憲法改正案の広報に関する費用は、変動費が占める部分が大きいという点です。

国会が憲法改正を発議した日から投票日までの間、国会(国民投票広報協議会)は、憲法改正案に関する広報を、テレビ、ラジオ、新聞といった媒体を使って行うことになっています。

もっとも、これは前記の期間がどれだけの幅になるかによって、当然、広報放送や広報広告の回数も異なってきますし、複数の憲法改正案が発議されると、状況がかなり変わってきます。

国民投票の費用は、その都度、正確に見積もった上で、効果的に執行する必要があるのです。

日本国憲法の改正手続に関する法律(平成19年5月18日法律第51号)
(費用の国庫負担)
第136条 国民投票に関する次に掲げる費用その他の国民投票に関する一切の費用は、国庫の負担とする。
一 投票人名簿及び在外投票人名簿の調製に要する費用(投票人名簿及び在外投票人名簿を調製するために必要な情報システムの構築及び維持管理に要する費用を含む。)
二 投票所及び期日前投票所に要する費用
三 開票所に要する費用
四 国民投票分会及び国民投票会に要する費用
五 投票所等における憲法改正案等の掲示に要する費用
六 憲法改正案の広報に要する費用
七 国民投票公報の印刷及び配布に要する費用
八 国民投票の方法に関する周知に要する費用
九 第106条及び第107条の規定による放送及び新聞広告に要する費用
十 不在者投票に要する費用
十一 在外投票に要する費用

20170120_W530_003
 本書P42~44, 183,184の解説を参照。

 マガジン9連載 
 立憲政治の道しるべ(第123回)
 「ギリシャ憲法に学ぼう。9条はそのまま、その解釈を条文化する“第三の道”を。」
 http://maga9.jp/rikken170913/
20170831_D90_025(特急ワイドビューひだ7号)sp
 Limited Express Hida No.7 passing through Dai-ichi Hidagawa River Bridge
 2017.8
 JR Takayama Line
 Shirakawa-guchi Sta. − Washihara S.F.

 マガジン9連載「立憲政治の道しるべ」 2017.07.12
 第120回「誰も考えていない、憲法改正発議後の“広報”の件」
 http://maga9.jp/rikken170712/
 http://blogos.com/article/234198/
20170715_D90_016(9011レ・カシオペア紀行|EF81-80)
 9011レ カシオペア紀行
 EF81-80 + E26系12B
 2017.7.15
 JR東北本線 東大宮−蓮田


 
 
 

 朝日新聞(31日、朝刊・社会面)
 国民投票CM「資金力の差で不公平に」法改正求める声 に、
 私のコメントが掲載されました。

 南部義典・元慶大大学院講師(国民投票法制)は、現行法では投票日前14日間も、賛否を呼びかける内容以外のCMは流せると指摘。「私は改憲に賛成」などと意見表明するだけなら規制対象にならないという。「本質と関係ないイメージ戦略や資金力が結果を左右する。公正な国民投票のためには『ゼロの平等』が必要」とCM全面禁止を主張する。

国民投票のルール改善(国民投票法の改正)を考え求める会に、
パネリストとして、参加する予定です。

と き: 2月13日(月)14時15分〜17時(開場は14時)
ところ: 参議院議員会館1階102号室

下記の方々が参加予定。2月上旬に確定します。
井上達夫(法哲学者。東京大学大学院教授)
今井 一 (ジャーナリスト。『「憲法九条」国民投票』の著者)
田島泰彦(法学者。上智大学文学部新聞学科教授)
南部義典(法学者。『Q&A解説・憲法改正国民投票法』の著者)
堀 茂樹 (フランス文学・哲学研究者、翻訳家、慶應義塾大学教授)
本間 龍 (作家。「原発プロパガンダ」「原発広告」などの著者)
宮本正樹(映画監督。脚本家。劇映画『第9条』が公開中)
※衆参の国会議員が数人参加する予定です。

詳しくは、こちらのURLをご参照ください。
http://ref-info.com/2017-02-13meet-2/

国民投票法入門20161118

2017.01.26 発売
[図解] 超早わかり 国民投票法入門
B6判・215頁
1,630円+税
http://www.c-r.com/book/detail/1093
https://www.amazon.co.jp/dp/4863542127

