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南部義典オフィシャルブログ

タグ:民法改正

 マガジン9連載 立憲政治の道しるべ
 第117回「“慣例破り”が慣例化する、共謀罪法案の横暴審議」
 http://www.magazine9.jp/article/rikken/33128/
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 回9010レ(EF81-139 + E26系12B)
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 JR東北本線 蓮田−東大宮
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 Ai AF Nikkor 28mm f2.8
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 TRAIN SUITE 四季島(試運転)
 2017.4
 JR東北本線 蓮田−東大宮
 Nikon D90
 Ai AF Nikkor 28mm f2.8
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 F4
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 産経ニュース 2016.8.15 08:01更新
 成人年齢18歳に引き下げへ 政府が民法改正案を来年の通常国会に提出
 http://www.sankei.com/politics/news/160815/plt1608150018-n1.html

 お盆休み中、政治関連のニュースが少ないなか、
 産経が粋な記事を配信しました。

 もっとも、成年年齢を定める民法4条の単発改正ではなく、
 
 〔泳,墨動して改正する必要がある法律 <8本>
 ・国籍法
 ・性同一障害者の性別の取扱いの特例に関する法律
 ・旅券法
 ・児童福祉法
 ・水先法
 ・母子及び父子並びに寡婦福祉法
 ・船舶職員及び小型船舶操縦者法
 ・恩給法等の一部を改正する法律
 
 18歳選挙権法(平成27年6月19日法律第43号)が先送りした法律 <2本>
 ・民生委員法
 ・人権擁護委員法

 の計10本の法律も、同時に改正される運びとなるでしょう。

 また、民法改正が実現すれば、被選挙権年齢の引下げ議論にも、
 プラスの影響が及ぶでしょう。

 国会は、法制上の諸課題について、
 政府任せではなく、丁寧な整理を心がけるべきです。

「18歳選挙権の法律論と制度論」
 
一 序論
 
 2016年6月19日、18歳選挙権法が施行される。18歳、19歳の者は新たに、同日以降に公示される国政選挙(衆議院議員総選挙、参議院議員通常選挙)から、投票行為はもちろんのこと、特定の候補者、政党等を支援する目的で選挙運動を行うことが可能となる。18歳選挙権に連動し、衆議院議員総選挙のさいに行われる最高裁判所裁判官の国民審査、さらに地方自治体レベルの住民投票も、18歳を以て有権者としての資格を得ることになる。総じて、政治参加の場面では、18歳がエントリー基準となる。

 思えば1945年12月、日本に普通選挙制が導入され、満20歳以上の者に対し、男女平等に選挙権が与えられた。現在まで70年間にわたって20歳選挙権が定着し、選挙権年齢の引下げは、戦後憲政史の上で初めてのことである。世界に目を転じれば、デンマークのように、選挙権年齢を25歳から18歳まで、数次の国民投票を経ながら段階的に引き下げてきた国もあるところ、18歳選挙権はすでにすう勢となっている。新興国の多くは、18歳選挙権を当初から採用した。時機がかなり遅れたものの、日本はようやく世界標準に到達したところである。

 もっとも、18歳選挙権に関しては、制服姿の高校3年生が投票所で投票する姿がシンボル化されがちであるが、立法目的は決して、投票を可能としたことに尽きるものではない。18歳、19歳の者が現実の政治との接触、社会との関わりの中で思考を巡らし、主体的な活動を実践することを通じ、政治的な潜在能力を覚醒させ、政治的な自律を獲得する過程にこそ、その核心がある。知識中心ではない、実践的な市民教育の重要性が認識される所以である。
 
 18歳選挙権の法律論、制度論としては、この先の展開に悩ましい課題を抱えている。まず、18歳選挙権法が整備されてもなお、被選挙権年齢の見直し等、法律改正を要する課題が残されている。また、憲法改正の手続を定める国民投票法の制定(2007年5月)を契機に、いわゆる「18歳成人改革」が立法課題として継続しているところ、年齢に関する法制度の全体を見渡せば、選挙権年齢の引下げはまだ、改革の第一歩にすぎない。18歳選挙権法は、民法、少年法、その他の法律の改正(総計170本程度)を、政府に対し、宿題として課したばかりであり、改革の本番はこれから到来する。言うまでもなく、民法、少年法の改正は、国会内外における合意形成のハードルが高い。国民的議論を仕切り直すためにも、18歳選挙権法を起点に、今後予定される法律改正の内容、課題を整理しなければならない。

