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南部義典オフィシャルブログ

タグ:18歳選挙権

 (マガジン9)立憲政治の道しるべ 2016.7.13
 第99回「“3分の2”超でも、憲法改正がすんなり進まないと考える理由」
 http://www.magazine9.jp/article/rikken/29279/
 http://blogos.com/article/183305/

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 平成27年9月10日
 自由民主党政務調査会
 成年年齢に関する特命委員会
 
 国民投票の投票権を有する者の年齢及び選挙権を有する者の年齢が満18歳以上とされたことを踏まえ、新たに大人となる年齢層を含めた我が国の国家像等を勘案しつつ、民法、少年法その他の法律の規定における成年年齢の在り方について、下記のとおり提言する。

 記

1.民法(民法の成年概念を用いる法律を含む。)について

 民法の成年年齢については、できる限り速やかに20歳から18歳に引き下げる法制上の措置を講じる。
 ただし、法制審議会の答申(平成21年)にあるとおり、「若年者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大のおそれ等の問題点の解決に資する施策が実現される」ことが必要であるから、現状の消費者教育等の施策を引き続き実施するとともに、国民への周知が徹底されるよう、その施行時期については、必要十分な周知期間が設けられるよう配慮する。

2.満20歳以上(未満)を要件とする法律についての基本的な考え方

 国民投票の投票年齢及び公職選挙法の選挙年齢が一致して18歳以上の国民に参政権としての投票権(選挙権)を付与したことと併せて民法の成年年齢が18歳となることを前提とした場合、我が国においては18歳をもって「大人」として扱うこととなり、大人と子供の範囲を画する年齢は、それまで20歳であったものが18歳となる。
 このことは、18歳以上の国民が、現在及び将来の国つくりの担い手であることを意味し、大人としてその責任を分担し、大人としての権利、自由も付与されることとなる。社会的にも国民意識においても「大人」は18歳からと移り変わる。
 法は、社会規範として、分かりやすく社会活動の指針となることが求められることから、大人と子供の分水嶺を示す各種法令には国法上の統一性が必要である。併せて、我が国の将来を支えるのは18歳からの若者であり、将来の我が国を活力あるものとし、その決意を力強く示すためにも、満20歳以上(未満)を要件とする法律においては、その年齢要件を原則として18歳以上(未満)とすべきである。

3.満20歳以上(未満)を要件とする法律について

(1) 少年法について

 民法を始めとする各種法律において、我が国における「大人」と「子供」の範囲を画する基準となる年齢が満18歳に引き上げられることを踏まえ、国法上の統一性や分かりやすさといった観点から、少年法の適用対象年齢についても、満18歳未満に引き下げるのが適当であると考える。
 他方で、罪を犯した者の社会復帰や再犯防止といった刑事政策的観点からは、満18歳以上満20歳未満の者に対する少年法の保護処分の果たしている機能にはなお大きなものがあることから、この年齢層を含む若年者のうち要保護性が認められる者に対しては保護処分に相当する措置の適用ができるような制度の在り方を検討すべきであると考える。
 そこで、法務省においては、これら本委員会の考えを真摯に受け止め、若年者(その範囲を含む。)に関する刑事政策の在り方について全般的に見直すことも視野に入れて、刑事政策上必要な措置を講ずるための法制的検討を行うこと。

(2) 諸法令について

 (3)又は以下に掲げる法律(条項)を除き、満20歳以上(未満)とされている要件は、満18歳以上(未満)に引き下げる。
 〕椰討砲覆譴詛齢
 ⇔捗討僚蟷、銃を使用する狩猟免許
 K塾話聴による加入強要の禁止対象年齢
 す駝映金の支払義務
 チデ職員及び小型船舶操縦者法(船長及び機関長の年齢)
 児童福祉法に定める児童自立生活援助事業における対象年齢
 特別児童扶養手当等の支給に関する法律の対象年齢
 道路交通法上の中型免許及び大型免許等
 なお、公職選挙法等の一部を改正する法律において、「当分の間」の措置として20歳以上を維持することとされた検察審査員、裁判員、民生委員及び人権擁護委員となる資格年齢については、少年法の適用対象年齢又は民法の成年年齢を踏まえたものとすること。