国民投票法入門20161118

Amazonで、近著『[図解] 超早わかり 国民投票法入門』の予約受付が始まりました。
・著者   南部 義典
・発行所  C&R研究所
・定価   1,630円(+税)
・発売日  2017年1月25日予定
・ISBN   978-4-86354-212-9

https://www.amazon.co.jp/%E5%9B%B3%E8%A7%A3-%E8%B6%85%E6%97%A9%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%8A-%E5%9B%BD%E6%B0%91%E6%8A%95%E7%A5%A8%E6%B3%95%E5%85%A5%E9%96%80-%E5%8D%97%E9%83%A8%E7%BE%A9%E5%85%B8/dp/4863542127/ref=la_B004LVEGTA_1_4?s=books&ie=UTF8&qid=1479550664&sr=1-4

 2016.11.16
 マガジン9連載 立憲政治の道しるべ
 第107回「トランプ・ショックで、日本の憲法改正に期待する愚かさ ―ケント・ギルバート氏への反論―」
 http://www.magazine9.jp/article/rikken/31124/
 http://blogos.com/outline/198257/

 

 私のコメントが、各紙に掲載されました。

 ▼毎日新聞 
   「改憲へ安倍自民執念 日本会議が地ならし 南部義典・元慶応大講師(憲法)の話」
   http://mainichi.jp/articles/20161103/ddm/010/010/028000c
   「改憲へ安倍自民執念 日本会議が地ならし(その1)」
   http://mainichi.jp/articles/20161103/ddm/010/010/025000c
   「改憲へ安倍自民執念 日本会議が地ならし(その2止)」
   http://mainichi.jp/articles/20161103/ddm/010/010/018000c
 ▼共同通信
   「改憲手続き、最短で2年 初の国民投票、19年にも」
   (掲載紙)
   北海道新聞
   東奥日報
   下野新聞
   千葉日報
   山梨日日新聞
   神奈川新聞
   信濃毎日新聞
   北國新聞
   富山新聞
   福井新聞
   岐阜新聞
   山陰中央新報
   四国新聞
   愛媛新聞
   西日本新聞
   佐賀新聞
   長崎新聞
   宮崎日日新聞
   沖縄タイムス
   琉球新報 (以上20紙)

 
 2016.8.24
 マガジン9連載 「立憲政治の道しるべ」 
 
 第101回「天皇の生前退位の是非を問う国民投票、を実施すべき」
 http://www.magazine9.jp/article/rikken/29825/
 http://blogos.com/article/188031/

20160808_151218


 

 産経ニュース 2016.8.15 08:01更新
 成人年齢18歳に引き下げへ 政府が民法改正案を来年の通常国会に提出
 http://www.sankei.com/politics/news/160815/plt1608150018-n1.html

 お盆休み中、政治関連のニュースが少ないなか、
 産経が粋な記事を配信しました。

 もっとも、成年年齢を定める民法4条の単発改正ではなく、
 
 〔泳,墨動して改正する必要がある法律 <8本>
 ・国籍法
 ・性同一障害者の性別の取扱いの特例に関する法律
 ・旅券法
 ・児童福祉法
 ・水先法
 ・母子及び父子並びに寡婦福祉法
 ・船舶職員及び小型船舶操縦者法
 ・恩給法等の一部を改正する法律
 
 18歳選挙権法(平成27年6月19日法律第43号)が先送りした法律 <2本>
 ・民生委員法
 ・人権擁護委員法

 の計10本の法律も、同時に改正される運びとなるでしょう。

 また、民法改正が実現すれば、被選挙権年齢の引下げ議論にも、
 プラスの影響が及ぶでしょう。

 国会は、法制上の諸課題について、
 政府任せではなく、丁寧な整理を心がけるべきです。

 2016年8月8日

 天皇陛下の「お言葉」について

 民進党代表
 岡田 克也

○本日、天皇陛下からお気持ちの表明があった。改めて、天皇陛下が憲法に定められた象徴としての役割を全身全霊をもって果たされてきたことに大きな感銘を受けた。

○私たちは天皇陛下のお気持ちにしっかりと応えていく必要がある。まずは政府において、本日表明されたお気持ちを受け止めて、しっかりとした議論を進めていただきたい。

○同時に国権の最高機関である国会としても静かに議論を進め、立法府の責任を果たしていく必要がある。具体的な進め方に関しては両院議長を中心に検討すべきである。民進党としても、党内に議論する場を設け、こうした議論に適切に対応していく。