 なお、本稿の内容は、執筆時点(2016年1月)の情報に基づいている。

二 国民投票権年齢との関係

 本論に入る前に、18歳選挙権の実現を後押しした国民投票法との関係について、一点指摘しておかなければならない。

 国民投票法は2007年5月に制定され、3年後の2010年5月に施行されたが、国民投票権年齢に関する法的不具合が生じたため、同年齢が満18歳以上か、満20歳以上か、解釈がいずれにも確定しないという状態が続いていた。2014年6月の国民投票法改正は、この年齢不確定問題に対処するため、一定の政治的妥協を踏まえつつ、国民投票権年齢を2018年6月20日まで「満20歳以上の者」といったん確定し、翌6月21日以降、「満18歳以上の者」と、自動的に引き下げる措置を講じたところである。

 選挙も国民投票も、参政権としては同種であり、いわば「性別の同じ双子」として、法律上の年齢が異なってはならないというのが、伝統的な立法原則である。しかし、18歳選挙権を起点に、前記の推移を捉えるとどうなるか。18歳選挙権法が施行されると、2018年6月20日までの間、選挙権年齢と国民投票権年齢が食い違ってしまうのである。

 筆者が仄聞する限りでも、選挙権年齢と国民投票権年齢が制度上、相違している国は存在しない。このまま放置しても、2018年6月21日には自然に解決する問題ではあるが、18歳国民投票権を前倒しして実現する法整備が喫緊の課題であることを、まず確認しておかなければならない。

三 18歳選挙権の意義再考

1 国政との関わり

 18歳選挙権法は2015年6月、衆参両院において全会一致で可決し、成立した。法案審議時には、各党間で「次回の国政選挙は必ず、18歳選挙権が実現された下で行う」との共通認識が醸成されており、制度化それ自体に対する異論はまったくみられない。国民投票法案の起草当時(2006年)には、18歳の政策判断能力を疑問視する意見が有力に主張されていたことからすれば、わずか10年の経過とはいえ、隔世の感がある。

 今や、18歳、19歳の者が選挙権を適切に行使することができるよう、選挙制度の内容(衆参の相違点)、投票の方式をどのように周知するかという課題に収斂している。政府はすべての高校生に副教材を配付し、制度に関する詳細な解説を施す一方、各党は、若年者層との双方向的な政策対話の場を設け、定期的にコミュニケーションを図るなど、試行錯誤が続けられている。しかし、各党の日常的な活動広報は、政界特有の分かりづらさが覆い尽くしており、なお相当な工夫を要する。
 
 18歳選挙権法は、最高裁判所裁判官の国民審査も満18歳で可能としたが、事前の情報提供のあり方に関しては、選挙よりもはるかに深刻な課題を残している。国民審査は現在、罷免させたい裁判官に対して「×」を付し、それでなければ何も書かずに投票する方式が採られているが、審査対象となる裁判官の評価に資する情報に、18歳、19歳の者がアクセスすることは容易ではない。最高裁判所は、裁判官に関する情報を日常的に提供しておらず、国民審査のさいに発行される「審査公報」が唯一の参考情報となるところ、実に形式的であり、質・量ともに、18歳、19歳の者の判断に供する内容として構成されていない。国民審査のさい、適切な判断ができなければ、白紙投票を以て、裁判官を結果的に信任することになってしまう。また、国民審査に臨むには、最高裁判所の役割を正しく認識していなければならず、この意味でも憲法教育の充実が不可欠である。

2 地方政治との関わり

 18歳選挙権法が初めて適用されるのは、衆参いずれかの国政選挙ということもあり、18歳選挙権を論じる場合、国政選挙のさいの投票行為に焦点が当たりがちである。しかし、18歳、19歳の者が有権者として関わるのは国政選挙だけではない。日常生活に身近な、地方政治との関わりを確認しておく必要がある。