(3) 税制関連について

 以下に掲げる法律(条項)は、民法上の「成年」を引用したり、民法上の成年年齢を前提とした制度であるが、税制に関する事項であるため、我が党の税制調査会における検討に委ねる必要がある。
 々饑把Ъ法及び国税犯則取締法の捜索立会人
 関税法の臨検の立会人
 税理士法の税理士の欠格事由
 ぜ鮴破,亮鬚寮渋ぬ筏等の付与条件
 チ蠡垣破,20歳未満の者に係る控除制度等
 α点覇段盟蔀嵋,猟招和座阿ら住宅所得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税年齢
 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の被災者が住宅所得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税年齢
 ┐修梁樟農関連事項

4.社会的に関心の高い事項について

 20歳未満の者の飲酒、喫煙を禁止している未成年者飲酒禁止法及び未成年者喫煙禁止法について、成年年齢の引き下げに伴い禁止年齢を18歳未満とするか否かについては、賛否にわたり様々な意見が認められた。
 生物学的な発達に応じた医学的影響を勘案し、健康被害を防止する必要があること、非行防止の観点からは飲酒、喫煙が非行の引き金となる側面があること等の理由から、成年年齢が引き下げられても現行の禁止年齢を維持するべきとの意見があった。
 他方、現行法においても飲酒、喫煙は未成年者に制約を課し、大人は自制する判断力ある者として自らの責任において摂取等が法律上許容されていること、現在でも一定の免許取得等が法令上許容されていても校則で制限する等の生徒指導による対応を前提として、成年年齢の引き下げに応じて禁止年齢を18歳未満に引き下げるべきとの意見があった。
 本委員会としては、これら意見や諸外国の状況を踏まえ、飲酒、喫煙に関する禁止年齢を18歳未満に引き下げるべきかどうか、引き続き社会的なコンセンサスが得られるよう国民にも広く意見を聞きつつ、医学的見地や社会的影響について慎重な検討を加え、実施時期も含め民法改正時までに結論を得るものとする。併せて、公営競技が禁止される年齢についても同様とする。
 被選挙権を有する者の年齢については、引き続き検討を行うものとする。

5.周知期間等の必要性について

 本委員会における検討に基づき、必要な法制上の措置を講じることとなるが、民法(民法の成年概念を用いる法律を含む。)については、社会的影響の大きさや、教育面の対応、施行までの準備作業に要する期間などを踏まえ、少なくとも3年程度の周知期間とともに、必要な経過措置を設ける。
 また、その他の法律についても、民法に準じた周知期間及び経過措置を設ける。

 以 上
20151025_DSC_0049_033(臨時寝台特急カシオペア|EF510-513)

18歳選挙権の法制化の動向と課題
2014年12月6日
南部 義典

1 国民投票法改正で新たな局面に

 明治期以降、わが国も近代合理主義、平等主義の潮流を受け、人の年齢を基準にして権利義務に関する法制度を構築することが、立憲政治の課題と位置付けられている。これは、立法政策上の線引き問題と単純に捉えられがちであるが、合理的な判断、同意が可能な個人の自律性を探究し、一定の年齢基準に基づく規範を形成する過程には、今後も様々な評価、利害が交錯することになる。

 現在、大人(成人)と子どもを区別する基準を直接定めた法律は存在しない。例えば、祝日法2条は、成人の日の意義を「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。」と定めているが、成人年齢の定義はない。もっとも、政治・社会において基幹的機能を有する4つの法定年齢、即ち、々駝嬰衂叱年齢(国民投票法)、∩挙権年齢(公職選挙法及び地方自治法)、少年法適用対象年齢(少年法)、だ年年齢(民法)は、いずれも満20年(20歳)を基準とし、社会通念上は、これらを根拠に、20歳を以て大人と扱われるべきと考えられてきている。

 他方、18歳を以て大人と扱う国際標準に従い、4つの法定年齢の基準を18歳に引き下げる立法措置が漸次、段階的ではあるが、実現しつつある。憲法上の要請ではないが、4つの法定年齢は立法政策上、乗用車のタイヤのサイズのように一致させるのが望ましいというのが政治・行政部門の共通認識であり、将来的には18歳基準で統一されることになる。