 以上

 (マガジン9)立憲政治の道しるべ 2016.7.13
 第99回「“3分の2”超でも、憲法改正がすんなり進まないと考える理由」
 http://www.magazine9.jp/article/rikken/29279/
 http://blogos.com/article/183305/

20160705_D7100_019
 

 『通販生活』2016夏号に、寄稿させていただきました。
 ”国民投票法「テレビCM」の大問題” というテーマです(73-75頁)。

 投票期日の14日前から、国民投票運動のための広告放送を禁じる、法105条の問題点を指摘しています。投票勧誘に限らず、単なる意見広告の放送も含めて、全期間、全面禁止にすべきことを提案しています。

 2016年5月15日発行。定価180円。
 http://www.cataloghouse.co.jp/

20160414_D5100_00420160414_D5100_008


 (マガジン9・連載)立憲政治の道しるべ 2016.2.24
 第89回「“トンデモ発言” 議員に対する懲罰、辞職勧告は可能か?」
 http://www.magazine9.jp/article/rikken/26132/
 http://blogos.com/article/162722/

 20160214_P5000_058
 

 (マガジン9)立憲政治の道しるべ 2016.2.10
 第88回「与党でも野党でもない、ゆ党の登場を歓迎する」
 http://www.magazine9.jp/article/rikken/25807/
 http://blogos.com/article/159987/

 20151206_D90_162

 














 平林寺(埼玉県新座市) 2015.12.6
 
 

「18歳選挙権の法律論と制度論」
 
一 序論
 
 2016年6月19日、18歳選挙権法が施行される。18歳、19歳の者は新たに、同日以降に公示される国政選挙(衆議院議員総選挙、参議院議員通常選挙)から、投票行為はもちろんのこと、特定の候補者、政党等を支援する目的で選挙運動を行うことが可能となる。18歳選挙権に連動し、衆議院議員総選挙のさいに行われる最高裁判所裁判官の国民審査、さらに地方自治体レベルの住民投票も、18歳を以て有権者としての資格を得ることになる。総じて、政治参加の場面では、18歳がエントリー基準となる。

 思えば1945年12月、日本に普通選挙制が導入され、満20歳以上の者に対し、男女平等に選挙権が与えられた。現在まで70年間にわたって20歳選挙権が定着し、選挙権年齢の引下げは、戦後憲政史の上で初めてのことである。世界に目を転じれば、デンマークのように、選挙権年齢を25歳から18歳まで、数次の国民投票を経ながら段階的に引き下げてきた国もあるところ、18歳選挙権はすでにすう勢となっている。新興国の多くは、18歳選挙権を当初から採用した。時機がかなり遅れたものの、日本はようやく世界標準に到達したところである。

 もっとも、18歳選挙権に関しては、制服姿の高校3年生が投票所で投票する姿がシンボル化されがちであるが、立法目的は決して、投票を可能としたことに尽きるものではない。18歳、19歳の者が現実の政治との接触、社会との関わりの中で思考を巡らし、主体的な活動を実践することを通じ、政治的な潜在能力を覚醒させ、政治的な自律を獲得する過程にこそ、その核心がある。知識中心ではない、実践的な市民教育の重要性が認識される所以である。
 
 18歳選挙権の法律論、制度論としては、この先の展開に悩ましい課題を抱えている。まず、18歳選挙権法が整備されてもなお、被選挙権年齢の見直し等、法律改正を要する課題が残されている。また、憲法改正の手続を定める国民投票法の制定(2007年5月)を契機に、いわゆる「18歳成人改革」が立法課題として継続しているところ、年齢に関する法制度の全体を見渡せば、選挙権年齢の引下げはまだ、改革の第一歩にすぎない。18歳選挙権法は、民法、少年法、その他の法律の改正(総計170本程度)を、政府に対し、宿題として課したばかりであり、改革の本番はこれから到来する。言うまでもなく、民法、少年法の改正は、国会内外における合意形成のハードルが高い。国民的議論を仕切り直すためにも、18歳選挙権法を起点に、今後予定される法律改正の内容、課題を整理しなければならない。

