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タグ:沖縄県

 マガジン9連載 南部さんの国民投票法講座
 第10回「最低投票率ではなく、”絶対得票率”を考えよう」


 今回は少し、頭の体操のようなテーマです。

 日本で憲法改正の是非を問う国民投票が行われるとします。憲法改正が成立するための要件は、「賛成投票の数が、投票総数の過半数に達したこと」です(過半数ルール)。要するに、投票を終えて、投票箱を開いてみたときに、賛成投票の数が反対投票の数より1票でも多ければいいわけです(例を分かりやすくするために、無効投票はないものと仮定します)。

 この過半数ルールを念頭に、国民投票の結果を示す次の円グラフ(A)(B)をご覧ください。あくまで仮定です。

(続きはこちら)https://maga9.jp/190306-3/


 
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 国家公務員(一般職)、地方公務員(一般職)との間には、住民投票運動規制をめぐる根本的な相違点があります。

 まずは、関係条文をご覧ください。

▼国家公務員法(昭和22年法律第120号)
(政治的行為の制限)
第102条 職員は、政党又は政治的目的のために、寄付金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない
第110条 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(19)第102条第1項に規定する政治的行為の制限に違反した者

▼昭和24年人事院規則14−7
(政治的行為の意義)
6 法第102条第1項の規定する政治的行為とは、次に掲げるものをいう。
(8)政治的目的をもって、第5項第1号に定める選挙、第2号に定める国民審査の投票又は同項8号に定める解散若しくは解職の投票において、投票するように又はしないように勧誘運動をすること

▼地方公務員法(昭和25年法律第261号)
(懲戒)
第29条 職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
(1)この法律若しくは第57条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合

(政治的行為の制限)
第36条
2 職員は、特定の政党その他の政治的団体又は特定の内閣若しくは地方公共団体の執行機関を支持し、又はこれに反対する目的をもって、あるいは公の選挙又は投票において特定の人又は事件を支持し、又はこれに反対する目的をもって、次に掲げる政治的行為をしてはならない。ただし、当該職員の属する地方公共団体の区域(当該職員が都道府県の支庁若しくは地方事務所又は地方自治法第252条の19第1項の指定都市の区に勤務する者であるときは、当該支庁若しくは地方事務所又は区の所管区域)外において、第1号から第3号まで及び第5号に掲げる政治的行為をすることができる。
(1)公の選挙又は投票において投票をするように、又はしないように勧誘運動をすること

 国家公務員法及び人事院規則においては、国家公務員が国民投票、住民投票といった「公の投票」に関する賛否の勧誘運動を行うことを禁止していません。

 他方、地方公務員法では、地方公務員が、前記の「公の投票」に関する賛否の勧誘運動を行うことを禁止しています。違反行為があった場合は、懲戒処分の対象となります。

 2月、沖縄県で県民投票が執行されますが、その運動期間中、国家公務員は県民投票運動を行うことができ、地方公務員はそれを行うことができません。具体的に言えば、防衛省沖縄防衛局の職員と、沖縄県内自治体職員との間には、重大な相違点があるのです。

 特に、国と当該自治体との間で大きな対立がある案件が投票の対象になっている場合、法令上の扱いの相違(不均衡)は、深刻なレベルで公正さを害することになりかねません。

 地方公務員による住民投票運動を自由とするためには、地方公務員法そのものの改正が必要です。県民投票条例を以て、同法を適用除外とすることはできません。

 ちなみに、国民投票の場合には、国民投票法(平成19年法律第51号)第100条の2で、純粋な態様での賛否の勧誘運動(国民投票運動)は、国家公務員、地方公務員のいずれも行うことができることを定めています(→公務員法制における政治的行為制限規定の適用除外)。

 国家公務員、地方公務員に対する「住民投票運動規制」の相違は、今なお「隠れた論点」になっているのです。

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