 この意味での年齢法制改革は、改正国民投票法の施行(2014年6月20日)で新たな局面を迎えた。国民投票権年齢は一旦20歳以上に確定したが、施行後4年を経過した日(2018年6月21日)に、自動的に18歳以上に引き下げられる。また、施行後速やかに、公職選挙法等が定める選挙権年齢、民法が定める成年年齢も18歳以上に引き下げることとする国の立法責任も明確に定められた。さらに、与野党8党(自由民主党、公明党、民主党、日本維新の会、みんなの党、結いの党、生活の党及び新党改革)は、選挙権年齢を18歳以上に引き下げるための公職選挙法等の改正(18歳選挙権法の整備)を、施行後2年以内(2016年6月20日まで)に行うことでも合意している。この合意によると、18歳選挙権法が想定どおりに整備され、一定の周知・準備期間の経過後に施行された場合、この施行日が2018年6月20日以前であったとしても、国民投票権年齢も同時に、前倒しで18歳以上に引き下げられることになる。目下、国民投票権年齢及び選挙権年齢の引下げは、少年法適用対象年齢及び成年年齢の引下げに先行する見通しである。

 18歳選挙権法の整備は、国民投票法の全面施行日(2010年5月18日)までに完遂しているはずであった。法整備は著しく遅れ、この間の権利侵害はもはや回復不可能であるが、わが国の年齢法制を一日も早く国際標準に適合させるためにも、18歳選挙権の法制化を着実に進めることが肝要である。

2 18歳選挙権法案の提出
 
 改正国民投票法の成立後、国会では遅滞なく、18歳選挙権の法制化に向けた協議が始まっている。与野党8党(前記)による「選挙権年齢に関するプロジェクトチーム」(以下、「選挙権年齢PT」と記す。)が2014年6月19日に発足し、次に召集される国会(第187回国会(臨時会))で、18歳選挙権法案の提出を目指す方針が確認された。

 第187回国会の召集後、選挙権年齢PTでは18歳選挙権の法制化に係る主要論点、即ち、’齢引下げの対象となる条項の範囲、∩挙犯罪に係る少年法の適用関係、施行期日の設定のあり方(周知・準備期間の幅、地方選挙との関係)、し法・政治教育のあり方、について検討が行われた。第2回会合以降は、参加する政党に異動が生じたものの(自由民主党、公明党、民主党、維新の党、みんなの党、次世代の党、生活の党及び新党改革が参加)、4回の実質的な協議を経て、各党の合意が整い、18歳選挙権法案が衆議院に提出された(2014年11月19日)。しかし、同21日、衆議院の解散によって廃案となった。

 18歳選挙権法案は、第188回国会(特別会)の後、第189回国会(常会)において、再提出する必要がある。この点、再提出は早くても2015年5月中旬になると見込まれる。仮に、法案が同年6月中旬に成立し、規定どおり、公布から1年後に施行されるとすると、18歳選挙権が実現するのは2016年6月中旬頃になる。

 2016年7月には、第24回参議院議員通常選挙が予定されている。18歳選挙権法の施行をこれに間に合わせることが、第47回衆議院議員総選挙(2014年12月14日執行)の後、各党に課せられた至上命題であることは論を俟たない。

3 18歳選挙権法による年齢条項の見直し

(1)18歳以上に引き下げられる年齢

 わが国の年齢法制の体系上、多くの年齢条項が選挙権年齢と連動している。18歳選挙権法による見直しの対象は、公職選挙法を含む9つの法律の、34の年齢条項に及ぶ。以下、主要な改正点について触れる。

 まず、公職選挙法における、未成年者の選挙運動の禁止、未成年者を使った選挙運動の禁止の各規定は、18歳未満の者の選挙運動の禁止、18歳未満の者を使った選挙運動の禁止として、それぞれ改正される。18歳以上の者は、たとえ高校生でも、街頭演説、個人演説会場等における投票の勧誘のほか、SNS等を活用した投票の勧誘が可能となる。18歳、19歳の者は、選挙運動の客体に貶められることなく、主体的、能動的に参画することが可能となる。

 また、地方自治法に基づく直接請求権、即ち、条例の制定・改廃、事務監査、地方議会の解散、地方議会議員・地方公共団体の長等の解職に係る各直接請求の資格が18歳以上の者に認められることになる。請求に際して、自ら署名簿に署名・押印し、請求者となることはもちろん、自ら請求代表者となること、請求代表者の委任を受けて有権者の署名を収集することも可能となる。