 なお、本稿の内容は、執筆時点(2016年1月)の情報に基づいている。

二 国民投票権年齢との関係

 本論に入る前に、18歳選挙権の実現を後押しした国民投票法との関係について、一点指摘しておかなければならない。

 国民投票法は2007年5月に制定され、3年後の2010年5月に施行されたが、国民投票権年齢に関する法的不具合が生じたため、同年齢が満18歳以上か、満20歳以上か、解釈がいずれにも確定しないという状態が続いていた。2014年6月の国民投票法改正は、この年齢不確定問題に対処するため、一定の政治的妥協を踏まえつつ、国民投票権年齢を2018年6月20日まで「満20歳以上の者」といったん確定し、翌6月21日以降、「満18歳以上の者」と、自動的に引き下げる措置を講じたところである。

 選挙も国民投票も、参政権としては同種であり、いわば「性別の同じ双子」として、法律上の年齢が異なってはならないというのが、伝統的な立法原則である。しかし、18歳選挙権を起点に、前記の推移を捉えるとどうなるか。18歳選挙権法が施行されると、2018年6月20日までの間、選挙権年齢と国民投票権年齢が食い違ってしまうのである。

 筆者が仄聞する限りでも、選挙権年齢と国民投票権年齢が制度上、相違している国は存在しない。このまま放置しても、2018年6月21日には自然に解決する問題ではあるが、18歳国民投票権を前倒しして実現する法整備が喫緊の課題であることを、まず確認しておかなければならない。

三 18歳選挙権の意義再考

1 国政との関わり

 18歳選挙権法は2015年6月、衆参両院において全会一致で可決し、成立した。法案審議時には、各党間で「次回の国政選挙は必ず、18歳選挙権が実現された下で行う」との共通認識が醸成されており、制度化それ自体に対する異論はまったくみられない。国民投票法案の起草当時(2006年)には、18歳の政策判断能力を疑問視する意見が有力に主張されていたことからすれば、わずか10年の経過とはいえ、隔世の感がある。

 今や、18歳、19歳の者が選挙権を適切に行使することができるよう、選挙制度の内容(衆参の相違点)、投票の方式をどのように周知するかという課題に収斂している。政府はすべての高校生に副教材を配付し、制度に関する詳細な解説を施す一方、各党は、若年者層との双方向的な政策対話の場を設け、定期的にコミュニケーションを図るなど、試行錯誤が続けられている。しかし、各党の日常的な活動広報は、政界特有の分かりづらさが覆い尽くしており、なお相当な工夫を要する。
 
 18歳選挙権法は、最高裁判所裁判官の国民審査も満18歳で可能としたが、事前の情報提供のあり方に関しては、選挙よりもはるかに深刻な課題を残している。国民審査は現在、罷免させたい裁判官に対して「×」を付し、それでなければ何も書かずに投票する方式が採られているが、審査対象となる裁判官の評価に資する情報に、18歳、19歳の者がアクセスすることは容易ではない。最高裁判所は、裁判官に関する情報を日常的に提供しておらず、国民審査のさいに発行される「審査公報」が唯一の参考情報となるところ、実に形式的であり、質・量ともに、18歳、19歳の者の判断に供する内容として構成されていない。国民審査のさい、適切な判断ができなければ、白紙投票を以て、裁判官を結果的に信任することになってしまう。また、国民審査に臨むには、最高裁判所の役割を正しく認識していなければならず、この意味でも憲法教育の充実が不可欠である。

2 地方政治との関わり

 18歳選挙権法が初めて適用されるのは、衆参いずれかの国政選挙ということもあり、18歳選挙権を論じる場合、国政選挙のさいの投票行為に焦点が当たりがちである。しかし、18歳、19歳の者が有権者として関わるのは国政選挙だけではない。日常生活に身近な、地方政治との関わりを確認しておく必要がある。