 まず、18歳選挙権法により、地方選挙(知事、市町村長、自治体議会の議員の選挙)において、満18歳の者が投票資格を得る。いずれの職も任期は4年であり、少なくとも4年に1回、これら住民の代表者を選ぶことができる。

 加えて、地方自治レベルには、「直接請求」と呼ばれる制度がある。すなわち、ー治体条例の制定等の請求、監査の請求、5腸颪硫鮖鏡禅瓠↓さ聴、長、役員の解職請求(リコール)の4つが、住民の権利として認められている。18歳選挙権法はこれら4つの直接請求権も、満18歳で行使可能としたことが特長である。

 筆者がとくに注目するのは、,両鯲秬定請求権である。近年、住民の間で政策上、大きな争点となり、対立が容易に決着しない案件に関しては、住民投票というシステムを活用し、住民が直接、意思決定を行おうとする機運が高まっている。その背景事情は様々だが、4年に1回の選挙を経るだけでは、自治体行政と住民の意思とのかい離が埋まらないことは確かである。これまで市町村合併、議員定数の削減、産業廃棄物処理施設の建設、大型公共施設の建設、基地の移転、原子力発電所の再稼働等の是非をめぐって、住民投票を実施するための条例を制定するため、有権者による一定数の署名を収集し、当該自治体の長に対して条例制定を請求する動きが、全国各地で見られたところである。
 
 条例制定請求権の行使は、既成政党ないし政治的組織の活動の延長として、比較的年輩の有権者が取り組むもの、というイメージが強い。しかし、昨今の若年者層の政治問題に対する関心の高まり、政治的な活動のすそ野の広がりを見るにつけ、今後はむしろ高校生、大学生が運動のイニシアティブをとることに、筆者は期待を込めている。選挙運動、国民投票運動にも通ずるところがあるが、インターネットの利活用が、運動の可能性を一層膨らませる。殊に、文部科学省通知「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について」(2015年10月29日付)に基づく運用が、生徒会、クラブ活動等の授業以外の場面、放課後や休日等における生徒の政治活動を不当に制約することがないよう、十分に配慮しなければならない。
   
四 18歳選挙権法が残した課題

1 学年基準の採用

 「参議院議員通常選挙が、2016年7月17日(日)に行われる」と仮定する。この場合、2016年7月18日までに、18歳の誕生日を迎えた者は、投票資格が得られるが、7月19日以降、2017年4月1日までに誕生日を迎える者は、同じ高校3年生でも投票資格は得られない。

 なぜ、このような事態が生じるかといえば、選挙権年齢の要件に関して、当該選挙の期日を基準に据え、満年齢を以て判断することから、在学年齢との間に齟齬が生じるためである。同じ高校3年生が、投票期日の偶然によって、有権者と非・有権者に二分されることには、多くの高校生、教育関係者が違和感を覚えることであろう。

 したがって、18歳選挙権特有の問題ではあるが、学年を基準に投票機会を拡充する趣旨で、高校3年生の在学年度(当該年の4月1日から翌年の3月31日まで)に執行される選挙に関し、選挙権を一律、平等に付与する制度を導入すべきである。学年基準は、オーストリアですでに採用されている。日本においても、実務上の障碍は低いと解される。

2 被選挙権年齢の引下げ
 
 序論で「政治参加の場面では、18歳がエントリー基準となる」と述べたが、被選挙権年齢に関しては、今まで18歳成人改革の射程から外れてしまっていた。選挙制度は各国様々であるが、25歳(衆議院議員、都道府県議会議員、市区町村議会議員及び市区町村長)、30歳(参議院議員、都道府県知事)という被選挙権年齢は、比較法的にみても高い基準である。

 18歳選挙権の実現により、衆議院議員の被選挙権年齢との較差は7歳となる。この点、二院制を採用している国における下院の選挙制度について見ると、選挙権年齢と被選挙権年齢との5歳以上の較差を許容する例は、アメリカ、フランス、イタリアの3国と、わずかであることが分かる。日本も当然、少数国の部類に含まれる。
 
 各国では、被選挙権年齢も選挙権年齢と同じ18歳とする例が多い。日本では、被選挙権年齢をいきなり18歳に引き下げることは困難であると解されることから、22歳、20歳と、段階的に引き下げていくのが現実的にも妥当な選択であろう。