 さらに、最高裁判所裁判官国民審査の審査権年齢も、18歳以上に引き下げられる。国民審査は衆議院議員総選挙の際に行われるため、審査権年齢の引下げは当然の措置であるが、国民審査の対象となる裁判官の情報の提供のあり方等、今後検討を要する。

(2)20歳以上のままとなる年齢

 本来、18歳選挙権法に連動して18歳以上に引き下げられるべき年齢条項のうち、あえて連動を外して、現行どおり(20歳以上)とされるものが存在する。仝〇/該紺の選任資格、∈枷衆の選任資格、人権擁護委員の候補者資格、及びぬ雲鍵儖の被推薦資格、の4つである。

 このうち、ゝ擇哭△料任資格は、当分の間、20歳以上に据え置くこととされる。もっとも、このような二重基準を期限なく放置することにならないよう、適時の立法対応が不可欠である。 

 また、5擇哭い琉兢年齢は、選挙権年齢との連動を外し、民法が定める成年年齢と新たに連動させ、将来、成年年齢と同時に引き下げるものとされる。両委員の職務の性質、内容に鑑み、妥当な措置と解される。

4 選挙犯罪に係る少年法の適用関係

 選挙権年齢を18歳以上に引き下げる場合、少年法適用対象年齢は現行の20歳未満のままでよいのかどうか、18歳、19歳の者による選挙犯罪の取扱いをめぐって、少年法の適用関係の問題が顕在化する。具体的には、18歳、19歳の者が、組織的多数人買収罪などの選挙犯罪にコミットした場合、少年法の適用を受け、原則として保護処分の対象とし、刑事処分の対象としないことでよいか、つまり、選挙法制上は一人前の資格を有する者として扱われる以上、成人の刑事事件として刑罰による制裁によるべきではないか、という問題である。

 前記のような法的齟齬を解決するには、まず、18歳選挙権法の整備に合わせて、少年法も同時に改正し、同法の適用対象年齢を18歳未満に引き下げること(18歳少年法の整備)が妥当であると考えられる。

 しかし、18歳選挙権の法制化にあたり、少年法のみならず、関係法律(各種少年院の収容年齢を定める少年院法など)の改正論点も含め、議論の蓄積が十分ではない。これは、改正国民投票法が、国民投票権年齢を20歳以上に確定させたことで、少年法適用対象年齢との法的齟齬が生じず、国民投票犯罪に係る少年法の適用関係の問題が生じなかったことによる。18歳少年法を同時に整備するには、なお一層の時間を費やさなければならなくなる。

 そこで、18歳選挙権法の立案に際しては、少年法適用対象年齢の引下げを前提とせず、選挙犯罪に係る少年法の適用関係を整理する理論構成が求められることになる。

 選挙権年齢PTでは当初、選挙犯罪に限って少年法の適用を除外するという案(適用除外案)への賛同が広がった。18歳選挙権法に少年法の適用除外条項を設けることにより、18歳、19歳の者による選挙犯罪を一律に、刑事処分の対象とする内容である。しかし、〜挙犯罪にも罪質の程度が様々ある中、一律に少年法の適用を除外するのは少年の保護・更生という同法の立法理念を損なう、交通犯罪(危険運転致死傷罪等)においても、少年法の適用除外という法律構成は採られておらず、なぜ選挙犯罪だけを適用除外とするのか根拠が乏しい、などの反対論が示された。

 協議を重ねた結果、適用除外案への賛否両論に対する折衷的立場として、限定的に刑事処分の対象とする案(限定的逆送案)に拠ることとなった。即ち、⑴選挙犯罪のうち、連座制に係る罪の事件について、その罪質が選挙の公正の確保に重大な支障を及ぼすと家庭裁判所が認める場合には、検察官送致(逆送)の決定を行い、また、⑵連座制に係る罪の事件を除いては、家庭裁判所が検察官送致を決定する場合、選挙の公正の確保を考慮して行うこととする内容である。⑴⑵いずれも、選挙犯罪に係る少年法の特例として、18歳選挙権法案の附則に明記された。