 まず、18歳選挙権法により、地方選挙(知事、市町村長、自治体議会の議員の選挙)において、満18歳の者が投票資格を得る。いずれの職も任期は4年であり、少なくとも4年に1回、これら住民の代表者を選ぶことができる。

 加えて、地方自治レベルには、「直接請求」と呼ばれる制度がある。すなわち、ー治体条例の制定等の請求、監査の請求、5腸颪硫鮖鏡禅瓠↓さ聴、長、役員の解職請求(リコール)の4つが、住民の権利として認められている。18歳選挙権法はこれら4つの直接請求権も、満18歳で行使可能としたことが特長である。

 筆者がとくに注目するのは、,両鯲秬定請求権である。近年、住民の間で政策上、大きな争点となり、対立が容易に決着しない案件に関しては、住民投票というシステムを活用し、住民が直接、意思決定を行おうとする機運が高まっている。その背景事情は様々だが、4年に1回の選挙を経るだけでは、自治体行政と住民の意思とのかい離が埋まらないことは確かである。これまで市町村合併、議員定数の削減、産業廃棄物処理施設の建設、大型公共施設の建設、基地の移転、原子力発電所の再稼働等の是非をめぐって、住民投票を実施するための条例を制定するため、有権者による一定数の署名を収集し、当該自治体の長に対して条例制定を請求する動きが、全国各地で見られたところである。
 
 条例制定請求権の行使は、既成政党ないし政治的組織の活動の延長として、比較的年輩の有権者が取り組むもの、というイメージが強い。しかし、昨今の若年者層の政治問題に対する関心の高まり、政治的な活動のすそ野の広がりを見るにつけ、今後はむしろ高校生、大学生が運動のイニシアティブをとることに、筆者は期待を込めている。選挙運動、国民投票運動にも通ずるところがあるが、インターネットの利活用が、運動の可能性を一層膨らませる。殊に、文部科学省通知「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について」(2015年10月29日付)に基づく運用が、生徒会、クラブ活動等の授業以外の場面、放課後や休日等における生徒の政治活動を不当に制約することがないよう、十分に配慮しなければならない。
   
四 18歳選挙権法が残した課題

1 学年基準の採用

 「参議院議員通常選挙が、2016年7月17日(日)に行われる」と仮定する。この場合、2016年7月18日までに、18歳の誕生日を迎えた者は、投票資格が得られるが、7月19日以降、2017年4月1日までに誕生日を迎える者は、同じ高校3年生でも投票資格は得られない。

 なぜ、このような事態が生じるかといえば、選挙権年齢の要件に関して、当該選挙の期日を基準に据え、満年齢を以て判断することから、在学年齢との間に齟齬が生じるためである。同じ高校3年生が、投票期日の偶然によって、有権者と非・有権者に二分されることには、多くの高校生、教育関係者が違和感を覚えることであろう。

 したがって、18歳選挙権特有の問題ではあるが、学年を基準に投票機会を拡充する趣旨で、高校3年生の在学年度(当該年の4月1日から翌年の3月31日まで)に執行される選挙に関し、選挙権を一律、平等に付与する制度を導入すべきである。学年基準は、オーストリアですでに採用されている。日本においても、実務上の障碍は低いと解される。

2 被選挙権年齢の引下げ
 
 序論で「政治参加の場面では、18歳がエントリー基準となる」と述べたが、被選挙権年齢に関しては、今まで18歳成人改革の射程から外れてしまっていた。選挙制度は各国様々であるが、25歳(衆議院議員、都道府県議会議員、市区町村議会議員及び市区町村長)、30歳(参議院議員、都道府県知事)という被選挙権年齢は、比較法的にみても高い基準である。

 18歳選挙権の実現により、衆議院議員の被選挙権年齢との較差は7歳となる。この点、二院制を採用している国における下院の選挙制度について見ると、選挙権年齢と被選挙権年齢との5歳以上の較差を許容する例は、アメリカ、フランス、イタリアの3国と、わずかであることが分かる。日本も当然、少数国の部類に含まれる。
 
 各国では、被選挙権年齢も選挙権年齢と同じ18歳とする例が多い。日本では、被選挙権年齢をいきなり18歳に引き下げることは困難であると解されることから、22歳、20歳と、段階的に引き下げていくのが現実的にも妥当な選択であろう。