 なお、被選挙権年齢の引下げのさい、民法が定める成年年齢(後述)よりも低く設定することはできない。特定の選挙に立候補する場合には当然、売買、賃貸借等の契約が、親の同意なく単独で行うことができる能力があることが前提となるからである。

五 民法が定める成年年齢の引下げ

1 成年年齢とその引下げの意義

 18歳選挙権に続く次のステップとして、民法が定める成年年齢の引下げ、言わば「18歳成年」の実現が課題となる。成年年齢は、一般には「成人年齢」と言い換えられることが多く、「大人と子どもを画する年齢」として理解されているが、18歳選挙権との関係ではあくまで、法的な意味を理解する必要がある。成年年齢が有する意義、その引下げがもたらす問題は、次の2点にまとめられる。

 成年年齢とは第一に、個人が単独で契約を行うことが出来る年齢である。成年に達しない者、すなわち未成年者が契約を行う場合には、原則、親権者等の法定代理人の同意を得なければならない。法定代理人の同意を得ないで行った契約は、未成年者本人又はその法定代理人が、取り消すことが出来る。成年年齢を18歳に引き下げた場合には、18歳、19歳の者が親の同意なく自由に売買等を行うことが出来るようになる一方、悪徳業者から不当高額な商品を購入した場合であっても、親権者がその売買契約を取り消すことが出来なくなるため、消費者被害が拡大するおそれが高くなる。

 第二に、個人が、親権者の親権に服さなくなる年齢である。親権の内容は、子の監護、教育、居所指定、懲戒、職業許可及び財産管理と多岐にわたる。成年年齢の引下げは、親権を離れ、若年者の自立を促す効果がある一方、自立が元々困難な者にとっては、18歳を迎えた後、親権者の保護を受けられなくなるおそれが生じる。また、18歳を以て成年とすると、高校3年在学中に成年を迎える者が出てくるが、法律上はすでに親の親権に服さない地位になっており、教育者の立場からすれば、生活指導、進路指導等の場面で親の協力が得られなくなるおそれがある。

2 選挙権年齢と成年年齢との関係

 選挙権年齢と成年年齢とは、一見して無関係であるように見えるが、実は密接な関係下にある。
 
 序論で、日本で普通選挙制度が導入されたさい、選挙権年齢が満20歳以上の者と定められたことについて述べた。実はこのとき、政府は成年年齢を参考にし、選挙権年齢を成年年齢に一致させるべきことを方針として確定し、満20歳以上と定めたのであった。選挙のさい、誰(どの政党)に投票すべきかを判断する能力と、売買等の契約の場面で必要な判断を行う能力との間には違いはないというのが、その理由である。選挙権と国民投票権は「性別が同じ双子の関係」と称したが、選挙権と成年概念は言わば、「性別が違う双子の関係」に当たると理解することもできる。
 
 2016年6月19日以降、選挙権年齢と成年年齢は不一致となる。両年齢の不一致を放置したら、それがもたらす不都合は、早晩、顕在化することであろう。例えば、18歳、19歳の者が、選挙運動のボランティアをしたいと決意し、ある立候補者の選挙事務所にその旨申込むケースを想定してみる。申込者はこのとき、選挙運動を行うことは認められても、一方で民法上の未成年者として評価されるままに「親の同意」を要求されることがありうるのである。親の同意が得られないため、ボランティアを断わられることは、ごく一般的な法感覚に反するであろう。

 このような不都合を回避するためにも、成年年齢の引下げを早期に行うべきことは言うまでもない。もっとも、選挙権の行使には、結果も含めて公的にも私的にも責任は問われないが、契約などの場面では、判断が不十分であっても、代金支払などの債務が原則発生する。選挙権年齢の引下げのさいは、法的責任の発生を一切考慮する必要がなかったが、成年年齢の引下げはこの点の事情が異なるのである。

 政府は一貫して、若年者の自立を促すような施策や、消費者被害が拡大しないような施策が実現することが、成年年齢引下げの前提条件となるとの立場を採っている。現段階では、これらの施策を計画的、確実に遂行することが課題である。