 いずれにせよ、18歳選挙権法の整備の後、国民投票権年齢も18歳以上に引き下げられる段階で、国民投票犯罪に係る少年法の適用関係が問題となる。国民投票犯罪には連座制の適用はなく、限定的逆送案と同じ法律構成は採用できない。少年法適用対象年齢の引下げに関しては、それまでに成案を得ておく必要がある。

5 成年年齢の引下げ
 
 民法が定める成年年齢の引下げ(18歳成年法の整備)は、18歳選挙権法の整備が完了した次の段階で行われる見通しとなっている。4つの法定年齢のうち、成年年齢が「大人(成人)と子どもを画する基準」として社会的に最も通用しており、これを引き下げることが、今回の年齢法制改革の本丸と言える。

 個人に要求される判断能力の程度は、政治参加と私法上の契約のいずれの場面においても差異はなく、選挙権年齢と成年年齢は一致すべきであるというのが伝統的な政府見解である。両年齢の不一致がもたらす不都合、例えば、18歳選挙権法により選挙運動が可能となった18歳、19歳の者が、選挙運動のボランティアを申し込む際に、民法上の未成年者として扱われるままに「保護者の同意」を要求されるのは、市民感覚的にも疑問が生じるところである。

 もっとも、政治参加と私法上の契約とは、自己の判断に基づく意思決定に法的な責任が伴うか否かで相異する。憲法15条4項は「選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。」と、選挙人の無答責を定める。選挙人が冗談で特定の候補者・政党に投票しても、責任は一切生じない。しかし、民法が規律する私法の分野では、意思表示が冗談交じりであっても、契約上のリスクの判断理解が不十分であっても、原則、有効な法律行為として成立し、債務履行責任を負うことになる。

 私法上の責任が生じること等、実体社会に与える様々な影響を勘案し、18歳成年法を整備・施行するタイミングが問題となる。この点、政府見解は、若年者の自立を促すような施策や、消費者被害を可及的に防止しうる施策が講じられていることが前提条件になるとする。この前提条件の成就の判断は、消費者教育推進基本方針(2013年6月28日閣議決定)に基づく消費者保護施策群の進捗状況等に鑑み、国会が慎重に行うべきであると考える。

6 憲法・政治教育の充実に関する施策方針

 18歳選挙権法の整備に並行し、若年層に対する憲法・政治教育の充実を図ることが今後、一層重要となる。これは、法整備に並行する施策であって、前提条件ではない。中央教育審議会において学習指導要領の見直し検討が始まったが(2014年11月20日、文科相より諮問)、その結論(答申)を待つまでもなく、18歳選挙権法案を国会で審議する過程で、政府の施策方針を詳しく明らかにする必要がある。
 
 併せて、これに関連し、実践的な憲法・政治教育を推進する上で障壁となっている教育基本法14条2項の解釈・運用を、政治主導で見直す必要があると考える。同項は「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」と、教育の政治的中立性(多数の者に対して強い影響力を持ち得る教育に、一党一派に偏した政治的主義・主張が持ち込まれてはならないこと)を謳っている。実際には、同項の解釈・運用により、教育現場は萎縮し、実践的な憲法・政治教育は敬遠される傾向が強い。また、公立学校の教育公務員に対しては、法令上、政治的行為の制限が掛かっており、テーマが具体的な政治性を帯びるほど、教育現場では扱い難いと受け止められている。

 硬直した行政解釈・運用のレベルを越えるために、国会において憲法・政治教育の推進に向けた新規立法(理念法)を整備することも検討に値する。ただし、党派性を生まないよう、全会一致に近い合意に基づいて立法する必要がある。

7 結語
 
 18歳選挙権法の整備を契機に、今後、年齢法制改革がさらに前進することが期待される。

 もっとも、諸立法に関して、国民(とくに若年者層)に対する情報提供と説明が不十分であり、社会的関心は必ずしも高くない。大局的意味での立法目的が伝わらなければ、若年者の政治的、市民的自律を呼び覚ますことはできず、一時の問題提起に終始するおそれがある。

 政治・行政において、当面の具体的な立法工程を確定させ、スケジュール感を国民と共有することが急務である。そして、国民の側こそ、その工程を厳しく監視し、立法を督促していかなければならない。

 以 上

 〈研究会報告〉2014年度教育イノベーション・プログラム 講義型および参加型によるESD・市民教育の試み

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