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南部義典オフィシャルブログ

タグ:朝日新聞

 朝日新聞(31日、朝刊・社会面)
 国民投票CM「資金力の差で不公平に」法改正求める声 に、
 私のコメントが掲載されました。

 南部義典・元慶大大学院講師(国民投票法制)は、現行法では投票日前14日間も、賛否を呼びかける内容以外のCMは流せると指摘。「私は改憲に賛成」などと意見表明するだけなら規制対象にならないという。「本質と関係ないイメージ戦略や資金力が結果を左右する。公正な国民投票のためには『ゼロの平等』が必要」とCM全面禁止を主張する。

 憲法を改正するかどうかの投票のルールを決めた国民投票法が、国会で改正されました。投票できるのは、これから4年間は「20歳以上」の人ですが、4年後からは「18歳以上」に引き下げられます。どうしてそうなったのでしょうか。3月まで慶応大学講師をつとめ、『Q&A解説・憲法改正国民投票法』の著者の南部義典(なん・ぶ・よし・のり)さんに聞きました。

 憲法を改正するには、国会が3分の2以上の賛成で提案して、国民投票にかけなければなりません。しかし、国民がどのように投票するかは、憲法では決まっていません。そのため、2007年、国民投票法が国会でつくられました。

 国民投票法では、18歳以上が投票できることになりました。国会議員や知事、市長などの選挙で投票できる選挙権は20歳以上です。大人とみとめられるのも、民法という法律で20歳と決められています。国民投票だけ18歳以上にしたのは、なぜでしょうか。

 南部さんは「憲法を改正するのは、人の一生のうちに何度もあることではありません。そのため、できるだけ若い人たちの意見も聞こうということになったのです。また、世界の多くの国々では、国民投票や選挙、大人の年齢は18歳以上です。国民投票をきっかけに、選挙権と大人の年齢も18歳に引き下げようとしたのです」といいます。

 国民投票法は、3年後の施行(法律を実行すること)までに、選挙権と大人の年齢を18歳以上にそろえるよう国に宿題を出しました。2010年、国民投票法が施行されました。ところが、いまでも選挙権と大人の年齢は20歳以上のままです。どうしたのでしょうか。

 「国会議員や役所が宿題をさぼったのです。そのため、国民投票と選挙、大人の年齢がちがうという予想外のことがおきました。国民投票に参加できるのは、18歳以上なのか20歳以上なのかが、はっきりしなくなったのです。これでは国民投票はできません」

 国民投票ができなければ、憲法改正はできません。そこで憲法改正に熱心な自由民主党(自民党)が中心になって、国民投票の年齢をはっきりさせようとしたのです。

 今回の改正で、これから4年間は20歳以上、そのあとは18歳以上が投票することになりました。18歳以上の投票は、なぜ4年間待つことになったのでしょうか。

 「自民党の中から『18歳で国民投票に参加させるのは早すぎる』という意見が出てきたからです。同じ与党(政府をささえる政党)の公明党は18歳を主張しました。そのため、両方の意見の間を取ったのです」

 宿題だった選挙権と大人の年齢は、18歳に早くそろえることになりました。選挙権については、ほとんどの政党が2年以内に18歳以上にすることを約束しました。大人の年齢を18歳にすることについては、期限がついていません。

 「古い宿題のかわりに新しい宿題が出されたわけです。こんどこそ、国会議員や役所はさぼらないでほしいですね」

 今回の改正で、公務員も憲法改正について意見をいったり、ほかの人に賛成か反対かの投票をするようすすめたりすることができるようになりました。こうしたことを決めたのはなぜですか。

 「公務員はだれに対しても、中立でなければなりません。選挙では、だれかを当選させようと運動をしてはいけません。しかし、憲法を改正するかどうかは大事なことですので、公務員も自分の意見をいったり、運動をしたりできるようにしたのです」

 国民投票のルールがかなりととのいました。これで憲法改正は進むのでしょうか。

 「憲法改正については政党の間で、いろいろな意見があります。国会が憲法改正案をつくり、国民投票にかけるには、時間がかかると思います」

 いまの小学生もいずれ国民投票に参加することになるかもしれません。

 南部さんは「憲法は個人の権利や自由を守るためのものです。憲法を変えることを国会が提案してきたときには、個人の権利や自由をもっと広げることになるのかどうかを考えて、賛成か反対かを決めてほしいですね」といいます。

 朝日小学生新聞(2014/6/17)

 朝日新聞の記事が波紋を呼んでいます。
 国民投票法案、79%が最低投票率は必要 朝日新聞調査

 「投票率が一定の水準を上回る必要がある」と考える人が79%に上った、とのことです。

 最低投票率の議論はいま、混乱していると思います。
 最低投票率を設けてはいけない理由 と
 最低投票率を法律で規定してはいけない(憲法で規定すべき)理由 とが、ごちゃごちゃになっている気がします。

としては、
1.最低投票率を設けると、棄権運動(ボイコット・キャンペーン)が起こる。本当に棄権したい場合はともかく、国民「投票」である以上、賛否の意思は具体的な投票行為で示すべきである。
2.最低投票率を実際設けた自治体の首長(岩国市長)は、後日後悔している。住民投票において、好意的に受け入れられているわけではない。
3.最低投票率を40%とした場合、例えば39%の投票人の意思がすべて無駄になってしまう。
4.最低投票率ギリギリで成立した場合、その結果は賛否どちらかに極端に偏在する。
また、棄権者は、真の意味での「棄権者」と、反対意思にもとづく「棄権者」が混在することになる。訳のわからない投票結果を生むだけであって、結局のところ民意が正しく反映されない。
5.憲法改正案の内容によっては、高い投票率が望めない場合がある。改正をせず、憲法条文の空洞化を招くほうがより深刻である。

としては、
1.憲法に規定のない加重要件を課すことになり、憲法上疑義がある。
2.最高規範である憲法の成立要件を下位の法規範で決することは、規範構造上、背理である。憲法に対し、失礼な思想・態度である。
3.法律で定めることとすれば、多数決原理によって如何様にも恣意的に改正されてしまう。
4.「最低投票率を下回った場合、原条文の尊重義務を課す」という公権力を拘束する規範的効果を発生させるのがこの規範の本質である。原憲法条文を守れと主権者側が公権力を拘束し、命令するという意義に照らし、本来的に憲法典で定められる事項である。
5.比較法制的にみて、諸外国では最低投票率ないし絶対得票率は憲法典で定められている。

 最低投票率を設けるべきであるとの主張のほとんどが、の区別が出来ていません。
 法律で定めることには反対だけれども、憲法で定めることには賛成であるという意見、世論を反映させることができない点で、上記アンケートは明らかに失格です(最近、こういうデタラメなアンケートが流行っていますが・・・)。

 最低投票率が当然必要だと考えるのであれば、それは憲法で定めるか、法律で定めるか、議論の出発点はここです。
 法律で定めることには賛成だが、憲法を改正してこれを定めることには反対というのであれば、それなりの理論武装が必要なはずです。。。

 最高裁判事国民審査法§32但書についても、まさに再抗弁として、葉梨康弘・併合修正案提出者の答弁通りです。

 いま、「法律案」の審査をしていますので、最低投票率を法律で定めることを前提した議論が進んでいます。法制化を強烈に主張する政治家は、これを憲法典に書き込むことについて問われたことまで考えて議論ができているかどうか、改めて見識が問われることになるでしょう。。。最低投票率を法律で定めるという、稀有な国にならないためにも。

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