六 少年法適用対象年齢の引下げ
 
 少年法は、20歳に満たない者を「少年」と定義し、少年の犯罪行為に対しては原則、刑罰ではなく、保護処分の対象とすることとしている。少年の保護と更生をその目的とする(保護主義)。少年の刑事事件はすべて、家庭裁判所に送致される。

 18歳選挙権法の提出準備のため、各党が協議を重ねていた当時(2014年)、最も労力を費やしたのが、この少年法適用対象年齢との関係整理である。選挙犯罪に与した少年の扱いをどうするか、各党の意見集約にかなりの時間を要していた。

 ある選挙のさい、高校3年生のグループ内部で、買収が行われたとする。通常であれば、「買収罪」の責を負うが、少年法の適用を受けるため、原則として刑罰の適用はない。18歳、19歳に選挙権を付与することは、その限りで法的に一人前扱いすることに他ならないが、一方で、少年法の適用対象として保護するというのは、刑事手続上は一人前扱いしていないことに他ならず、法律論、制度論としては一貫していない。少年法の適用を受けることで、18歳、19歳の者による選挙犯罪が助長されることにはならないが、法的にアンバランスな扱いを放置することは妥当ではない。

 本来、18歳選挙権法の整備と同時に、少年法適用対象年齢を18歳とする少年法改正を実現すべきであった。しかし、少年法改正に関する合意形成には相当な時間がかかり、18歳選挙権法案の提出には間に合わないと判断され、断念に至った経緯がある。それでも、18歳、19歳の選挙犯罪をそのまま、少年法の適用下に置くという政策判断も厳しいことから、18歳選挙権法は暫定的な特例措置として、18歳、19歳の者による「連座制の適用となる事件」について、その罪質が選挙の公正の確保に重大な支障を及ぼすと家庭裁判所が認める場合には、検察官送致の決定(逆送)を行い、△修谿奮阿了件で、家庭裁判所が検察官送致を決定する場合には、選挙の公正の確保を考慮して行う旨、規定した。18歳、19歳の者による選挙犯罪に関し、実際の運用が保護主義と刑罰主義のどちらに傾斜するか、今後厳しく評価する必要がある。
 
 法務省は2015年11月、省内に勉強会を立ち上げ、少年法の適用対象年齢を含む若年者に対する刑事法制のあり方全般について検討を始めている。年長少年(18歳、19歳)による一般刑法犯の検挙人員は、2003年を最後のピークとして年々、減少傾向にあるものの、川崎市中1男子生徒殺害事件(2015年2月)など、社会を震撼させる事件が時折発生し、少年法適用対象年齢の引下げを要求する世論が一層強くなっている。処遇の見直しも含めて成案を得つつ、少年法改正をできるだけ早期に実現することが望ましい。

七 児童福祉法改正の動き

 18歳選挙権とは直接の関係性はないが、児童福祉法改正の動きについて最後に採り上げる。政府は第190回国会(常会)に、児童福祉法の改正案を提出する方針を固めている。児童福祉法の適用対象年齢を2016年度以降、現在の「18歳未満」から「20歳未満」へと、措置延長の年限を「20歳未満」から「22歳未満」へとそれぞれ引き上げ、不適切な養育を受けた子どもや家庭基盤がぜい弱な子どもの経済的、職業的な自立を今まで以上に支援することが、改正の柱とされている。適用対象年齢に関しては、実に60年ぶりの改正となる。

 子ども家庭福祉の領域における要保護性の評価とまったく同次元で議論することはできないが、子どもの自立の保証を強化しようとする児童福祉法改正が今後、成年年齢、少年法適用対象年齢の引下げの議論に影響を及ぼすことは必至である。改正が実現した場合、成年年齢、少年法適用対象年齢、児童福祉法適用対象年齢が20歳に揃うが、改正後もそのまま維持されるという可能性も否定できない。

 国民投票権年齢が前述の状況であるところ、当面、年齢に関する法制度全体の中で、18歳選挙権だけが突出し、制度概念として浮いてしまうおそれがある。18歳選挙権法の施行が迫るなか、18歳成人改革のロードマップを、今後どのように描いていくべきであろうか。年齢条項の論理性、法律相互の整合性を維持しつつ、改革が着実に進捗していくことを願うばかりである。(了)

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