 なお、被選挙権年齢の引下げのさい、民法が定める成年年齢(後述)よりも低く設定することはできない。特定の選挙に立候補する場合には当然、売買、賃貸借等の契約が、親の同意なく単独で行うことができる能力があることが前提となるからである。

五 民法が定める成年年齢の引下げ

1 成年年齢とその引下げの意義

 18歳選挙権に続く次のステップとして、民法が定める成年年齢の引下げ、言わば「18歳成年」の実現が課題となる。成年年齢は、一般には「成人年齢」と言い換えられることが多く、「大人と子どもを画する年齢」として理解されているが、18歳選挙権との関係ではあくまで、法的な意味を理解する必要がある。成年年齢が有する意義、その引下げがもたらす問題は、次の2点にまとめられる。

 成年年齢とは第一に、個人が単独で契約を行うことが出来る年齢である。成年に達しない者、すなわち未成年者が契約を行う場合には、原則、親権者等の法定代理人の同意を得なければならない。法定代理人の同意を得ないで行った契約は、未成年者本人又はその法定代理人が、取り消すことが出来る。成年年齢を18歳に引き下げた場合には、18歳、19歳の者が親の同意なく自由に売買等を行うことが出来るようになる一方、悪徳業者から不当高額な商品を購入した場合であっても、親権者がその売買契約を取り消すことが出来なくなるため、消費者被害が拡大するおそれが高くなる。

 第二に、個人が、親権者の親権に服さなくなる年齢である。親権の内容は、子の監護、教育、居所指定、懲戒、職業許可及び財産管理と多岐にわたる。成年年齢の引下げは、親権を離れ、若年者の自立を促す効果がある一方、自立が元々困難な者にとっては、18歳を迎えた後、親権者の保護を受けられなくなるおそれが生じる。また、18歳を以て成年とすると、高校3年在学中に成年を迎える者が出てくるが、法律上はすでに親の親権に服さない地位になっており、教育者の立場からすれば、生活指導、進路指導等の場面で親の協力が得られなくなるおそれがある。

2 選挙権年齢と成年年齢との関係

 選挙権年齢と成年年齢とは、一見して無関係であるように見えるが、実は密接な関係下にある。
 
 序論で、日本で普通選挙制度が導入されたさい、選挙権年齢が満20歳以上の者と定められたことについて述べた。実はこのとき、政府は成年年齢を参考にし、選挙権年齢を成年年齢に一致させるべきことを方針として確定し、満20歳以上と定めたのであった。選挙のさい、誰(どの政党)に投票すべきかを判断する能力と、売買等の契約の場面で必要な判断を行う能力との間には違いはないというのが、その理由である。選挙権と国民投票権は「性別が同じ双子の関係」と称したが、選挙権と成年概念は言わば、「性別が違う双子の関係」に当たると理解することもできる。
 
 2016年6月19日以降、選挙権年齢と成年年齢は不一致となる。両年齢の不一致を放置したら、それがもたらす不都合は、早晩、顕在化することであろう。例えば、18歳、19歳の者が、選挙運動のボランティアをしたいと決意し、ある立候補者の選挙事務所にその旨申込むケースを想定してみる。申込者はこのとき、選挙運動を行うことは認められても、一方で民法上の未成年者として評価されるままに「親の同意」を要求されることがありうるのである。親の同意が得られないため、ボランティアを断わられることは、ごく一般的な法感覚に反するであろう。

 このような不都合を回避するためにも、成年年齢の引下げを早期に行うべきことは言うまでもない。もっとも、選挙権の行使には、結果も含めて公的にも私的にも責任は問われないが、契約などの場面では、判断が不十分であっても、代金支払などの債務が原則発生する。選挙権年齢の引下げのさいは、法的責任の発生を一切考慮する必要がなかったが、成年年齢の引下げはこの点の事情が異なるのである。

 政府は一貫して、若年者の自立を促すような施策や、消費者被害が拡大しないような施策が実現することが、成年年齢引下げの前提条件となるとの立場を採っている。現段階では、これらの施策を計画的、確実に遂行することが課題である。

六 少年法適用対象年齢の引下げ
 
 少年法は、20歳に満たない者を「少年」と定義し、少年の犯罪行為に対しては原則、刑罰ではなく、保護処分の対象とすることとしている。少年の保護と更生をその目的とする(保護主義)。少年の刑事事件はすべて、家庭裁判所に送致される。

 18歳選挙権法の提出準備のため、各党が協議を重ねていた当時(2014年)、最も労力を費やしたのが、この少年法適用対象年齢との関係整理である。選挙犯罪に与した少年の扱いをどうするか、各党の意見集約にかなりの時間を要していた。

 ある選挙のさい、高校3年生のグループ内部で、買収が行われたとする。通常であれば、「買収罪」の責を負うが、少年法の適用を受けるため、原則として刑罰の適用はない。18歳、19歳に選挙権を付与することは、その限りで法的に一人前扱いすることに他ならないが、一方で、少年法の適用対象として保護するというのは、刑事手続上は一人前扱いしていないことに他ならず、法律論、制度論としては一貫していない。少年法の適用を受けることで、18歳、19歳の者による選挙犯罪が助長されることにはならないが、法的にアンバランスな扱いを放置することは妥当ではない。

 本来、18歳選挙権法の整備と同時に、少年法適用対象年齢を18歳とする少年法改正を実現すべきであった。しかし、少年法改正に関する合意形成には相当な時間がかかり、18歳選挙権法案の提出には間に合わないと判断され、断念に至った経緯がある。それでも、18歳、19歳の選挙犯罪をそのまま、少年法の適用下に置くという政策判断も厳しいことから、18歳選挙権法は暫定的な特例措置として、18歳、19歳の者による「連座制の適用となる事件」について、その罪質が選挙の公正の確保に重大な支障を及ぼすと家庭裁判所が認める場合には、検察官送致の決定(逆送)を行い、△修谿奮阿了件で、家庭裁判所が検察官送致を決定する場合には、選挙の公正の確保を考慮して行う旨、規定した。18歳、19歳の者による選挙犯罪に関し、実際の運用が保護主義と刑罰主義のどちらに傾斜するか、今後厳しく評価する必要がある。
 
 法務省は2015年11月、省内に勉強会を立ち上げ、少年法の適用対象年齢を含む若年者に対する刑事法制のあり方全般について検討を始めている。年長少年(18歳、19歳)による一般刑法犯の検挙人員は、2003年を最後のピークとして年々、減少傾向にあるものの、川崎市中1男子生徒殺害事件(2015年2月)など、社会を震撼させる事件が時折発生し、少年法適用対象年齢の引下げを要求する世論が一層強くなっている。処遇の見直しも含めて成案を得つつ、少年法改正をできるだけ早期に実現することが望ましい。

七 児童福祉法改正の動き

 18歳選挙権とは直接の関係性はないが、児童福祉法改正の動きについて最後に採り上げる。政府は第190回国会(常会)に、児童福祉法の改正案を提出する方針を固めている。児童福祉法の適用対象年齢を2016年度以降、現在の「18歳未満」から「20歳未満」へと、措置延長の年限を「20歳未満」から「22歳未満」へとそれぞれ引き上げ、不適切な養育を受けた子どもや家庭基盤がぜい弱な子どもの経済的、職業的な自立を今まで以上に支援することが、改正の柱とされている。適用対象年齢に関しては、実に60年ぶりの改正となる。

 子ども家庭福祉の領域における要保護性の評価とまったく同次元で議論することはできないが、子どもの自立の保証を強化しようとする児童福祉法改正が今後、成年年齢、少年法適用対象年齢の引下げの議論に影響を及ぼすことは必至である。改正が実現した場合、成年年齢、少年法適用対象年齢、児童福祉法適用対象年齢が20歳に揃うが、改正後もそのまま維持されるという可能性も否定できない。

 国民投票権年齢が前述の状況であるところ、当面、年齢に関する法制度全体の中で、18歳選挙権だけが突出し、制度概念として浮いてしまうおそれがある。18歳選挙権法の施行が迫るなか、18歳成人改革のロードマップを、今後どのように描いていくべきであろうか。年齢条項の論理性、法律相互の整合性を維持しつつ、改革が着実に進捗していくことを願うばかりである。(了)

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